29話神輿
謝砂たちは水路を使って船で桃岳泰山に到着した。
荷を下ろし蜘蛛の巣で包んで運んだ神輿を下ろし、しばらく歩くと麓に廟が立てられていて大きな鳥居をくぐる。
大きく桃岳泰山府君と表記されている。
廟は何となく見覚えがあるように思えたがどこでも造りは一緒のようだ。
泰山廟は大きな神宮のような雰囲気で正月の初詣の記憶と被る。
桃岳泰山の麓は大小の仙家が連なって参列していた。
太鼓をバチでリズムよくうち、大琴や笛などの音色が入り奏でられている。
送られてきた書簡の写念でみたように仙家だけでなはく個人の修仙の人たちも訪れているらしい。土地神の像を手持ちの人を運ぶような輿で運んでいたり、飾りつけた馬車に乗せていたり色々工夫されている。見ていて面白い。
廟に運び入れる道は参道は石畳で整えられていた。
両脇の砂利道と見物できるよう階段を上って見れるよう造りにもなっていて早く到着した女子の仙師が大勢みていた。
爛が謝家に届いた案内状である書簡を鳥居の前にいる入口の受け付けに手渡す。
「謝、謝家のご到着にございます」
鳥居にいた桃家の門弟は謝砂の隣にいる爛の姿に驚いたが家名を読み上げた。
鳥居をくぐってから爛と招功が立ち止まった。二人とも剣を鞘から飛ばす。
「謝砂楽しみだろう。今見せてあげるよ」
シュッシュッと招功と爛の剣が舞うように斬るとふわっと糸が消えて行く。
蜘蛛の巣を重ねて包んでいた神輿が姿を現した。
黒と金色、朱色を基調にした神輿は小さな神社に滑車をつけて運んできたような神輿だ。
飾り房にしめ縄には大きな鈴がついている。
ワンルームが埋まるぐらい幅が大きく鳥居を塞いだ。
「驚きの仕掛けを作っておきました」
「仕掛け? なんか頼んだかな?」
爛は招功と目くばせをし神輿の屋根に招功が呪符を飛ばした。
屋根の上部に燕の灯篭がつけている。燕が膨らんで二階建てマンションの高さになっていた。
ねぶたと神輿が混ざったのは謝砂の伝え間違えたようだ。
師弟と門弟たちが4つの持ちてを各5人ずつで押して歩いている。
「謝砂様は燕に乗ってください」
「この上に乗れって?」
謝砂は燕を指差したが招功は頷いた。
信じられなくてもう一度聞いたが答えは同じだ。
「謝砂様早くしないと。後ろが詰まってきています。わずかな距離ですけど圧倒できますよ」
「爛様と一緒に上で見ていてください」
「分かった」
「ちょっと。爛嫌だ。やめてくれ」
嫌がる謝砂を爛は肩に担いでぴょんぴょんと神輿を登る。
下ろされると這うように手すりにつかまって何とか座った。
燕の提灯が結ばれている屋根はロフトのように作られていた。
手すりもついているが下は恐ろしくて見れないが鈴が鳴るたび揺れる。
怖くて爛の隣にぴたっとくっつき爛の脇から腕をいれて腕くみをし自分を固定した。
「招功にいわれて霊玉? を奉納品にするらしいんだけど爛見てみて」
謝砂は巾着を取り出し霊玉を手のひらに乗せた。
「謝砂は隕鉄の腕輪を浄化し桃家に献上した形で廟に奉納をしている。その霊玉は奉納しなくてもいい。隕鉄のものというだけで他家を圧倒しているのに霊玉を納めたら宗主たちの顔を潰すことになるから恨まれるな」
「それは嫌だ。視線が突き刺さってるのに剣で刺されたくはない。霊玉に銀金花のような花が咲いた模様らしいんだけど爛にあげるよ」
「いいのか?」
爛はすごくびっくりして聞き返した。
「いいよ。いつもの礼だと思ってくれ」
爛がすごくためらっているように見えた。
相手にとってのゴミになるような捨てれずらいものを渡すわけにはいけない。
すっごく昔に祖母に敬老の日に龍の小さな置物を渡したのに十年以上たってから袋から一度も開封されてない状態で下駄箱から発掘した思い出がある。
相手が処分に困る物は贈り物には適さないと学んだ。
「邪魔か? 要らないなら無理しなくていい。もらっても困るものってあるし、使い道に困るよな」
「貰う。これに手を加えても構わないか?」
謝砂の手からさっと取り爛は懐にしまった。
「意味は分からないけど好きにしてくれ。喜んでくれるのがいい」
爛の口角がぐっと上がった。
「謝砂様! 廟前に着きましたよ」
揺れが止まり下から招功が叫んだ。
「今度は降りるのか……」
深くため息をつくと涙がこぼれそうになった。




