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紙銭

 爛は卓子に置いてあった蓋をした湯呑を謝砂に渡した。

 蓋をとったが烏龍茶のように色が濃いが単なる茶には変わらない。

 ぐっと一気に飲んだが口の中になんとも言えない苦さが残る。

 煮だされた草の味に眉も寄り、目も寄り口はおちょぼ口のように顔が中心に寄った。

「薬茶だ。苦いが効き目はいい」

「こんなの飲ませるな」

「蘇若も黙って飲んだのに謝砂が飲めないとは言えないだろう」

「白湯のほうがましだ」

「口を開けて」

 小さな包みを少し開けて爛はそのまま謝砂の口に入れた。

「干した杏だ」

 口の中に甘さが広がり苦みがだんだんと中和された。

「外はまだ明るい?」

「今はまだ日が高い。なぜ気にするんだ?」

「あたりまえだろ。夜に弔ったら怖いじゃないか」

 何か爛がいう前に部屋の扉を叩かれた。

「爛様、姜様たちをお連れしました」

 部屋の外から声がかかった。

「待っていてくれ」

 爛は謝砂に羽織をちゃんと袖を通させた。

「身なりを整えてからだ」

「分かったよ。寝起きだからしかたがないだろ」

 外衣を重ねて着て上からベルトのような帯で留めた。

「念のために客人の室ではなく私の部屋に運んだ。誰かが突然に入ってくることはない」

「よかったよ。靴も履くから待ってて」

 置いてあったスリッパのような浅めの靴を履いた。

 


 部屋の外にでると高い山の奥の中にあるようだ。

 部屋というが平屋の作りで一軒の家のようだ。

 石畳で整えられた階段と道で他の建物とつながっているみたいだで神社や寺に似ている。

 きょろきょろと田舎者が見物するように口を開けて見ていたが爛に袖を引っ張られた。

「どうかした?」

 爛を見るが「コホン」っという咳払いに謝砂は姿勢を正した。

 謝姜と柳鳳に柳花の姿があった。それと姜の後ろに見え隠れする小さな子供がいた。

「お兄様目がお怪我はありませんか? 内力は戻ってますか」

(内力って霊力のことか? なにも分からないんだけどな……)

「うん、うん。大丈夫」

 適当に笑ってごまかした。

「それより聞いてくれ。姜ちゃんがいないときに柳鳳が屋敷で助けてくれたんだ」

 姜の顔を見て思い出した。柳鳳に睨まれる前に褒めなければならない。

「突然どうしたんですか?」

 唐突な柳鳳の話に姜は首をかしげるが、謝砂は柳鳳に合図を送る。

「見捨てない優しい心と機転が利いてすごく頼りになったよ。なあ柳鳳!」

 急に話を振られてわずかに戸惑っているが柳鳳は大げさに「ああ~」と話を合わせる。

「そういうことで仲良くなったんだよ。謝砂兄さんと」

 柳鳳は謝姜の隣に立った。

「兄さん?」

 ちらっと爛を見ると芝居に気づいているようで目を反らして笑いをこらえてる。

「仲良しだから姜ちゃんとも仲良く頼むな。弟よ!」

「兄さん。もちろんです」

 一番後ろに立っていた柳花も目を反らした。

「お兄様まだ回復されてないのでは?」

 疑問に思いながらも姜はそれ以上はなにも聞かなかった。

「あっ。えっと」

 姜の後ろに隠れていた子が顔をのぞかせた。

「蘇若出ておいで」

 謝砂はしゃがんで目線を合わせて名を呼んだ。

 顔をのぞかせた子は淡い水色のふわふわとしたスカートに上着を合わせたお嬢ちゃんという姿だ。

 乱れてぼさぼさだった髪は整えられている。

お団子にヘアアレンジされて花が飾られていた。

 恥ずかしそうに照れる幼子に微笑みあってる柳花と姜の様子からして好き放題にしたのだろう。

 よく食べたのか頬もふっくらとしている。

 謝砂はこの子は大きくなれば美少女に絶対なると確信した。

 蘇若は恥ずかしそうにしていたが謝砂がじっと待っているとちょこちょこっと近寄った。

「謝砂様、たすけてくれてありがとう」

しゃがんだ謝砂の手前にきて長い帯の紐を恥ずかしそうに握ってる。

蘇若はちらっとキラキラの瞳で謝砂を見つめた。

(ロリコンじゃないけどめっちゃ可愛い。娘にしたい)

謝砂は自然と手を伸ばして抱っこした。

でも抱き方が分からずまっすぐ持ち上げるように抱えた。

蘇若は嫌がるわけでもなく大人しい。

爛は蘇若の腕を謝砂の首に掴まらせて腕に座らせるようになおされると安定した。

あたたかいぬくもりを感じる。

「謝砂、紙銭を燃やすのだろう」

 爛に言われて思い出した。

「そうそう。忘れるところだった」

 

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