アティア爆誕。
初投稿です。
至らない文章ではあると思いますが、
丁寧に書いて行こうと思います。
楽しんで読んで頂けたら幸いです。
「ん〜っ、気持ちいい風……」
見晴らしの良い、小さな村を、一望できる丘にひとり、佇む美しい女が、風になびく、長く赤い髪を、かきあげながら呟く。
彼女の名前は『ソフィア』、この物語の主人公の母親である。
「あなたも感じる??『アティア』??」
膨らんだお腹を摩りながら、お腹に向かって喋りかける。
「さすがにまだ分かんないか―――ん?」
一人談笑するソフィアの目の前に、フワフワした不思議な手のひらサイズの【光の玉】が近づいてくる。
ソフィアは無意識にその光の玉に手を伸ばす。
「これは……?」
光の玉は、手を伸ばしたソフィアの掌に着地、すぐに
フワフワと宙に浮く、そして――――――
ソフィアのお腹の中に、スッと勝手に入ってしまった。
「え?……ちょっ、ちょっと……」
ソフィアは、いきなりの事で戸惑う。
そして、ソフィアのお腹が燃えるように熱を持つ!!
「ウソ!!熱っ!!ちょっ……熱っ!!ギ……ギャア
アアア―――――――――!!!!」
ソフィアは丘全体、いや、村全体に、響き渡るほど大声で叫んだ。
ダダダダダダダダダダダダ――――――
丘に激しい音が響き渡る……うる若き妊婦が、
村にある、小さな古びた診療所に、膨らんだお腹を押さえつつ、大きな砂煙を巻き上げながら、ソフィアは爆走する!!
バアン!!!
「緊急事態発生!!緊急事態発生!!」
ソフィアがはっきょうしながら、診療所の扉を激しく開く!!
「ふあっ!?」
びっくりした老婆が振り向く。
「ロウゴ先生!!いる!?」
「ソフィア!!てめえ!!どうしたあ!?診療所内では、お静かにいいいい!!」
ロウゴ先生の妻、サンバさん(齢70)が対応する!!
「ばあさんや〜、アンタもお静かに〜……ソフィアちゃん、一体どーしたんだね??」
ソフィアは、丘の上での出来事を先生にはなす。
「かくがく、しかじか、なのです。」
先生は、手でソフィアのお腹をなでながら
「ん〜、聞いたことない事例だねぇ〜、触った感じ特に〜、異常はあ〜、ないねえ〜……それと、もーすぐ産まれそうじゃし??安静にしとかんと、いかんねぇー」
「アティは……アティアは大丈夫なのね!!??」
すごい剣幕で、先生に詰めよる!!
それはそうだ、突如、お腹が燃えるように熱くなったのだ。先生は再びお腹に手を当て。
「お、落ち着かんかーい。…………ふむふむダイジョーブじゃピンピンしとるぞぉ〜!!」
ホッ…………ソフィアは胸を撫で下ろす。
「よかったあー……!?ぐえっ!?」
アティアがお腹を…………蹴った。
空がだんだんと茜色に染まってゆく、はやく夕食の支度をしなければ、夫と娘達が帰ってからくる。
ソフィアは、村の家に帰宅し、鼻歌混じりに、夕食の支度をしていた。
「帰ったぞー」「タゾー」
アティアの父親が、村仕事から、小さな幼女と赤ん坊を、背負って帰宅する。
「おかえりー、今日もご苦労様!!」
ソフィアが、笑顔で迎え入れる。
「ママーたらいまー!!」
無邪気に、笑いながらソフィアに、抱きつくこの黒髪カワイイ幼女の名前は、
『カノン』(3歳)
アティアの姉である。
「今日も、ミラちゃんのお世話、できたー、カノン、エライー??」
父親におぶられている、サラサラな金髪をした、この愛くるしい赤ん坊の名前は、
『ミラ』(生後6ヶ月)
一ヵ月前、ソフィアの夫の、親友夫妻が不慮の事故で、亡くなってしまい、他に引き取り手がおらず、ソフィア夫妻が、引き取って育てている。
「毎日えらいでちゅね〜、いい子いい子〜、チュッチュッ。」
「ぴゃあーーーーー。」
ソフィアにチュッチュされたカノンは、イルカの超音波、のような声を発する。
「『アベル』、お風呂、沸いてるから、カノンとミラ先に入れてね、お風呂から上がる頃には、晩御飯できるから。」
「あいよー、カモン!!カノン!!」
「カモン、カノーン!!」と真似るカノン。
タタタタ―――と元気よくアベルを追い抜かし、手際良く自分とミラの服を脱がし、湯船にダイブする!!
バッシャーーーン!!!
