アヴァロンでスパーリング その3
ニコが、アヴァロンにスパーリングに出かけよる。結構な頻度で通っとるし、もうそろそろスキルがカンストになっとるはずなんやがと思って、聞いてみたら、スパーリングで上がるスキルは全部カンストらしい。あとは魔法抵抗が上がれば終わり。ヒーリングまでカンストしとった。上がりにくいスキルやのになあ。
なんでまた、全部上がってからも行くんやと思ったら、スキル上げを手伝うとるらしい。「みんな楽しみにしているので」と。そら、スキルが上がって嫌な奴はおらんやろけども。
「みなさん、ちゃんとヒールしてくれなくて、死ぬんです、元気が良すぎです」と愚痴りながらでも行くんやな。ちょっと見に行くか。
そう思て見に行ったら、なんやごちゃごちゃしとって、えらいことになっとる感じや。
ニコの体力は3割ぐらい、みんなで寄ってたかってタコ殴りになっとる。これはちゃんとステータスバーを見てへんやつが多いな。
ニコが刀を振り回して、"trainees, back off!"と喚いとる。慣れたもんやな。周りのもんは殴られて下がって、ニコが包帯ヒールを自分でしたら、またワッと寄りよる。これは死ぬやろう。スタミナ切れでニコが動けへんようになった時が死ぬタイミング…という感じになるやろな。
「あ、ギルマス」
とニコがタイプインした途端に体力が減る。こら、見とかんかい!
魔法でヒールをかける。
Nicole:thank you sir
(ギルマス、ありがとうございます)
Ichi: Nicole, come over here
(ニコル、ちょっと来い)
Nicole:sir?
(はい?)
ガツンと削った。
Nicole:!
Ichi:keep eyes on your HP bar all the time. it was too low
(HPバーから目を離すな!下がりすぎだ!)
Nicole:yes, sir I am sorry!
(はい、申し訳ありません、サー)
Ichi:of course you are
(そうだろうとも)
もう一撃。
Ichi:go! rez at the nearest town and run back here, no call
(一番近くの街まで、走ってrez。コールなしで走って戻ってこい)
ちょっとかわいそうやけど、しゃあないな。見せるんが大事なんや
Ichi:soldiers, attention!
(戦士ども、気を付け!)
Ichi:do you know that Nicole is all skill-capped??
(お前ら、ニコルが全スキルキャップなのを知っているか)
Ichi:she does NOT need to come here
(もうここに来る必要は、彼女には、ない)
Ichi:she is working for YOU, using her time
(お前らのためにここへ来て、時間を使っているということだ)
Ichi:She has nothing to gain with this sparring
(スパーリングして彼女が得をすることは何もない)
Ichi:she's here just because she is nice
(ここへ来るのは、彼女の好意でしかない)
ざわざわしとるな。そらそうやろ。
Ichi:make sure to prepare bandages and heal her
(包帯を用意して、ちゃんと彼女をヒールしろ)
Ichi:if she dies again,I order her to stop helping this ungrateful bunch
(次にここで彼女が死んだら、感謝を知らんこの馬鹿どもを手伝うのをやめろ、と命令するからな)
それから一人ずつ呼んでhpの数値を聞き、一人ずつHPバー全部とSTAバーギリギリまで削った。
ロールプレイヤーは驚愕したり倒れそうになったり座り込んだりと色々な表現を出しながら散らばり、ロールプレイヤーでないものは立ち尽くして、自分をヒールしとる。
Ichi:How do you feel?
(どんな気分がする?)
Ichi:Is that a good way to treat someone who helps you?
(それが、自分たちを助けてくれる人に対してとる態度か?)
Ichi:heal her before she asks to back off
(下がれ、と言われる前にヒールしろ)
Ichi:she cannot heal herself because she is hit by all of you
(全員に殴られていると自分自身のヒールは出来ないからな)
Ichi:heal everyone around you without being asked
(自分の周囲にいる者全員も、何も言われる前にヒールする)
Ichi:prepare bandages about 100 or 200 each on you and share
(包帯は百から二百枚は持って、足りん者と分け合え)
Ichi:if you do not have healing, then use magery
(包帯ヒールスキルがない者はマジックヒールをかける)
Ichi:make sure to watch everyone's bar
(全員のHPバーを必ず見ること)
Ichi:Clear? any questions?
(わかったか!質問は!)
ガキどもばかりでなく、ちょっとしっかりしたプレイヤーも混ざっていたようで、謝罪を入れるやつがおった。 ま、このあたりが女王のガードに入りよるんやろな。
ニコが帰ってきよった。長距離を散々走らしてから、早なっとんな。
Nicole:sir?
(帰りました)
Ichi:Nicole, next time you die, back to the guild house and call me.
(ニコル、お前次に死んだら、ギルドハウスへ報告しろ)
Nicole:?
Ichi:answer me soldier!!
(返事をせんか!)
ざっくり削っておいた。ま、見せとく、いうことや。
Nicole:yes, sir!
(はい!)
Nicole:*ouchies*
(いったいなあ…)
そのあと俺は帰ったが、あとで帰ってきたニコがいうことには、ヒールしてくれる人が増えて、包帯ヒールではなくて、ヒール魔法をかける人も増え、楽だったと言うとった。そんなもんやろ。
Nicole:ギルマス、私を走らせている間に、何をしたんですか?
Nicole:すばらしくお行儀がよくなっていましたけれど
Ichi:おう、そらよかったのぅ。あのガキどもにまた殺されたら報告せえ
Nicole:はい、ギルマス、ありがとうございます:)
Ichi:np =)
誰か今日のことを女王か、ローランドか、weaponmasterか、そのあたりの耳に入れたやつがおるらしい。うちのチビがスパーリングを散々しとった、ということがわかって、慌てて礼を言いに来た。
アヴァロンの方で、スパーリングの当番を決めて、回すことにしたそうで、気が付かなくて申し訳なかったと頭を下げられた。
ニコはいつも助けていただいていますから、というようなことを言って流していたが、俺は見習いたちに何を言って聞かせたか、ということはローランドにばらしておいた。
どこの国のやつらであろうと、協力するというのはいいことだし、アメリカ人だから、日本人だからというのは、な。ここにおる間は全員が王国人や。個人でも、協力しても、どっちでも動けるのがいい。俺はそう思う。




