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超魔導戦線リクレシア  作者: 超一蘭
3/32

塵芥。(ちりあくた)

 

 アベルと、魔神が、向かい合う、互いに目を離さず、じっと相手を見据える、次第に高まる緊張……



 高まる魔力と共に、アベルの風が吹き荒れる!!



 「ほう……かなりの魔力だ……悪くない。」



 魔人は少しほくそ笑む、そして、交戦の構えを取る。

 


 「参る!!」



 言葉を発すると共に、魔人に斬りかかる、風を纏いしそのスピードは、常人の人間では反応すらできない。


 しかし、魔人は直進してくるアベルをいなし、拳を繰り出す、その拳を、顔面直撃ギリギリでなんとかかわす、アベルはすぐさま距離をとる。


 

 少し、かすった、かすっただけだが、血が流れる、アベルの頬には、まるで剣で斬られたかのような傷がついていた。



 「マジか……こりゃあ……接近戦は無理か、ならば!……一気に決める!!!」



 剣を投げ捨て、集中する、魔力が更に高まるアベルの体が、緑色に光輝く!!……風の勢いが激しさをましてゆく。


 

 「ほう、魔力が充実していく、分が悪いとみると、すぐに切り替えるか……力の差をしっかり理解しているようだな、悪くない。」

 


 アベルの動きを冷静に分析する、この時点で力の差があることは既にアベルも気付いていた。



 「幾重にも、重なれ、重なれ、我が風よ!!」



 「む!?これは!?」



 風の魔力が渦をまきながら、胸の前で構えた両の掌に、圧縮されてゆく、回転が更に勢いを増し、今にも解き放たれようとしている!!魔人が身構えるよりも先に、魔力を解き放つ!!!



 「奥義!!!塵芥じんかい!!!」 



 そう叫ぶと、掌の圧縮された渦が、魔人に向かい放たれた!!その名の如く、周りの石、瓦礫、あらゆるものを巻き込みながら、魔人に嵐の波動が押し寄せる!!


 「は、速い!!??ちいっーーーー」


 避けるのは無理と判断したのか、即座に頭の前に両腕をクロスさせ、防御態勢をとる。それと同時に黒い影のような膜が、魔人の身体を包み込む。

 


 ビュオオオオオォォォォ!!!!!



 塵芥が、凄まじい轟音を放ちながら、魔人を襲

う!!!


 「ぐ、ぐおおぉぉ!?なんという威力!!!」


 一瞬だった………


 直撃した瞬間!!魔人を覆う黒い膜が、一瞬で剥がされた!!!構えた腕や脚を切り裂かれながら、魔人は必死に堪えている!!!その間僅かに1秒!!波動は過ぎ去って行った!!!がーーー



 魔人は、立っていた。 



「ハァーッ……ハァーッ…………っ……嘘だろ……確かに……直撃したはずだ……何故、立っている?……俺の、全力を使ったんだぞ…………」


 魔力の全てを使い果たしたアベルの手足がガクガクと震える……もう立っているのもやっとだ。



 「危なかった……まさか……俺がここまでの手傷を負うなどと……」

 

 魔人は自分の手足をまじまじと見る……初めて見る自分の血に、少し戸惑っている、ギロリと、アベルを睨みつける、そしてーーー



 「我が名は、ヘルトン……貴様……名は?」



 突然、魔人が名乗りをあげる、少し戸惑ったが、元騎士として、名乗られた以上、名乗らねばならない。



 「は!?……ハァ……ハァ…………アベル。」



 「アベルか……そうかぁ!!!」ニヤリと笑う。



 アベルの名を聞いた瞬間!!高速でアベルに突っ込む!!!


 ズドォォ!!!!!


 ヘルトンの大きな拳が、血を撒き散らしながら、アベルの腹にミシミシとめり込んだ!!!


