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超魔導戦線リクレシア  作者: 超一蘭
10/32

スイカが2つ。



 兎の耳をつけた少女が、魂が抜けたような顔をして、呆けている。


 

 「あわわわ……ごめんなさい!!ごめんなさい!!初対面なのに、色々しちゃいまして、えーと…………ごめんなさい!!」



 ミラは、呆けているウサ耳ピコルに向かって、顔を赤くし、ちょい涙を流しながら謝る。



 「…………ほんとピコ………」



 ピコルの口が微かに動いた。



 「ぶいーーっ……………ふぇ??」



 「ふぇ??じゃねーピコだよ!!いきなり見知らぬ奴に、背後から飛びつかれて、ほっぺすりすり、耳に甘い吐息とかかけられて、たまったもんじゃないピコ!!!許せないピコ!!!!」



 ぶいーっと、鼻をティッシュでかんでいるミラに向かって、激しく怒りをあらわにする。



 まあ、当然と言えば当然か……。



 「おい、雑魚兎ピコル。」



 「誰が雑魚兎ピコか!!?」



 腹を抱えて笑っていたミーコが、急に真顔で雑魚兎ピコルに言葉を浴びせる。



 「全く、情け無いにぇ、仮にも私と同じ【ロイヤルガード】なら、そもそもミラの飛びつきなんて、避けなきゃいけないにぇ。」



 両手の掌を空にむけ、首を振りながらピコルに近づく。



 「バカタレか!!そもそも、さっきあんた達が戦ってた【闘気】と【魔力】が残ってたせいで、弱小小娘の気配なんて、かき消されてたピコなの!!!分かる!?」



 ピンっと、近づいてきたミーコに、デコピンをかます。



 「いでっ、何するにぇ!!」



 「ふーん……気づかなかった、か、なるほどな、強い奴でも、こんな事があんのか……小さな気配は、わりかし便利に働く事もあると言うことか……。」



 デコピンをされているミーコを横目に、ふむふむと、ちゃっかり戦闘の知識を蓄えているアティア、本当は静かな昼下がりを過ごすはずが、今度はロイヤルガード同士の言い合いが始まった。



 「そもそも!!なーんで助けてくれなかったピコか!!」



 「あんな姿のピコルはレアだにぇ!!そんなもん、黙って見るに決まってるにぇ!!!」



 「はあ〜〜!?黙って!?そういやあんた、さっき爆笑してたピコよね!?」



 「え〜??どうだったかにぇ??忘れたにぇ。」



 「くっ、このポンコツ猫〜〜!!!」



 「雑魚兎!!かかってこいやあ!!!」



 うーん、醜い掴み合いが、始まった。

 


 「あわわわわ……私のせいだ……私のせいで、ごめんなさい〜!!」



 その横で、ミラがどうしていいか分からず、ビービー泣き出す。



 「うわぁ……。ナニコレ??」



 カオスだーーー。



 アティアはその状況をただ、漠然と見守るしかなかった。



 めんどくさ、1人でさっさとゴリラ山行こうかな。



 そう思っていると、ピコルの乗ってきた馬車の方から、新たな女の声が鳴り響くーー。



 「こらあー!!何やってるんですか!?先輩、ピコル!!」



 ピタリ、とミーコとピコルの動きが止まる。そのままゆっくり2人同時に、じわじわと振り返ろうとする。



 すると、なかなかキレイなシルエットがあらわれ、両拳をポキポキ鳴らしながら、銀髪ショートボブ、推定Kカップはあろうかというボインが、ゆっくり、ゆっくり、静かなる怒りのオーラを放ちながら、近づいてくる。



 「う、うるさいにぇ!!後輩は黙って……」



 ミーコが、後輩は黙ってろと言わんばかりに振り向いた瞬間ーーー。



 ドグウォアアアア!!!!



 先程アティアが極細ビームで貫いた大岩を、爆乳銀髪女が反動もつけず、ただ、岩に向かって裏拳を振っただけで、えげつない音を立てて、爆散した!!!!



 「は!?……ウソ……だろ??縦横3メートルくらいあったよね??あの岩……。」



 「ひっく……えぐ……………え?」



 アティアの顔が引き攣っている。そして、目線が自然に胸元へと移行する、銀髪女が岩を破壊した後、プルルン、プルルンと無造作に揺れる爆乳に、心と目を奪われる。



 「ば……化け物だ……。」



 ミラもビックリしすぎて泣くのをやめた。アティアと同じく、初めて見る大きさの胸に喉を鳴らす。そして、自然に口が動く。



 「ス……スイカだ……。」



 パラパラと、岩が石に変わって地面におちていく。

 


 「ねえ??ミーコ先輩??時間ないの、わかってますよね??あなたのおかげで……後ろ……詰まってるんですけど??マジ、何してるんですかあ??それと……ピコル??あんた止めに行ったんじゃないの??何小動物同士、たわむれているの??」



 あまりの迫力のせいか、ロイヤルガードの2人が後退りする。



 「い、今から、引きずって……連れて行くとこだった……ピコ……。」



 マジギレしている同期生を前に、ピコルはしょうもない言い訳をしながら、フルフル震えている、その証拠に、自慢の長い耳が、へにゃんと、垂れ下がっている。



 「い、いや違うにぇ!!?私は、ただダイヤの原石を見つけてにぇ!?え〜と……将来有望な騎士になるからちょいと……」



 「………本当は??」



 必死の言い訳を遮るが如く、低く、太い声で、真実を問う、爆乳。



 「……………楽しくて、遊んでたにぇ。」



 「……早く行きますよ??ピコル??」



 そう言い残し、ミーコの猫耳を引っ張りながら、ズルズルミーコを引きずって、馬車へ向かう。



 「ま、待つピコ〜〜!!」



 「いでででで!!耳!!痛い!!もげる!!もっと優しくするにぇ〜〜!!!…………あ、アティア!!ミラ!!またにぇ〜!!!いでででで!!!」



 そのままミーコは、ポイっと最前の馬車に放り込まれ、怒れる爆乳と、震えるピコルも後ろの馬車に乗り込み、馬車は走り去って行ってしまった。



 「な、何だったんだ??あいつら………。」



 「ねー……びっくりしちゃった、でも、ロイヤルガードと戦ったなんて、アティア運がいいよ!!なかなかないんじゃない??」

 


 チラリとミラを見る。



 「…………お前はロイヤルガードに頬擦りしてたけどな…………、まさかうさ耳にまで反応するとは。」



 冷静に突っ込む、ミラは、舌を出し、軽めの拳で頭をコツン……いわゆるテヘペロである。



 「だけど……凄え奴らだったことには間違いねえ、あの3人からは、なんかこう……底の知れねえ魔力を感じた……だてに【皇女の側近】やってねえぜ!!」



 「だね〜、それにみんなとっても可愛かった!

    【ロイヤルガード】かあ〜、憧れるなあ。」

 


 走り去る2つの馬車を眺めながら、2人は奇妙な体験の感想を述べる。



 「さーて!!俺らも止まってられねえな!!

     ミラ!!行くぞ!!ゴリラ山に!!!」



 「おー!!!とるぞーブルーサファイアー!!」



 そして、2人は結界道を途中で抜け、出発から半日かかって、ようやく目の前にそびえ立つゴリラ山に到着した。アティアとミラは、山のてっぺんを指差し、ブルーサファイアを求めて歩きだす。



 その指の先には、一際大きな白いゴリラが、山の天辺でドラミングをしながら待ち構えていた。



 ドンドンドンドンドン!!!!



 「ウーホウホウホウホー!!!」


 

 

 

 


 


 

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