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16話竹筒

「どこまで飛ばしたの?」

足音の主は謝姜だ。

柳鳳を追いかけてきたようだ。

「陣に戻るわよ」

柳鳳の襟を後ろからぐっと掴んだが爛と謝砂に気づいてその手を放した。

「お兄様たちも近くにいらしたんですね」

「姜ちゃん!」

 離れていた時間は一時間ぐらいなのに謝姜とすごく久しぶりに再会した気分になった。

「お兄様たちがいない間に庭の傀儡は片付けましたが、その子はどうされたんですか?」

 姜の問いに爛が答える。

柳鳳も気になっていたようでじっと蘇若を見る。

「謝砂が魂を修復した」

「こんなところで修復したんですか!」

 姜はありえないという顔で謝砂を見た。

「この子は邪霊や食痕獣の類ではないですか? 体を乗っ取り成りすましているのかも」

 姜の言い分を謝砂は思いつきもしなかったが一理あると納得したが助けた後に言われてもどうしようもないく目が泳いだ。

「それはないよ。謝砂がこれを飲ませた」

 爛は謝砂の竹筒を指さした。

「ああ。これ姜も飲んでみる?」

 竹筒を渡すと姜は筒を開けて手で仰いで匂いを嗅ぐとすぐに謝砂に返した。

「うっ。まずい酒の臭いがします。何ですか?」

「酒と水と塩を混ぜた手製の水だ。まだ半分残ってるかな」

「祓い水ですか。こんなものを子供に飲ませるなんて」

(なんて言われようだろう。ほかに水がなかっただけなのに……)

 姜の小言に謝砂はちょっと傷ついた。

「だから安心していい。この子は蘇若だ」

 爛が姜に言ってくれ謝砂も頷いた。爛は話を続ける。

「その水には霊力も込められていて、霊力を注いで邪気を払うのとおなじように体に残ったわずかな邪気も浄化された」

「それは聞いてない。なんで教えてくれなかった?」

「説明しなくても分かっているのだと思ってた。この子は安静にしたらよくなる」

「今のお兄様の姿はとても懐かしいです。姜がそばで眠ってしまったときに運んでくれてましたから」

 姜が蘇若に近づき頬を突くと後ろで聞いていた柳鳳は機嫌が悪くなる。

 殺気を帯びた目をぎらつかせ睨まれ謝砂は怯えた。

手は柄を触ってる。

(姜が言うたびに睨まれてる。もう黙っていてくれないか。これ以上は剣を抜かれそう)

 謝砂は話題をかえようと口を挟んだ。

「とりあえず屋敷の厨房に何かないか探してみるよ」

「邪気に満ちた屋敷の厨房まで探しにいくとはさすが若宗主様ですね」

 柳鳳の棘のある言い方に何か言いたげな姜の表情に二人の争いに巻き込まれたくない謝砂は姜の腕にそっと蘇若を預けた。

「蘇若を頼んだ。爛、行こう」

 すぐに居なくなるほうがいいが一人で行くとは言えずに爛の手首を掴んで連れて歩く。

 爛の前を先に歩いていたが曲がったところでピタッと立ち止まると爛の足も止まった。

「限界だ」

 謝砂は呟いた。聞えたようで顔を覗き込む爛に訴えた。

「先に進んでくれ。押しても無駄だぞ。足が震えてるから先頭は歩けない」

「わかった」

 返事をした爛は謝砂の一歩前に出て歩いた。爛の手首はしっかりと掴んで放さない。謝砂は引きずられるようにして進んだ。

「厨房か?」

 放置されたのか生ごみの腐ってるような異臭が鼻につく。

 ガタガタっと揺れる物音が響いた。


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