「おわっ!!カノン!!ミラごとダイブしてんじゃねー!!」
アベルは慌てて風呂場に、駆け込んで行った―――
「ふふ……さ、今夜はシチューよ!!」
ソフィアは腕によりをかけて、愛を込めて、栄養満点、グツグツ、美味しそうな匂いの香るシチュー、をかき混ぜる。
30分後、ミラにおっぱいをあげた後。ミラはすぐに爆睡。
「ふふ……かわいい顔してぐっすりね。」
ミラのオデコにキスをして、シチュー、パンを盛り付ける、アベルとカノンは、正座して、料理の陳列を今か、今かとソワソワしながら待っている。
「はい!!出来上がり!!いただきます。」
「いただきまーす!!」
3人は、シチューに口をつける。
「おいちー!!」カノンは無我夢中でシチューを頬張る!!よほどお腹が減っていたのだろう。
そんなカノンの頭を撫でながら、
「そういや今日の昼頃だっけか……なんか丘の上からデケエ断末魔の叫びが聞こえたんだが……お前聞こえたか??」
焼きたての、香ばしいパンを頬張りながら、アベルはソフィアの顔を見る、ソフィアは、それだ、と言わんばかりに、アベルを指差し話し始める。
「今日ね、丘の上にいたのね?それで、光の玉が宙に浮いていたの。」
「ん?光の玉?うん……」ズズ……シチューを飲む。
「でね?私の掌に光の玉が乗ったの。」
「うん……うん??……うん。」アベルは少し首をかしげる。
「熱くて、不思議な光でね、そのまま、私のお腹に入っていっちゃったの。」
ソフィアは、アベルを曇りなき眼、で見つめる。
「てか、断末魔、お前だったのか……てか、それ本気で言ってるのか??」(真顔)
「だってホントなんだもん、でね!!先生に見てもらって、そしたら、アティアが、お腹蹴ったの!!」
ソフィアは満面の笑みで話す。
「もうすぐだな、名前は……やっぱアティアだよな??」
アベルは、ソフィアのお腹を見つめながら、子供の名前を再確認する。
「ええ……この子は、アティア……特別なの。」
「トクベツナノー!!」
シチューを食べ終わったカノンがソフィアの膝にちょこんと座る。ソフィアは、カノンの頭を撫でながら、パンをかじる。
うん―――いい出来だ!!
「うっ……」
突然ソフィアは口を押さえる、アベルの顔を、苦しそうな顔で見つめる……
「まさか……!?」
アベルは察した!!
「ち、ちょっ、ロウゴ先生呼んでくる!!」
家の前に慌てながら駆け出し、
「風よ、我に瞬足の力を――――!!」
アベルは風の魔法を詠唱する。
ヒュウゥーーーーと
アベルの両足に、小さなつむじ風が、纏わりつく。そのまま突風が吹くかの如く、診療所へと、疾走してゆく――――。
「んー?なーんか、嵐が、来そうだねえ〜。」
「はいぃ?患者の見過ぎで、ボケたのかい??」
ロウゴ夫妻が、一息ついて、軽快なトークを繰り広げているところに、アベルが、風と共に息を切らしながら突っ込んで行くーーー。
診療所の扉が激しく開く!!そのままアベルが侵入!!
しかし、その勢いのまま、サンバさんに、体当たりしてしまう!!!
「やべっ!!サン婆!!避けろおーーー!!」
アベルは叫ぶ!!だが、時すでに遅し。
「ギャッ!!」 ドガアッ!!!
ダイレクトアタックーーー
叫びも虚しく、サンバは吹っ飛ぶ、が、すぐに空中で回転し、体勢を立て直し、壁に激突する前に、足で見事に衝撃を相殺!!見事に何事もなかったかのように華麗に、着地した!!!!
クルクルクルクル……ダンッ!!……シュタッ!!
「おおーー……」パチパチパチパチ……
2人は華麗な身のこなしに喝采を送る。
「いや、殺す気かああああーーー!?」
サンバは叫ぶ、当然である。
「悪い!!それより……ソフィアが産気づいちまって………」
「なっ、なんだってえーー!!早よ言わんかい!!」
サンバは、殺されかけたことなど、気にも止めずにイソイソと身支度を整える!!
「そうくる頃だと、思っておったよ、やっぱり、嵐はきたね〜、丁度今、出産セットを用意したところじゃよー、さ、早くワシを連れて行きなさい〜。」
そういうと先生とサンバは外に出る。
「すまねえ!!恩に着る!!!しっかり捕まってな!!!」
アベルは2人を背中に担ぎ、再び風を纏わせ、全速力で家に向かった。
そして、それから数時間後…………
「うぐあああぁぁぁ……!!」ソフィアは必死になって、出産の痛みと格闘している。苦悶の表情で呻いている!!その隣で…………
「あああああぁぁぁ!!うおあああぁぁぁ!!」
アベルと、カノンも呼応するが如く、発狂している!!
「お前ら、うるせええええ!!!ちょと黙っとけえええ!!」それ以上の気迫で、サンバは二人を黙らせる!!
「やばい、やばい、やばい!!ふんっーー!!」
ソフィアはさらに力む!!もう少しだ!!
「そろそろだねー、アベルや、急いでお湯を持ってきてくれんか??」
先生にそう言われると、アベルは急いで沸かしておいた風呂から、木の洗面器にお湯を入れ、ダッシュでソフィアの股へと持ってきた!!
「もうすぐだよー!!ほれ!!もう一息!! 頑張れ!!気張れ!! ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!!!」
先生は、出産の呪文を唱える。
「ヒッヒッフー、ヒッヒッ……フウアアアア!!」
ソフィアは、サンバに背中を摩られながら、全力で出産の呪文を唱えた!!!
そして……スポーーーン!!!バチャアン!!
見事、綺麗に、滑り出るが如く、
勢いよく、男の赤ちゃんが、姿を表した。
一同「あ。生まれた。」
それから、3年の月日が流れる。
そして、ソフィア達の、運命の歯車が、狂い始めて
ゆく―――