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超魔導戦線リクレシア  作者: 超一蘭
7/32

ブルーサファイア。



 綺麗な月が、鈴虫を照らす、虫はリンリンないている。



 「いただきます。」



 口を揃えていただきます。久しぶりに、家族4人で夕食をとる。



 「うめ!!うめ!!ガツ……ガツ……おかわりい!?」


 

 アティアは、空になった皿をミラに差し出す。



 「はーい。」



 ご飯とカレーをつぎに席を立つ。



 「相変わらず、食べるのが早いな。」



 カノンは相変わらずの食べっぷりに少し感心している。



 「カレーは飲み物である。」

 


 「ちゃーんと噛んで食べなあ!?」



 テーブルに肘をつき、指を顔の前でクロスさせて名言を放つアティア、それに向かい、サンバが言の葉を発する、それと同時にサンバの口の中で洗練されたカレーが、アティアに向かってほとばしる!!!



         顔面直撃!!!



 「うぎゃあーー!!汚っ!!食べながらしゃべんじゃねー!!BBAーーー!!」



 アティアは、当然叫ぶ。



 「2人とも、食事中だぞ!!行儀が悪い!!」


 

 シャキーン!!カノンのフォークがキラリと光る!!!



 「はいっ!!すんませーん!!」



 サンバとアティアは即座に背筋を伸ばす。賑やかな晩餐である。



 「はい、どーぞ。」



 ミラは、大盛りに盛ったカレーを、アティアに差し出す。



 「あんがちょ。」


 

 満面の笑みである、ミラもついできた甲斐があったというものだ。憎めない、この笑顔。



 「そういえばアティア、お前ブルーサファイアはちゃんと持っているのか??」



 「え?ブルーサファイア??ナニソレ??」



 カレーを貪るアティアのスプーンが止まる。



 「全く……私の時を忘れたのか?ナイト試験は、ブルーサファイアを持っている者しか受けられないのだぞ??」


 

 ハァ……カノンは溜息をつく。



 「……あ、やべ……忘れてた。」



 「え……そうだったんだ……じゃあ、早速、一緒にブルーサファイア探さないとだね!?アティ!!」



 グッと、ミラの両拳に力が入る。



 「は??ミラも付いてくんの??ブルーサファイアって、結界道の外に出ないと見つかんないんだろ??ダメダメ!!危ないからついてくんな!!」



 「やだ!!私、アティについて行くって決めたんだもん!!ひっつき虫になってでもついて行くもん!!」



 バンッと両手で机を叩き、立ち上がり!!なかなかの迫力でアティアに詰め寄る。



 「え……お前マジで言ってんの??」



 鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔でミラを見る。



 「大マジだもん。」



 口を膨らまし、アティアを見下ろす。



 「だーから、さっきミラを守れと言ったんじゃい!!」



 「これはもう覆らん……私もさっき覚悟を聞いた、ミラを頼んだぞ、アティア……パク……モグモグ。」



 カノンは、諦めろと言わんばかりにアティアを諭したあと、ポテトサラダを口いっぱいに頬張る。



 「ったく……仕方ねーなあ!!足引っ張ったらすぐに置いてくかんな!!」



 「はーい。あ、ほっぺにお米ついてるよ。」



 ミラは上機嫌に早変わり、アティアについている米を摘み、食べた。



 「って事はだ……俺と、ミラの分の、2つのブルーサファイアがいる訳か……!?じゃああんましのんびりしてらんねーじゃねーか!?」



 「うん!!早速準備して、明日の朝から出発だあー!!」



 アティアとミラは急いで夕食を済ませる。



 「はいはい!!あんた達はさっさと支度して寝な!!洗いもんは台所に置いときゃえー!!」



 「サンキューな、じゃ!!おやすみ!!」



 「サン婆、ありがとう!!あ!!アティ!!ちゃんと歯!!磨いてから行くよ!!」



 バタバタと、2人は足早に食卓から離れて行った。



 「あーあー、元気だねーー!!……それにしても……いよいよ1人暮らしかい……ズズ……。」



 「ああ、サン婆その事について話がある。」


 

 「ほ??」


 

 サン婆に食後のお茶を淹れた後、自分のお茶を淹れながら、今後についてしばしば話し合ったサン婆とカノンであった。

 


 「いよいよ明日から出発かあー、緊張して寝れねーぜ!!」



 アティアとミラはワクワク、ソワソワしながら、それぞれ布団に入る。



 「そだね!!明日から、よろしくね!!

