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29話修宴を告げる剣舞

 祭壇前に神輿が並べられているが謝家が一番目立っていた。

 招功は門弟と廟のなかに銅鏡や収穫物を納めに行き神輿の下で爛と二人で待つ。

(燕の提灯が悪目立ちだ。神輿はとっても豪華に作られている。一番満足だ。これだけ目立てば山で妖怪から逃げ回っても他家には燕の神輿しか記憶には残らないだろう) 

 廟の中に納められる管理の目録と照らしているのは柳鳳と若い師弟のようだ。

 柳鳳は招功と何やら話したあとすぐ柳鳳が桃展と桃常を呼び出てきて謝砂と爛に駆け寄ってきた。

「謝砂兄さん久しぶりですね。早速ですが姜はどこに? 感覚では近くにいるだけど。いた!」

 触覚でもあるのか首を長くしてきょろきょろするとピタッと動きが止まり姜を見つけたらしい。

 鳥居のそばに用意されている見物席に向かって人混みの中に紛れていく。

「謝宗主遅かったですね。珍しく大仙家の中でも謝家が最後ですけど狙ったんですか?」

「違うよ。神輿を作ってもらってたら遅くなったんだ」

「桃展たちも謝宗主って呼び方はやめてくれ」

「なぜですか?」

「この宴の集まりで呼ばれると区別がつかない」

「分かりました。でしたら柳鳳師兄のように謝砂兄さんと呼ばせてもらっていいんですか?」

「謝砂でも、兄さんでも兄ちゃんでもいい」

「分かりました。僕たちも謝砂兄さんと呼びますね」

「爛を呼びにきたのか?」

 謝砂が聞くと桃常と桃展は無言で肘で突き合うが結局桃展が言う。

「爛様に剣舞を頼むと宗主から言付かっています」

 爛は眉を寄せた。

「今年は私じゃないはずだ。だから謝家に行っていても呼びに来なかったのだろう」

「爛様とは違ったのですが桃威様と素貞様が二人で修宴を取り仕切るだけで他に手が回らないと。剣舞だけでいいから爛様に協力してほしいと言われてます」

「まったく柳鳳ができるのに姜がいるから逃げたな。顔は面紗で隠すから誰か分からないのに」

「剣舞って巫女みたいに女性じゃなくていいの?」

「本来なら剣舞ができたら誰でもいいんだが泰山仙府の桃廟だけは陰の気を持つ女性ではなく陽の男が執り行うことになっているんだ」

「爛の剣舞見てみたい。駄目かな?」

「――仕方がない。桃威宗主と話してくるから謝砂を宴の席に案内しなさい」

「分かりました」

 爛に桃常と桃展は揃って胸の前で手を合わせた。

「謝砂、私がいない間は他家のものとは会話しないで」 

 招功と門弟たちは持ち場が決まっているようで整列をしに向かい謝砂は桃展、桃常に挟まれて連れていかれていた。



 廟の下では各仙家の師弟たちが整列したち、その手前に宴の会場として高台が設けられていた。

 卓には玉で作られた茶器と

「なんで柳鳳は嫌がったんだ? 剣舞を舞ったほうがカッコよくて人気もでるだろう」

「柳鳳師兄は人気ありますよ。姫に扮しないといけないから姜殿の前では嫌なんだと思います」

 謝砂の後ろに座った桃展が説明をした。

「太鼓が鳴ったら修宴の始まりです」

 終宴の始まりを告げる大太鼓がドンと打たれると桃の花が降ってきた。

 太鼓がもう一つ打たれる空からふわっと堂の前に華やかな衣装を着た舞姫が着地した。

 琴や笛の曲が流れだすと曲に合わせて二本の長剣を手に持ち舞う。

 長剣には飾りに耳飾りのような小さな玉がついていてカラン、チリンと音が鳴る。

「舞姫が爛様です。歴代一の舞ですよ。爛さまは見た目も眉目秀麗で剣舞は美しいので桃家では爛様が舞えば威厳を保てるんです」 

 爛は髪を一つに結い蓮の簪に珠花の髪飾りをしていた。

 眉を描き目もアイラインをして化粧をした顔は桃の花を刺繍された薄い絹の面紗で目から下を覆っていた。

 曲に合わせて舞う姿は美しくて謝砂は瞬きすら忘れ他の音が一切聞えなかった。

 太鼓の拍子にに合わせてくるくると舞ながら廟の奥に進む。

 ドン、ドンと心臓に響く音は太鼓を打つ音なのか分からなかった。。

「あの鳥居は桃泰山へと続く唯一の登山道で鳥居が入口です。結界のしめ縄を斬り入山できるんです」

 雷のような大太鼓のドンという音に合わせて鳥居に封されていた縄を剣で斬り桃の花の吹雪に姿が消える。

 桃威が神坐に立つ。

「各修仙は花火が三度上がるまでに妖鬼を祓ったもの、修復できたものだけを集計することとする」

 桃威が宣言を告げると大太鼓がドンと響いた。

「これより修宴の始まりだ」

 結界が解かれたところから禍々しい邪気と妖気を感じた。

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