意外な展開。
「………………。」
ゆるりと座り、やたらとくつろぐゴリラ、赤い体毛が徐々に白く戻ってゆく。
「………あーあ、途中で終わったとは言え、ちょい満足だわ、暴れたらスッキリしたわ。」
そう言うと、ランスとミラを手招きする。
「油断させて攻撃、だろ??そんな手には乗らねえよ!?」
「………………。」
テクテクテク………
「お、おい……」
ミラは手招きされるがままに歩き出す、そしてそのまま、ちょこんと、ゴリラの前に座った。
じーっ、と可憐な少女とゴリラが見つめ合う。
「うん!!大丈夫、このゴリラさん、いい人だよ??」
「ほれ、青髪、お前もこい。」
「え?!……いや、人ではないよな??……じゃなくて!!離れろって!!」
「大丈夫!!私を信じて!!」
ニコリ、とランスに微笑む。
「……………。(一応、警戒だけはしておくか……)わかったよ!!信じてやる!!」
ミラの隣に座るランス。
(変な動きしやがったら槍で串刺しにしてやる。)
「ほれ、目当てはこのブルーサファイアであろう??」
ゴリラは、首にぶら下がっていたブルーサファイアを2つ、ミラに投げ渡す。
「!?ゴリラ……お前……(信じていいのか?)」
「………いいの??私達、さっき仲間のゴリラさん達、傷つけちゃったのに………。」
ミラは申し訳なさそうに尋ねる。
「ああ、あいつらなら大丈夫だぞ??手加減してやったからな、時期に目覚めるさ、それに………ゴリラ、お前、仲間が無事なの分かって戦ってたろ??」
ランスはそう言うと、ポケットからジャーキーを差し出す。
「ウホ、よく分かったな!!お前たちが仲間を殺してない事は、初めから分かっていたウホ……このジャーキーは??」
ゴリラはジャーキーをつまみ、クンクン匂いを嗅ぐ。
「…………まあ、その、なんだ、信用してやるよ、こっちも急に押しかけたから、仲直りのジャーキーって事で。」
頬をポリポリかきながら、少し照れくさそうに述べる、思春期のガキ。
「……………んあ??………肉………??」
「ピクリ………あ、アティのお目覚めだよ!」
ミラは即座に起きたと分かった、さすがである。
気絶していたアティアのアホ毛がジャーキーに反応する。
「あ、危ねえ!!ゴリラ!!早くジャーキーを食っちまえ!!」
「??ウホ??」
その刹那、ジャーキーに向かい、飛びかかるアティア!!
「ジャーキー!ー!」
「…………………。」
ヒョイ。
ゴリラは座ったまま、アティアを避ける。
「ウホホッ、まるでワシらと同じ魔物みたいだの!!アティア!!」
少し面白がっている。
「ガルルル……!!」
ジャーキーを寄越さない、ゴリラに、四つん這いになり、威嚇をする。
「ランス!!ジャーキーある!?」
「え?……あ、ああ!!それ!!」
ミラに向かい、ジャーキーを投げ渡すランス。
「おいで!!」
「!?」
ピョーン。
ジャーキーの乗った、ミラの柔らかそうな膝に突撃!!そのままミラの膝の上で、食事を開始する。
「ムシャムシャ……ウマウマ……」
ミラは満足げな顔をしながら、アティアを撫でる。
「ウファファファ!!スッカリ懐いとるではないか!!面白いガキだわ!!」
「………マジか、しばらくは目は、覚ますはずないんだが、あれだけの魔法といい、いろいろ規格外だな、マジで……。」
ランスはマジマジと、ミラの膝で甘えているアティアを見ながら、再びそのあまりの回復力に驚きを隠せなかった。
「ボリボリ……んー!!上手いウホ!!!何の肉ウホ??」
「ああ、牛だ。」
「…………牛………今度狩って食うウホ!!」
満足げな表情で頬張るゴリラ。
「へっ……気に入ってもらって何よりだぜ。(ん?俺、魔物と普通に会話してるよな??)」
「………あり??そういや、俺、レッドコングと戦ってなかったか??」
ミラに甘えていたアティアが我に帰る。
「おう、アティア、さっきは殴って悪かったな、首は大丈夫か??」
アティアの首を指さすランス。
「……首??………あいでででで!!!ランス!!よくもやりやがったな!?」
「悪い悪い、でも、お前あのまま戦っても勝ち目なかったぜ……なあ??ゴリラのオッサン!!」
「ウホ!!その通りって………誰がオッさんだ!?俺はまだ15歳だ!!口に気をつけろぁ!!!」
急に荒ぶるゴリラ!!!
「げ!?マジかよ!?悪い!!……………いや年下!?…………いや、見えねえよ、年下には!!流石に!!」
ゴリラの顔を何度も見るが、納得のできないランス。
「あ、ホワイトコングに戻ってら……ん??ミラ、その手のブルーサファイア………どうなってんだ??……………いでで。」
首を傾げ、痛がるアティア。
「あのね、ゴリラさん、アティと戦って、それで満足して、実はとってもいい人で、ブルーサファイアくれたの。」
「ふむ、なるほど……サンキューな!!ホワイトコング!!」
「ウファファ!!いいって事ウホ!!それにしても、アティア!!かなり強かったウホ!!本気で殴り合ったのは初めてウホ!また戦おうウホホッ。」
「ああ!!こちらこそ!!あんためっちゃ強かったぜ!!俺はまだまだ強くなる!!お互いもっと強くなって、また戦おう!!」
ガシッ!!
2人はがっちり握手を交わす。
「わーい、仲直りだあ!!これで一件落着だね!」
ぴょんと飛び跳ね、両手を上げて喜ぶミラ。
「魔物と握手、か、ハハッなんなんだよ、これ、魔物と仲良くなる人間なんざ、見た事ねえ、あのゴリラが特別なのか、あの2人が特別なのか………分からんが、こんなこともあるんだな。」
呆れ顔で、握手を交わす2人と飛び跳ねるミラを見つつ、新しい発見をしたランス。
「こいつら、面白えな。」
ニコリと、笑みを浮かべるランスであった。