         アティ!!…………アティ??」



 「………………Zz……Zz……Zz……。」



 「いや、それは流石に早すぎだよ!?」



 そして翌日の早朝ーーー。



 「歯ブラシ!!弁当!!水筒!!金貨!!ミラは杖!!アティアはガントレット!!装備したかい!!??」



 サン婆の最後の朝礼が始まった。



 「はい!!」



 2人元気よく返事を返す、ビシッと背筋を伸ばして立っている。



 「いーかい!?2人、いついかなる時も!!助け合い!!支え合い!!慈しみながら無事にリクレシアに辿りつくんだよ!?」



 サンバは、いつも以上に大声を張り上げる。


 

 それは結婚の時の神父のセリフでは??とかカノンは思ったが、黙って見過ごす。



 「はい!!」



 「私も、今日の午後リクレシアへ帰るとする、2人とも、しっかりブルーサファイアを手に入れて、リクレシアの隣の試験会場へ、無事に辿り着くんだぞ、いいね??アティア、しっかりミラを守るんだよ?ミラ、アティアが傷ついたら、すぐに回復してあげるんだ、あとは………」



 「だー!!大丈夫だよ!!まずは、東のゴリラ山にある、ブルーサファイアからだ!!しっかり手に入れてくるさ!!じゃ!!行ってきまーす!!」



 アティアは今から始まる冒険を前に、はやる気持ちを抑えられずに、そそくさと行ってしまう。



 「あ……アティ!!待ってよー。」



 ミラもアティアについて行こうとする。



 「ミラ!!」



 カノンがミラを呼び止める。



 「……ん??」


 

 ミラはカノンの方へ振り向く。



 「ゴリラ山は、結界道の外だ、魔物の強さが跳ね上がる!!くれぐれも気をつけるんだよ!!」



 「はい!行ってきます!!また、リクレシアで!!」



 そう言い残すと、アティアの背中を追いかけて行ったーーー。



 「行っちまったね、あんた達を、駐屯地で拾って早12年、ソフィア達が、必死に守ったあんた達を、私たちなりに頑張って育ててきた……やっぱり別れは寂しいねえ。」



 しみじみと、アティア達の後ろ姿を、当時の幼い姿と重ね合わせる。次第に涙が込み上げる。



 「サン婆……。」



 カノンは、2人を見送るサン婆の背中を支える。



 「大丈夫……またすぐに会えるさ。」



 そして、アティア達が出発して半日が過ぎた……。



 「それじゃあ、サン婆、行ってくる。」



 「はい!!気をつけて行ってきな!!しっかり昇進しておいで!!」



 「ああ、必ず【パラディン】になってみせるさ、体に気をつけてな、サン婆。」

 


 フッと微笑みながら、リクレシアに帰って行った。



 「ふぅ……さすが、アベルとソフィアの娘だよ、若干18でもうパラディンを狙えるところまでいくとはねえ。」



 カノンを見送った後、テクテクとローゴの墓へと向かう、そして、墓の前でよっこらせと、腰をかける。



 「あんた!!ついにアティアとミラまで行っちまったよ!!」



 サンバは1人、墓に向かって喋り始める。



 「あの子達を、ひろって、いろんな事があったねえ!!ミラが近所のクソガキ達にいじめられて、泣きながら帰ってきて、それに怒ったカノンとアティアがそいつらをボコボコにして、そしたらその親が家に殴り込んできて、あんたと2人でタコ殴りにして追い返したり………え?ワシは何もしとらん??お前が、一人で暴れただけだって??」



 ふふっと、激動の思い出が蘇り、眉を垂れ下げ苦笑する。



 「そうだったかねえ!?これで落ち着く反面、寂しくなったよ!!でも、カノンがもうすぐパラディンに昇格するそうで、そうなると私をリクレシアへ入国できるようになるんだと!!あんまし、無理しないといいんだけどねえ!!それまでは!!あんたの墓拭きくらいしかやることなくなっちまったよ!!!………え?小汚ない墓で悪かったな、だって??………なーに言ってんだい!!この死人は!!」


 


 

 



 


 



 

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