表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/152

ニコのアルバイト(本人編)

 今日も、アルバイトに行きます。今日はちゃんとお給料をもらってきます。昨日はギルマスに「折り紙付きの大間抜け」と叱られてしまいました。これはご奉仕会の活動ではなく、お仕事で、お給料がもらえるのを忘れてはいけませんね。

 

 お金は何をするのにもいるのです。「稼ぐ」のは大切で、それが自立につながるのです。特に外では。もちろん学園でも必要でしたけれど。


 学園にいたときは、学園のお店で材料を買いました。おいてあるカタログで選んで、何をいくつと紙に書いてお店に出しておくと、次の日に受け取れるのです。ひと月いくらという制限があって、それを越えてしまうと頼めません。書いておいたリストが全部は買えない場合は、リストは書き直しです。残額を把握しておくようにと言われていました。


 カタログにないものも頼めますが、これは詳しく書いて、お店に出します。外から取り寄せるので時間がかかるもので、時々お店に来ているか確認にいかなくてはならないものでした。


 例えば、レースの糸でも20番と40番はいつでもあるのですが、70番80番となると外から取り寄せ。色も白はいつでもありますが、ちょっと珍しい色は注文です。Ecruやピンクや水色のパステルカラーは大体ありましたが、たとえば明るくて濃い黄緑色とか、コバルトブルーになると40番でもそうはいきません。


 学校で買えた箱入りのセットではないビーズも、注文のものがたくさんありました。ビーズは細かい違いがあるので、注文の時にどんな形か絵を描いて寸法を添えたりするような工夫がいるので大変です。


 お店の人がすぐわかるような注文の仕方でない場合は、呼ばれて説明をすることになります。はっきり説明できないようなものは頼めません。「頭がガラスの待ち針、頭のサイズが2ミリ程度の玉になっているもので、長さが5センチ以下」だとか、「コットンレースの40番相当で、シルバーの平ラメの入っているもの」とか、「白のシルクのイーブンウィ―ブの刺繍用スクリーン、1インチあたりの糸の本数が32本のもの、30センチ四方」とかどうやっても間違いが出ないぐらいに書かないとダメということです。


 昨日作った造花の材料はすばらしかったです。あの深みのある色合いの暗紅色のベルベット、学園のお店にあったら素晴らしい早さで売り切れるでしょう。本物のバラのようでした。あれでシルクではなく、化繊のものだというのですから、外の技術に目をみはるばかりです。


 何とも言えないあのグラデーションのオレンジの縁取りが入った黄色の花びらも、透けないのに薄くて、細かいウェーブがかかっていて、とても美しいポピーが作れました。重なったところが厚くならないのできれいにまとまるし、ちょっと手で整えると、大変見栄えがします。


 奉仕会であんなお花を作れたら、絶対正面の中央を飾る栄誉をもらえるでしょう。そうです、あとはあの聖母様にぴったりの白い百合。ピンクのエリカや、青いアネモネとと一緒に飾ったらまるで本物、いえ、キャンドルの光で見れば本物より美しいかもしれません。冬の寒い時期にもあんなお花が飾れたら…。


 熱をかけて、ああいう形に成型するのだそうですが、百合の花びらのカーブが本当に、本物をほどいて籠にいれたようで、まるで香りがするようでした。


 それにここで使わせていただけるグリーンのテープ。粘着力が高いのです。巻きつけるときによく伸びますし、もちろんうっかりよじれたりすると直すのはかなり無理ゲーですから、気を付けないといけないとはいえ、「もっとちゃんとくっつけばいいのに」と思ったことがある私としては断然こっちのテープの方が「イチオシ」だと思います。


 作業着を着た方が「明日は他のものも作ってもらうことになるけど、いいかい?」とおっしゃいましたがもちろんですとも!私が見たことがないような、美しい材料がきっとまだまだあるのでしょう。みなさんが親切にしてくださいましたし、お友達にきいていた怖いと言われていた人にも会いませんでしたから、きっと大丈夫です。


 機械で花びらを打ち抜く「パンチング作業」というのは結局やりませんでしたけれど、手分けしてやることになっているようなので、その作業が回ってくることもあるのだと思います。


 友達はそのパンチング作業をずっとやることになって、とても退屈だったと言っていました。単純作業はきらいじゃありませんから、頑張りましょう。ミサ姉とシヴァには、アルバイトというのは経験のない人がすぐ出来るような作業の募集が多いので、そういうものだと思ってやるしかないと言われました。セブンは「ニコはあの退屈なインゴット掘りが延々出来るんだから、バイトが単純作業でも大丈夫だよな」ですって。


 ギルマスには「言われた通りに作業をしてこい」と言われています。わからなければ質問をし、なるべく同じ作業をしている人の真似をして、これでいいのかどうかわからなくなったらちゃんと尋ねるのが正しいそうです。「多分こうだろう」と思って作業して、あとから実は違いましたということになったら、後始末が面倒なので、私の上司になる人も多分気を付けるはずと言われましたが、なんでも質問するように言われました。


 つまり、外でもnewbieというものはあるので、そのつもりで疑問は解消するべきだと言われると、わかりやすい気がします。

 

 初めてこのスキルを取るnewbieだと思えば、質問をして、効率よくスキルを上げるのは王道です。見当違いのことをしているとスキルは上がりませんものね。


 ギルマスに、「もし何かあったら俺らに電話して来い」と言われて、ギルマス、ミサ姉、シヴァの三人の誰かにと言われました。ロックとセブンはだめだそうです。

 セブンが「えー?」と言っていましたが、ギルマスはセブンに「お前は外部向けの対応がまだ甘いからな、社会人一年目ではまだ足らんやろ」と言われていました。

 ミサ姉は学生なのですが、そこはセブンとは違うのだそうです。

「社会人」というのは、なかなかにややこしいもののようです。


 今日もがんばります。


心を尽くし、力を尽くして働くことによって、喜びに満たされますように

麗しの聖母様、愛し子でいらっしゃる救い主様、精霊のお導きによって、かくあれかし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