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夜明け前

 謝姜は謝砂から蘇若を預かったあとどうすべきかしばらく考えていた。

 いつの間にか柳鳳の姿もない。

「まったく人に押しつけるなんて。どんなものを持ってこられるか分かったものじゃないからここからでましょうか」

 ぎゅっと小さな手が服を引っ張った。

 霊力を注いで内力を補ってみようと姜はそのまま蘇若の手を握った。

 内力を流して探ってみた。

 爛と謝砂を信用はしているがその体に邪気が残っていないとは信じられなった。

 いくら調べても邪気の存在は感じられない。

 それどころか仙門で生まれ修練をしてるように魂に霊力が宿ってる。

「ほんとうに修復されてる」

 姜は蘇若を抱っこして門ではなく塀を飛び越えた。

 屋敷の外にでると去り際に爛から渡された伝符でんふを使った。

 結界の外では使える。

 桃の花が描かれた伝符は桃家に直接伝えるためだ。

 伝書鳩と同じなのだが伝えたい相手にすぐに直接伝えられる。

 町の灯りが消えて寝静まっていた。

 驍家の屋敷のことを知っていてなのか、一人として出歩いておらず家の門をしっかり閉じている。

 宿の灯りだけはついていて扉もまだ開いてあった。

「お帰りさなさいませ。うちは仙門の方がお泊りなのでお待ちしておりました。なにか御用はありませんか?」

 店主は肝が据わっているのか姜を歓迎して出迎えた。

 空いている店はここだけなので旅の客は皆で食事を食べていて、わずかに値上げしていたが客が多く泊まり客室は埋まっていた。

「水ともち米で作ったおかゆを二つください。あと子供の服はありませんか?」

「ございますよ。揃えてお部屋までお運びいたします」

 ちらっと子供をみたが店主は何も触れなかった。

 姜は蘇若を抱えたまま部屋に入り寝台に寝かせた。

「ここなら姿を現せても大丈夫よ」

 ふわふわと蛍の光のように今にも消えてしまいそうな魂魄が蘇若から現れてた。

「奥様が守ってたのね。安心してこの子はもう安全だから」

 姜が手のひらを出すとその上にふわっと触れる。

『ありがとう。私が巻き込んでしまった子を助けてくれて』

 思念が頭に直接響く。

『旧友が亡くなったと聞いて残された子を探していたの。一目みて気づいた。蘇若がその子だと』

「そうだったのね」

『どうかお願いします。面倒を見てもらえませんか?』

「大丈夫。この子はお兄様が魂を修復したのだから面倒をみるわ」

『ありがとう』

 光っていた魂魄は月に吸い込まれるようにふわっと消えた。

 蘇若を見ると聞えていたのか涙を溢していた。

「起きたの?」

 トントンと扉を叩かれる。

 ちょうどおかゆが運ばれてきたようで受け取り銀子を手渡した。

 頼んでいた通り子供の着替えも用意されていた。

「着替えて暖かいうちに食べよう」

 蘇若に少し食べさせると寝かせた。

 窓の外をじっと見つめて待っているとだんだんと明るくなって朝霜のなかに人影がある。

 じっとみると桃家の門弟たちと小さな仙家の者が数人集まって屋敷に向かっているのが見えた。

 知らせは近くにいた桃家の者たちに伝えられたようだ。

 何かあったのだろうかとじっとしていられず宿の外に出た。





 三人は屋敷から出て泊まっていた宿に向かった。

 謝姜は宿の門の前を行ったり来たり落ち着かない様子で歩いていた。

「お兄様!」

 爛に腕で抱えられるように運ばれてる謝砂に気づいた姜が駆けてくる。

「気絶してるだけだ」

 青白くはあるものの謝砂の顔をみた姜はほっとして肩の力を抜いた。

「よかった」

「霊力を使いすぎたのか回復させるために宿ではなくこのまま私の家に行く」

「わかりました。私もご一緒してもいいですか?」

「一緒に来なさい。それとあの子はどうした?」

「目を覚ましました。今は眠ってます。どうしますか?」

「謝砂が魂を修復した子だから連れていき様子を見る」

「そうですね」

 外から宿の窓を見上げた。

 姜は宿の寝ている羅衛を連れに宿の中に戻った。

「柳花の持ってるものを袋にいれて」

「はい。邪封袋じゃふうぶくろに入れておきます」

 邪封袋の口を開き柳花が包んで持っていたものを柳鳳は指先から霊力で触れないように浮かせたまま入れた。

 わずかに震えた巾着を爛が掴んだ。

「私が持っておく」

 宿から姜が蘇若を抱えて出てきた。

 蘇若は見つけたときよりも顔色がよくなっていた。

「馬車で行きますか?」

 柳花が訊くが爛は首を横に振った。

「御剣する。馬車を使うと夜になってしまう」

 軽く飛ぶと剣を鞘から抜いて謝砂を抱えたままふわっと剣の上に乗った。

 謝砂を抱えているのが爛は安定したまま高く浮かんで飛んだ。

 すぐに後を柳花も御剣して飛ぶ。

「その子は俺が持つ」

 柳鳳は謝姜の腕から取り蘇若を抱えた。

「落とさない?」

「そんなことはしない。しっかりと抱きかかえてるから大丈夫だ」

「見張ってるわよ」

「ついてこれたらな」

 柳鳳が先に御剣し飛ぶが、横にぴったりと謝姜が柳鳳と並んだ。

 柳鳳は隣に姜がいることがうれしくて口元の笑みを隠せなかった。

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