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13話傀儡

狂屍きょうしではないな。似てるがあれは今みたいに一斉に襲いかかるようなものじゃない。怨念を持ち凶暴で問答無用に人を襲う」

 爛は柳花と目を合わせると場所を入れ替わり謝砂を庇うように立ち真面目に答えてくれる。

「ーーそんなこと聞いてない」

 絞りだすように言い返すが冷静に説明されてどうしていいのかわからずにその場で地団駄を踏んだ。

 姜と柳花も剣を鞘から飛ばして舞うように傀儡の攻撃を防いでいる。

 傀儡の手には剣も持つものいるが桑などの農具、包丁やフライパン、鍋など殺傷力のありそうな武器を握りしめて襲ってきていた。

「普通のは爪や歯を使ってくるんですけど手に握りしめて死んだのでしょうか? お兄様どう思います?」

「知らないよ。聞かないでくれ」

姜が聞いてきても謝砂は答えられない。

 柳鳳は襲ってくる傀儡の一体に縄を飛ばし巻きつけると縛り上げる。唸り声をあげているが縛られた縄は丈夫で解けない。

捆仙縄こんせんじょうだ。逃げられないぞ」

「爛様、着ているものからしてこの屋敷の人間に間違いありません。魂は無く術で圧迫されたようで死んでます」

「なんで分かるんだ?」

 その間も姜と柳花は交互に攻撃を防いでいた。

「ひっかき傷があり口には血がこびりついて残っています。内臓もぺちゃんこですね」

「詳細をはっきりと言わないでくれないか」

 うっっと込みあげる吐き気をなんとか呑み込んで抑えた。血の気が引くどころではなくつっかえて。

「やはり傀儡か。操ってるのを探そうか」

「屋敷から離れないのなら何か大事なものがあるからだ。私と謝砂で探してくる」

(屋敷の中のほうが安全そうだ。どこか隠れる場所を探して解決するまでは閉じこもろう)

「手加減は無用だ。柳鳳ここは任せた」

「お任せを」

 聞えてくるのは剣がぶつかる音に耳をつんざくような唸り声は恐怖で脳天までびりびりと痺れさせる。

 まだ自分が意識を保ってることは信じられない奇跡だ。ぶっ飛んでいるのかもしれない。

 袖を引っ張られながら屋敷の奥に進み客間の門を開け敷居を跨ぐ。

 もう一つ奥に門が見えた。

「ここは大広間だな。奥は寝室か書斎だろう」

「なぜ分かるんだ?」

「祭事の準備がされている」

「そうか」

 謝砂は爛の背中しか見ないと決めて後ろを歩いていた。そのまま跡をついて進むが謝砂の足元に何かが敷いてあり引っかかった。

「わぁっ」

 爛の背中にドンと顔をぶつけた。

「大丈夫か?」

 足元に視線を落とすと上衣の袖が絡まって足に巻きついていた。袖と分かったのは袖から干からびた手のようなものが一瞬見えた。ぎゅっと目を閉じて欄にしがみつく。

「ぎゃぁぁ! 爛、取ってくれ! これ取って!」

「このままだと取れない。離れて」

「む、む、む、無理!」

 謝砂は首を横に振って、しっかりとしがみついて離れないのでしゃがむことも身をかがめることもできず、仕方がないと爛は剣を抜き袖を切り刻んで再び鞘に納めた。

「取れた。離れて」

 謝砂は思いっきり足をぶらぶらと振り軽くなったことを確かめた。

「ありがとう」

 礼をいって爛を解放した。

 その屍から離れて大回りして移動し爛の後ろに回り込む。

「これは動かないのか?」

「大丈夫だが謝砂が心配なら......」

爛は呪符を1枚取り出して屍に貼り付けてから身を屈めて屍を調べる。

謝砂は呪符に書かれてる『鎮封』の文字だけ読めた。呪符に少し安心した。

(さっきみたいに突然襲われたら攻撃のまえに心臓が持たない)

「見てみろ。さっきのよりも上等な衣だ。この屍は屋敷の主人か客人」

 謝砂は爛の背中から顔をのぞかせた。

 屍の顔は怖くて見れないが服を見ると屋敷の中だったためか傷まず状態がそのままだった。血がついたような跡もない。

「たぶん主人だ。馬車でうなされたとき一瞬見えたのと同じ服だ」

「生気ごと魂も奪われている。喰われてるというより吸われたというべきかな」

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