 「が……はっ……」


 反応出来なかった、ほんの瞬きほどの瞬間で決着がついた。アベルは、受け身も取れずに、顔から地面に倒れ込んだ。


 「すま……ない……ミラ……カノン……アティア……ソ……ソフィ………ア…………」


 

 薄れゆく意識の中で、4人の顔が、目に浮かぶ。

 


    ーーーお父さん、信じてるーーー



 「!?カノン……」 娘の言葉が脳裏にはしる。


 

 魔人は、倒れたアベルを見下す、周りがやけに暗い、ふと、村のほうを振り返るとーーー


 燃えていた炎、家が全て、跡形もなく消え去っていた。


 「……この広範囲をここまで更地と化してしまうとは……」



 「ま……だだ……まだ……終わっちゃ、いねえ……」


 

「!?な、なんだと!?」


 

 振り返ると、血を吹き出しながら、最後の力を振り絞って立ち上がった、パラディンの姿がそこにあった。


 

 「貴様……どこにそんな力が!?」


 

 ヘルトンは驚きを隠せなかった、自分の放った本気の一撃を食らって、立ち上がる者など初めてだったからだ。


 「や……やく……そく……した……負けられねぇ……」


 

 「ふ……ふはははは!!!なんだ?貴様は!?

 約束だと?人間特有の感情だな!!そんなもので、俺に勝てるとでも思ったかあ!!!」


 ヘルトンは、大声をだして笑った、これも初めてのことである。


 「だが、俺に手傷を負わせたのは貴様が初めてだ!!……見事だった、殺すのが惜しいな。」

 

 ヘルトンは近づき、アベルの頭に手をかざす、手から、禍々しく光る黒い光がアベルを包む。



 「くくく……ではな。」


 

 身体が、動かない、アベルの目の前は、真っ暗になった。



 同刻ーーー



 「はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……」

 

 

 ソフィアとカノンは、真っ暗な森の中を、必死に走っている、どれくらい走っているのか、20分くらいだろうか、しかし、カノンにとって、手を引かれているとはいえ、20分も走るのは、初めての事で、足がもつれて、倒れ込んでしまった。



 ドシャァァァ


 「うげっ!!……うぅぅ……」



 さらに、ミラを抱いて走っていたため、ミラを落とさないように、顔面から地面に突っ込んだ!!!



 「ああっ、カノン!!大丈夫!?……ハァ……ハァ……少し休憩しましょう。」



 アベルのスリープと、エアーのおかげで、アティアとミラはぐっすり眠っており、風の力で、体重が一定時間軽くなっている。

 

 ザアアァァ……水の流れる音が聞こえる。


 ソフィアは、川へカノンを抱いて行き、水を飲ませる。


 「ごめんね……疲れたね……」


 カノンの泥まみれの顔をキレイに拭う。


 「ゴク……ゴク……ぷはあ!!……平気、お母さんも、飲んで??」


 そう言って、手のひらに水を汲んでソフィアに差し出す。


 「カノン……ありがとう……」


 カノンの汲んだ水に口をつける。


 「ふぅ……おいしいわ、格別ね!!………さて、カノン、歩ける??」



 「大丈夫!!ミラも抱ける!!」


 

 「偉いわ、さすが私の娘ね!!駐屯所までは、あと少し……行くわよ!!」

 


 それから更に10分、必死に歩いた、そして、2人はついに森を抜けた!!



 駐屯所まではあと少し真っ直ぐに歩くだけだ。



 「よし!!やっと……抜けたわ……あと、ひとふんばりね………」


 

 「グルルルルル…………」


 

 何処からか、唸り声が聞こえる。



 「!?魔物!?カノン!!!駐屯所へ走って!!」


 

 突然の唸り声……しかしソフィアの判断は早かった!!カノンは最後の力を振り絞り、全力で駐屯所を目指す!!! 



 ソフィアは、アティアを抱いたまま、眼前の熊の魔物を睨みつける!!


  

 「炎よ!!焼き尽くせ!!火炎砲!!」



 ソフィアの指先から、炎の細い光線が放たれる、魔物に当たると、炎の渦が魔物を焼き尽くした!!



 「ふぅ……これで……」


 

 安心して、一呼吸した瞬間だった……



   「ガサッ」



 突如、草の茂みから、狼の魔物が、カノンめがけて勢いよく飛び出した!!!


 

 「しっ……しまったああ!!!」

 

 


 

 



 

 

 

 

 


 


 

 


 





 



 

 



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