WTF問題、Fは厳禁
時々、女王様のところまでおしゃべりに行きます。
ロールプレイヤーなので、詰め所であいさつをして、そこにいる当番の人(交代で詰めているそうです、さすがロールプレイヤー。待ってるの暇じゃないんでしょうか)にエスコートしてもらって、女王様のお部屋に案内されます。
大体侍女さんという設定になっている人がひとりか、ふたり。ローランドさんが部屋の入口のあたりに護衛として入っていることが多いです。これは女王様が決まった時間に空きを作って呼んでくれているという設定です。
この間、寝坊して、学校をさぼって、ギルマスに出された罰の幽霊マラソンは、本当につらかったです。あんなことをもう一度することになるぐらいなら、病気になっても学校に行く方がましなぐらいです。60分授業3コマか90分授業2コマなので、どっちにしてもあの幽霊マラソンより短いですから、本当に、授業の方が百倍ましというものです。
ギルドハウスのテーブルに固定されているあの本をギルマスが早く捨ててくれるといいのですが。
「ちゃんとええ子になったとわかるまで、このままじゃ」
――とギルマスは言うのです。
絶対いい子にしていますから!とお願いしても、最低二週間はこのままだと言われてしまいました。
「RLでもここでも、また悪さをしたらもう一冊展示する」なんてギルマス、ないですそんなの!
ギルドハウスに入るたびにはずかしくて、顔が熱くなります。
どんなことがあったのかdetailを聞かせて、という女王様のリクエストで、どうなったかの話をします。鉱山町のPKを丸め込んだ話という話では、greek societyとは、という解説をしてもらいました。
アメリカの大学には成績優秀者だけが入れる会があって、大抵ギリシャ文字3字ぐらいの略称がついているそうです。φβΚというような感じになっていて、そこへ入れてもらうのは名誉なことなのですが、入る時に、hazingというのをされて、それに耐えた人だけが入会の儀式に耐えたということで入会できるのだそうです。
痛かったり、つらかったりするようなことが多いので、真剣に入りたい人だけが頑張れるから、ということのようです。秘密結社(って、なんだかいい響きです)にもそういうシステムがあるところがあって、つまりうちのギルドにはそういう制度があるのだと思ったプレイヤーがいたということなんですね。
ちなみに、ローランドさんは、私がやったのはちょっときついので、行程は山間の村から、中央シティ分ぐらいにするそうですが、見習いのジュニアたちから、戦士団への入会の試験を幽霊マラソンにしようと思っているそうです。
ジュニアというと、スパーリングに来る人たちですよね。ヒールスキルがなかったり、話を聞かないで殴り続けて私が死にそうになったりするので、不注意な感じがします…。ちょっと待ってったら!とこないだ、ナイフの代わりに刀を出して、全員HP半分以下ぐらいに減らしました。そうしたらなんとか止まりましたけれど。
大体殴られるのが私一人なのですから、気を付けてくれないと死ぬのです。いつでもロックが一緒に来てくれてヒールしてくれるとは限らないし、ギルマスもシヴァも呼べばもちろん来てくれますけれども、あまり呼びつけるのもよくないと思うので。
あの元気いっぱいというか、話を聞かない男の子たちが、幽霊マラソンは厳しいんじゃないですか。それも集団ではなくて、一人ずつだったら、途中のPKにやられますから…集団で走れば多分、もっと安全ですけれども。山間から鉱山町の門ぐらいまででいいんじゃないでしょうか。
鉱山町付近はインゴット狙いのPKがいるので、距離の割に踏破が難しいと思います。私も、もう一度やれと言われたら、果たして中央タウンまでたどり着けるかどうか…鉱山町でももう、やりたくありません。せめて…せめてナイフじゃなくて剣か、でなきゃ包帯10本ぐらいあるとかなら「運ゲー」ですね、セブンに教えてもらいました。「無理ゲー」の亜種だそうです。運が良ければ、クリアできる無理ゲーが、運ゲーなのだそうです。
途中で剣とかを手に入れて、そのあとまた死んで、それはひどいと思ったという話をしていたら、excuse me,と言われて話を止められました。
ローランドさんが、私にログを見るように言いました。
ログを出したら、wtfという文字列が、私が言うのにふさわしくないのだと注意されました。あ、それは聞いています、ギルマスに注意されました。頭文字が並べてあるのは知っていますが、そのうちの1つ、Fが、どうにもだめなのだそうです。特に女子には絶対ダメなのですって。
ギルマスに聞いています、と報告したら、では、その場合は言ってしまったあとにExcuse meは少なくとも出すのです、と言われてしまいました。慌ててごめんなさい、と言っておきましたが、女王様も、ローランドさんも、侍女さんまでもが、「次は」ダメだとおっしゃるのです。つまり、これは本当は、一度でもだめなもので、一度は目こぼししてくださっても、もう一度やったら、大雷…ということなんですね、わかりました。
しばらくしゃべっていたら、部屋にばーんと飛び込んできたのが、ジュニア戦士のひとり。誰かが死んだらしいです。
ああもう、今度は誰ですか!だからいつも気を付けてくださいと言っているのに!
