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29話桃泰山へ

 宴が始まると中年の宗主たちは門弟や師弟たちを山に行かせて自分たちは宴の席で情報交換をしている。

 話題は献上品の目録らしい。

「塵家の地元に龍神が降りたと耳にしたのですが本当ですか?」

「本当ですとも。塵家が祠を管轄している祠の泉に龍神がいますよ」

「今回塵家が廟に持ってこられたのは龍泉から龍神の龍珠です。この目ではっきりと見ましたよ」

「真珠のような輝きで感動したはずなのに謝家の神輿で記憶があやふやになりました」

「桃家の師弟が手伝い塵家が妖龍を倒したと言われてますよ」

「私も聞きました」

 歩いているとひそひそと噂話が聞こえてくる。

「あれは謝砂兄さんと爛様が倒したのに。嘘ばかりですね。訂正なさらないのですか?」

「うわさなんてあっという間に切り替わるんだ」

 一人が手招き声を潜めるとそばだてて聞いていた頭を寄せあった。

「なにやら謝家でも噂があるとか。――ひぃぃっ」

 声を潜めているが頭を寄せていた一人の宗主が謝砂と目が合い叫ぶとピタッと会話が止まってしまった。

「謝砂様行きますよ」

「分かった」

 謝砂はまた桃展と桃常に挟まれて宴の席から退室した。



 廟前に歩いていくと爛が着替えて腰にはいつもの剣を佩き柚苑と雪児と謝砂を待っていた。

「あっ爛だ!」

「謝砂どうだった?」

 謝砂がくるなり感想を求めてじっと目を合わせられる。

「爛の剣舞は高潔な蘭の花に感じた。綺麗だった。たぶん一生忘れられないと思う」

「ずいぶん簡単な感想ですね。爛様は謝砂兄さんに言われたから舞ったのに」

 桃常に言われても表現できる言葉が見つからず爛の隣に並んで歩いた。

「謝砂の感想で十分だ。桃威宗主と話をつけてきたから私たちは謝砂と入山する」

「謝家と混ざっていいのか?」

「桃家は個人戦に変えてきた。修宴の目的は泰山に集まった妖鬼退治だ」

「爛がいいならいいや。謝家も自由にしてもらうし」

 鳥居のすぐ近くで謝家の師弟たちは招功と待機していた。

「謝砂様も泰山に入ってください。謝家は人数が少ないんです」

「十二人はいるじゃないか」

「入れるのは私と謝砂様を合わせた七人です。宴の席では少数精鋭にと言われていたので」

「頭数にいれないでくれ。何も知らないし、反対に守ってくれないと無理だ」

「嫌だ。登山は嫌いだし、虫も妖鬼にも会いたくない」

 謝砂は鳥居の奥からすごい強い力で引き込まれるような感じて爛の腕を掴んだ。

 爛も感じたらしく二人で山を見た。

「なんだろう? えっ、ちょっと。ちょっと! 押さないで!」

「無理です。踏ん張ってみましたが人の流れに押されました」

 謝家の師弟たちが踏ん張っていたが、どっとした人の勢いに押された。

 謝砂は流されるように気づけば山の中に入っていた。

「一体なんだった?」

「後方から勢いよく流されたんだ」

 爛が謝砂の腕を掴んでいたおかげで大勢に踏みつけられなくて済んだ。

 一旦広い空間に退いた。

 我先に門に走っていく修仙たちの中に同じ玉佩の房飾りを腰につけていた。

「あの腰につけているのはなに?」

「小仙家や一人で参加しているものにつけている玉佩です。万が一の保険です」

「保険? もらってないけど」

「謝砂兄さんには必要ありませんよ。大けがをしたときや強力な妖気を感じ取ると玉佩が感じて光り周囲にも知らせて助けを求めることができます」

 謝砂は招功を見たが招功も腰に玉佩は下げてない。

「謝家は大丈夫です。護符をいっぱい謝砂様に作ってもらいましたから」

 招功が言うと謝家の燕が刺繍された長い外衣をまとった師弟は手に赤い護符を握りしめていた。

「あれは護符だったのか。点打ちさせたのはそのためだったんだな」

 桃泰山の中は薄暗くて昼なのか夜なのか区別ができないような霧が立ち込めている。

 邪気と妖気に満ちていた。

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