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超魔導戦線リクレシア  作者: 超一蘭
8/32

猫巫女ミーコ。



 「うりゃっ!!そりゃっ!!」



 ドゴっ!!バキッ!!ドガガガ!!!



 村から数十キロ離れた結界道のど真ん中で、軽快な掛け声と共に、激しい殴打音が、響き渡る。



 「ウキャアー!!グゲ!?」



 ドサ、ドサ、と、一方的に殴られて、魔物が倒れる。



 「ふう、ちょろちょろと、素早い奴らだった、まあ、内側の魔物なら朝飯前だぜ!!もう昼飯どきだけどな!!」



 額に浮かぶ、汗を拭うアティアの足元には、ボコボコに殴られて気絶している、3匹の猿の魔物が倒れている。


 

 「お猿さん、可愛そうだよ〜。」



 ミラは、悲しそうな目で、口をだらしなくあけ、白目を剥いている猿を見ている。



 「バカタレ!!ミラは甘いぜ!!せっかく俺らがゆっくり昼飯食ってる時に、ヨダレたらしながら襲ってくるこいつらが悪い!!」



 全くその通りである。



 ハッ―――猿の目が開く。

  


「ウキーウキー!!」



 1匹の猿が、歯を剥き出し、怯えながら、仲間を後ろに回してアティアに威嚇する。



 ギロリ、と猿を睨むアティア。



 「……今夜は猿鍋ですかねえ……!?」



 アティアの赤い眼が、更に怪しくキラリと光る。



 「……!?……ウ……ウキュウ……。」



 猿は威圧され、ブルブル震える、しょんぼり、命を諦めた。



 「え!?アティ!?猿さばけるの!?……でも……食べるのは可哀想だよ。」



 「猿なんかさばけるわきゃねーだろ!?猿さばくってなんだよ!?それに、冗談だよ!!冗談!!……ったく、猿ども!!見逃してやるから二度と人間襲うんじゃねーぞ!!?」



 死ぬ気だった猿の目に生気が戻る!!急ぎバシバシ!!と他の二匹の猿を叩き起こし!!



 「ウキャアーッ!!」



 三匹並んでアティアに敬礼!!!



 そして、そそくさとその場を去って行った。



 「達者でねー!!」



 ミラは去っていく猿達に手を振る。



 「やれやれだぜ!さ、飯の続きだ!!」



 そう言うと、首を振りながら、アティアは道の端に転がっている岩に座り、ミラ特製サンドイッチにかぶりつく!!



 「どう?美味しい??」



 ニコニコしながら、隣に座り、感想を聞く。



 「モグ……モグ……うむ!ミラの飯はいつもウメー!!」



 グッと、グーサインをミラに向ける。



 うんうん、と、満足げなミラである。



 ザッザッザッザッザッザッ………



 道の端で昼食を取るアティア達の目の前を、真っ赤な美しい布ローブに身を包んだ、魔道士の集団が横断する。



 「ほぇ〜、初めて見たぁ!!結界魔導士だあ!!」



 ミラは、両手にサンドイッチを持ったまま、目を輝かせながら、その集団を見つめている。



 「モグ……モグ……あー、もうそんな時期か、新しく結界道に結界を貼りなおしにきたんだなー。」



 パカラッ、パカラッ、ピタッ。



 サンドイッチを片手に、ボーっと見つめる、すると、颯爽と現れた、豪華な馬車が、アティア達の前で止まる。



 「??」



 2人は顔を見合わせる。



 そして、馬車の中から、いかにも高価そうな、ピンク色の高級巫女服を身に纏い、赤茶色の髪に、猫耳をつけた可憐な少女が、馬車を降り、テクテク歩いてくる、その後ろを、金髪巨乳美人騎士がついてくる、アティア達に近づいてくる。



 「……見てたにぇ。」



 可憐な少女が口を開く。



 「モグ……モグ……?なにを??」



 ミラとアティアは、サンドイッチを頬張りながら、さっぱりクエスチョンです、みたいな感じで首をかしげる。



 「魔猿との戦い、みてたにぇ、なかなかの動きだったにぇ、チミ、ソルジャーにぇ??」



 アティアの手足を、じっーと見つめる。



 「いやいや、まだナイトにすらなってねーよ、でも、なかなかのもんだろ!?どーよ!?しっかり鍛えられてるだろ!?」



 ぐいーん、と、アティアの鼻が伸びる、高飛車だ。


 

        ベシッ!!



 「邪魔にぇ。」



 伸びてきた鼻を、可憐な少女が裏拳はたき落とす。



 「いでっ!?何しやがる!?……ってか、なんで猫の耳が生えてんの??」



 「猫耳可愛いー。」



 ミラは、じっと少女の耳を見つめた後、ツンツンと猫耳を人差し指でつつく。



 「無礼者!!ミーコ様に気軽に触れるんじゃあない!!」



 ミーコの隣にいた、近衛騎士的な金髪の女が、声を荒げて怒鳴る!!



 ビクッ!!ミラは顔をこわばらせ、泣きそうになる。



 「ひぇぇ……ごめんなさい……!ごめんなさい……!」



 ミラは、何度も何度も頭を下げる。



 「全くだ!!……いいか!?よく聞け!!ミーコ様は、【ロイヤルガード】様だ!!分かっていないようだから、詳しく階級の事を教えてやる!!

 下から、【ナイト】【ソルジャー】【パラディン】そして【ジェネラル】と階級が上がって行くことは知っているな!!??」



 「ああ、知ってるぜ。」



 アティアは頭の後ろで手を組み、当たり前だろ、みたいな顔をする。



 「ロイヤルガードとは!!そしてミーコ様は!!ジェネラルと同等の地位、つまり、リクレシア王国での、王族に継ぐ、【最高地位】の1人なのだぞ!!!」



 金髪騎士女が声高らかに叫ぶ!!