また、Skyeか、shallonか…でなければClaftyhandsあたりでしょう。不注意三人組です。
ヒールを人任せにして適当に殴り合うとたいていこうなるんですよね。
屋上へ行って、ローランドがrez、私がヒールを包帯でかけます。全く、周りを見ないと死ぬんですってば。HPバーだけでも、出しておけばいいのに。
そこにいた全員を順番にヒールしていると、hey! nico, will you spar with us?(スパーリング、する?)と聞かれます。割とこの人は丁寧な方です。たいてい何も言わずにカキーン!と殴ってくる人の方が多いのです。
私がokと答えていたら、ローランドが、だめです、と。お話がありますから、と言われて、クエスチョンマークを浮かべながらついて行ったら、さっきのお部屋でした。
女王様しかいらっしゃらなくて、でも、さっきの雑談の続きよりはスキル上げをしてあげたほうがよかったのでは?と思っていたら、ローランドが、珍しく椅子に座ります。
女王様のいるところでローランドが座ったところなんて、見たことがないです。うちのギルドに一人だけでいらしたときはお座りになりますが、女王様とセットになったら、絶対ドア付近に立つんですよ。ロールプレイヤーです。
Roland:young lady,come here
(お嬢、ちょっとおいで)
Roland:*looks sternly*
(厳しい顔をする)
Nicole:?
あわててそばへ行きます。怖い顔…ということはこれはお叱りということです。
Roland:*put her on the knee*
(膝の上に載せる)
Roland:*spanks her*
(おしりをぶつ)
Nicole:no,
Nicole:no
びっくりして碌に入力もしないうちに、パラライズ魔法が。
ええ、女王様が撃ったんですか??足がくぎ付けで動けなくなります。これをかけられたら、一番弱い火の玉の魔法を唱えて自爆ダメージを入れるか、弱い罠箱をあけてダメージを入れるか、どちらかをしないとしばらく動けません。今日は別に危ないところへ行くつもりはなかったので、罠箱は入れてこなかったのに…
じたばたしているうちにローランドさんは、もう2回、私をぶった、という感情表現を入れました。つまり、みっつもぶたれてしまったということになります。
怖いのです。
Nicole:no, sir please stop
(どうぞ、やめてください、お願い)
Roland:Nicole, do you know why you got spanked?
(どうして、ぶたれたかわかるか、ニコル)
Nicole:No sir
(わからないです)
Titania:Think, Nicole, or rather, look at the log
(考えてごらんなさい、または、ログを見て)
Titania:*hint hint*
(ヒントをだしているのよ)
ログを見ます。遡って…あ…。rezがいるというジュニアが駆け込んできたときに、私は、だめと言われた文字列を入れています。
「wtf who died? 」
(ええ?誰が死んだですって?)
理由はこれですきっと。
Nicole:I found it on the log, I am sorry sir, I didn't mean to
(ログにありました、ごめんなさい、そんなつもりはなかったのです)
Roland:that is the problem, Nicole
(それが問題なんだ、ニコル)
Roland:you are getting used to use that word
(その言葉を使い慣れてきているんだよ)
Roland:ladies do NOT use F-word, ever
(淑女は、その言葉を使わない。絶対だ)
Nicole:I am sorry, sir, I deserved to be punished
(ごめんなさい、罰されて当然です)
Nicole:Thank you for correcting me
(直してくださってありがとうございます)
Roland:Japanese dicipline, indeed
(まったく、日本人の規律と来たら)
Roland:*shakes head*
(やれやれ)
Roland:no F-word, clear?
(F-wordはダメだ、わかったな?)
Nicole:*nods* yes,sir
(うなずく)「はい」
Nicole:sir?
(あの)
Roland:yes?
(どうした?)
Nicole:will you tell this to my guildmaster?
(ギルドマスターにこれは…?)
Roland:yes
(そうだな)
Nicole:awww
(うわぁ…)
Roland:scared?
(怖いか)
Nicole:yes...he is very strict about manners outside the guild
(とても。彼は外でのマナーにとても厳しいのです)
Roland:then behave, young lady
(じゃあ、いい子にしておくんだな、お嬢)
Roland:I told him you will be fine
(ちゃんと叱ったと言っておく)
Roland:so he does not need to scold you
(もう一度叱らなくていいとね)
Nicole:really and truly? thank you! I am grateful, kind sir
(本当に、本当ですか?ありがとうございます、感謝します!)
Nicole:I will be really good,I promise
(いい子にします、お約束しますから)
Lady Titania:lol Ichi is a bit too harsh on you.
(あはは、本当にイチは厳しいのね)
Lady Titania:*hugs Nicole*
(ニコルを抱きしめる)
ローランドさんは思ったよりお叱りが怖いのがわかりました。物腰丁寧なのに、厳しいのです。でも、ちょっとかばってくださいました。よそで無作法なことをすると、ギルマスはとても怖いのです。大雷がひどい音でいくつも落ちてきて、ごめんなさいと泣く羽目になります。
本当に、あの音が苦手なのです、怖いのです。
F-wordの意味は詳しくわからなくても、言わなければいいのだけわかっていればいいのですから、今回と同じ失敗はもうしなくて済むと思います。
日本風の規律と言っていらしたけれど、ギルマスと同じようにギリギリまで削ってお説教かけたらいいのではないかと思います。あれは私だけじゃなくて、私よりはスキルの高いロックも、かなり強いセブンも、うわあ、と思うみたいですもの、あのジュニアたちも、ちょっとはおとなしくお話が聞けると思います。
英語のお説教に定型文があるのがわかってきました。young ladyと呼ばれるとたいてい、これはお説教と思って間違いない感じです。
普段Little ladyとかmy ladyとか言われているうちは全然お説教とは関連しないのに、それほど違うように見えないyoung ladyだけが種類が違うみたいです。男性だったら、どうなるんでしょう。young gentleman?




