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宣戦布告と謎の逃亡

 PvPが怖いから嫌い、と言うとったニコやのに、セブンやシヴァや、ミサに相手をねだり、死んでもええからやってくれというらしい。ちょっと変ではある。


 非常時のこともあるからと一応前からもちょっとずつは練習させといたが、どちらかというとしぶしぶや。スクロールで詠唱、ターゲット、装備して抜刀、ダブルクリック。この一連を覚えさすんもなかなかで、成功率が上がらん上に、言われたときにしか練習せんもんやから、まあ、ええとこ3割いくかいかんか。


 ロックは「やっとけ」言うたら、熱心に練習しよるから、成功率はぐっと上がっとるが、ニコはええ加減に練習しときよって、週末にセブンに「やらせとけ」と言うといたら、兄妹げんかになっとった。

 ニコはセブンに殺されよるし、ミサはセブンを殺し返しよって、2人でドタバタと走り回って、うるさかった。

 シヴァがニコを冷静に別部屋へ連れて行って練習させとったけどな。


 システムメッセージが出た。

 Guild "Knight of Virtues KV" declares war on you!

 おう、宣戦布告か、珍しな。


 うちは今のところ敵対するギルドはない。まあ、こないだのFPKみたいなやつらは敵対といえるやろうが、ゲームシステムを使って敵対するのも面倒で、青のまま殺した。殺人(PK)カウントを取る気があれば、あれで十分なわけや。


 このギルド戦争のシステムは、相手を殺してもPKカウントにはならんようにする仕組みで、敵対ギルドはキャラの見え方が違う。同盟は緑に、敵対ギルドはオレンジに見える。

 同盟、または敵対しとるギルドのメンバーとは、ガード圏内で戦ってもガードには瞬殺されへん。無関係のキャラは、犯罪フラグが立たない限り青に見える。そのキャラにガード圏内で攻撃したらガードに瞬殺がこの世界の常識やが、オレンジと緑はどこで攻撃しあおうと自由というわけや。


 敵対ギルドのオレンジが近くにいると、安全圏のはずの街でも()()()()しとるわけにもいかんようになるから、気が休まらん。サブギルドとメインギルドでPvPの練習用に色をわけとるギルドもあるが、オレンジのキャラにヒールをかけようとすると、ギルド戦においては敵対行為ですが、いいですか?みたいな警告がいちいち出るんがうるさい。


 まあ、うちは少人数の割にギルドのチャーターは高めで、俺とシヴァがランカーやからそういう風に出てしまうんやが、面白半分に戦争を仕掛けられることが時々ある。こっちが受諾するかどうかは選択権があるから、受けんかったらそこまでやが…時々セブンやゴンザがどこぞで敵を作ってきよって、こういう宣戦布告が出ることがある。


 ミサや、シヴァ、俺はもう、そういうのが面倒くさいから、トラブルにならんようにしとるが、ロックもだいぶPvPの腕が上がってきたから、そういうややこしいんに引っ掛からんとも限らんからな。

 相手が負けて逆恨みというケースも考えたらギルド会議で聞いといたほうがええやろ、誰かがやらかしとったらそこのギルドマスターと話にいったほうがええからな。


 ちょっと今、ぴっと嫌な予感がした。これは、ちょ、ニコか?あのPvP嫌いのニコが、熱心に練習しとるやなんて、確かに変や。死ぬのが嫌いなんですとじたばたしとったのに、殺されてもええから練習したい?…ないな。

 今日は平日やが、緊急会議や。吐かす。


 シヴァと、ミサが駆け込んできよった。おう、準備万端やな。

 ミサのキャラがもっとるマジックのクロスボウは、このサーバーに2本とないかもというおっそろしい代物で、HPを一発で半分近く持っていきよる。old timer(古参)がゲーム引退するときに受け継いだというプレパッチ武器。これと7thの魔法のコンボで、どんだけ負けたか。


 大体こんなもんは銀行に入っとるキャラは多ても、PKされて取られることを考えたら、持ち歩くもんはまあおらん。これを平気で持ち歩くんがミサや。


 まあ、ギルド戦たけなわ…と言う時ならともかく、ミサはこないだもニコをダンジョンでPKしよったやつを探して、私の妹になにをするのよ、と、がっつりこいつを打ち込んで殺してきたらしい。こんなんニコがいくようなダンジョンの面白半分のPKに撃ったら瞬殺やろう。


 速度の遅い武器やからコツは必要やが、一発当たればHP最高でも半分ほどは持っていかれるからな、ミサの腕なら立ち回って2発打ち込むんは難しいことやないし、魔法とのコンボでよければまさに、逃げる暇もないやろ。

 そこらのnewbie狙いのPKにはもったいないぐらいや。


 Siva:シンイチ、心当たりは? 

 Ichi:俺には、ないな。なんかあるか?

 Siva:ネットでギルドチャーター見た感じでは、俺も心当たりはない。


 Siva:人数が少な目で、リストが1ページ

 Missa:私もないわね、日本人じゃないと思う


 ミサは、日本人ギルドの知り合いが多い。かなり小さいところまで知り合いがおるようやから、日本人ギルドの線はないやろう。

 もし誰かが、(いさか)いになるようなことがあれば、日本人の中ではまず、知り合いから相手のギルドマスターへの伝手(つて)を頼って、話をするという方向へ行く方が自然や。どのギルドにしろ、いきなり戦争布告はよっぽどで、他に理由があるとすればセブンか、ゴンザがどこぞやでヤンチャをしよった、という線が有力や。でも、今回はなあ。


 Ichi:実はなあ。なんとなく、原因はニコのような気がすんねや

 Siva:戦うのが怖いのに?

 Missa:ダンジョンで攻撃されたら、まずスクロールでコールアウトするように言ってあるのに?


 Ichi:そのニコがな。PvPの練習やぞ?おかしいと思わんか?

 Siva:確かに。ロックが熱心だからニコもかと思ったぐらいだったけど

 Missa:皆殺しね。弱そうだし。

 Ichi:おいミサ、なんでそっちにいくねん、ニコがなんかしよったかもしれんやろ


 Missa:ないない。ありえないわ


 ****

 全員ギルドハウスに集合や。

 そうメッセージしたはずやのに、ニコがコールアウトしよった。reg切れか?

 銀行に寄ってregを足してとんぼ返りは、まあええやろ。


 そう思ったんやがセブン、ロック、ミサ、シヴァ、俺。全員そろってもニコが来ん。めちゃくちゃ珍しい。

 メッセージを各人が入れてみたが、なしのつぶてや。


 これは、なんかあんな。


 しょうがない、こっちは人数が足らんから、アヴァロンへ連絡して、ニコを殺してもええから足止めしてくれ、とメッセージを入れた。


 Rol, plz look for Nico, emergency, you may KOS her if necessary, send her back to BB btw if possible, plz send Blacky to BBGH, thx

(ローランド、非常時。ニコを見つけてくれ。必要ならKOSで、BBのギルドハウスへ移送してくれ。もし可能ならブラッキーをうちへ出してくれ、すまん)

  まあ、こんなメッセージを送ることは滅多にない。これはギルドの決定に異を唱えて問題行動を起こそうとするやつがいるときの文面と言っていいい。「殺していいから、止めろ」やな。


 Ichi:非常時やな。ミサ鉱山町、ロック西日、シヴァ中央。セブン森の町

 Ichi:逃げようとしたら死なせろ、俺はここにおる

 Ichi:幽霊のままでええ、連れてこい。


 何をやらかした、チビ。何で逃げとるんや、泣かすぞ、ほんまに。


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