 「な、なんだってえー!!??」



 流石にびっくりするミラとアティア!!!



 「へへへ……別にいいにぇ!!私は気にしないにぇ!!怖がらせてごめんにぇ??お詫びに、飴ちゃんあげるにぇ!!」

 


 ちょっと照れながら、はい、とミラに向かい、ポケットからだした飴ちゃんを差し出す。



 「あ、ありがとう。………パクリ。」



 ミラは、それを受け取り、口の中でコロコロ転がす、甘くて美味しい。いちご味。



 「し、しかし、あまりにも無礼ではありませんか……!!これは、罰金ものですよ!?」



 金髪騎士が、ビシィ!!と2人を指差し、声を荒げる、堅物である。



 「ポワメ!!いいかげんにするにぇ!!私がいいと言ったらいいにぇ!!!」



 ボワアーー!!と、超高温の熱い魔力が、ユラユラとミーコを包む!!



 「で、出過ぎた真似を致しましたあ!!お許しください!!」



 ハハアー!!と、ミーコに向かい土下座をするポワメ。



 「わかればいいにぇ、ここらで、しばらく休憩するにぇ、みんな歩いてばっかりで、疲れてるにぇ。」



 「承知致しました!!………皆!!一旦休憩とする!!十分に水分を補給するように!!」



 ミーコからの命令を受け、ポワメは、せかせかと、馬車の方に戻りながら、魔導士達に休憩命令をだす。



 「で?ミーコ様??でいいか??なんか用があったんじゃねーの?」



 「ミーコでいいにぇ!!あ、ちなみにこの猫耳は、偽物だにぇ!でも、ある呪いのせいでとれないにぇ!!」



 ミーコは、耳をひっぱる、とれない。



 「へえ〜……どれどれ……ホントだ!!引っ張っても取れない!!」



 ミラは怒られた事などすぐに忘れて、再び猫耳に触れ、引っ張る。ミーコはとても親しみやすいのであろう。



 「困った猫耳だにぇ、あ、そうそう、話をもどすにぇ、なかなか機敏な動きだったにぇ、馬車の中が、暇すぎたからじーっと見てたにぇ、素質ありにぇ、ナイトには、ならないにぇ??」



 そう言うと、ポケットから、アティアに向かって飴ちゃんを差し出す。



 「あ、サンキュー、なるぜ!!今から丁度ナイト試験を受けに行くところさ!!その前に、ブルーサファイアをゴリラ山に取りに、寄り道って感じだ!!」



 飴玉を口に入れ、コロコロ転がす、少し甘酸っぱい、レモン味。



 「にゃるほどにぇ!!絶対なったほうがいいにぇ、あ、改めて、私は、【猫巫女ミーコ】にぇ、【皇女様の側近】にぇ、チミたちは、なんていうにぇ??」



 そういうと、飴玉を、3個頬張る、………メロン、パイン、アップル、3つ合わせてミックスジュース味。

 


       欲張りである。



 「俺はアティア!!よろしくな!!」



 「私はミラ!よろしくね!ミーコ!!」



 「ジュル……ジュル……よぼしくにゃ……ジュル。」



 飴玉を、欲張ったせいで、上手く喋れないミーコ。



 「ところで、皇女様の側近のミーコが、こんなところに何しにきたの??」

 


 腕を後ろで組み、興味津々に尋ねる。



 「ジュル……ジュル……ちょっふぉ……待つにゃ……ガリガリガリガリ!!!!ゴクン、にぇにぇにぇ!!……この噛み砕く瞬間が堪らないにぇ!!」



 ししし……と、白く輝く歯をみせながら、満足げに笑う。



 「で?!なにしにきたんだよ!?」



 このミーコ、超マイペースである。



 「ミーコ、一日中馬車の中にいて、体がなまってるにぇ、そこでアティアを見つけたにぇ、結界道の結界を張りにいく場所まで、まだ半日も馬車に乗らないといけないにぇ、先が長いにぇ、だから、暇つぶ……じゃない、ちょっと運動を手伝うにぇ!!」

 


 「マジか!!?こんなところでロイヤルガードと戦えるなんて!!よっしゃー!!戦ろうぜ!!」



 アティアは飛び跳ねて喜び、その場で準備運動を始める。



 「えー、でも、絶対負けちゃうよー!?ミーコは、ジェネラルと同じくらい強いんだよー??」



 「ロイヤルガードだろーが、勝ってみせるぜ!!俺は、カノン姉ちゃんと、【アレク】にずっと鍛えられてきたんだぜ!?」



 心配するミラを横目に、勝つ気満々で体を動かす。



 「ん!?アレクにぇ?アレクって、もしかして

       【迅雷】のアレクサンダーにぇ??」



 むむっと、アティアに尋ねるミーコ。



 「イエース!!そのアレクだぜ!!さ、準備オッケー!!」



 アティアは戦闘の構えをとる!!



 ブゥーーンと、鈍い音を立てながら、白く、体が光りだす!!



 「!?これは!!【光の身体強化魔法】!?珍しい力だにぇ!!おもしろいにぇ!!退屈しなさそうだにぇ!!さあ!!いつでもどこからでも!!かかってくるにぇーー!!!」



 ミーコは声高らかに両手を広げる!!



 シュウウーーーと、ミーコの体から、高熱を帯びた魔力が湯気となりモクモクと天に舞い上がる!!



 「いくぜ!?」



 「くるにぇ!!」



 アティアの腕試しが始まった!!!



 


 



 


 



 


 

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