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日本人ギルドと遠足(前編)

 集合したところで、日本人ギルドのギルマスが挨拶をした。


Elu:今日は楽しい遠足です


Elu:みなさん、おやつはもってきましたか?


7L7:せんせー、バナナはおやつにはいりますかー


Elu:切ってお弁当箱に入っていれば入りませーん


Siva:lol


Min:lol


Elu:ではみなさん、気を付けて、みんなで助け合っていきましょう


Elu:ゲートを抜けたら、全員ちょっと奥まで歩いて、詰まらないように


Elu:先にBBから入って、殿は私がつとめます


Ichi:セブン、ミサ、シヴァが先行。ロックとニコ、突っ込むなよ



 大丈夫。こないだオフで正座でお説教をされて、怖くて泣いたニコは、止まれといわれたらぴたりと止まるようになった。下がれと言われたら、ちゃんと下がってくる。狩りの安全性が上がって何よりだ。



 ゲートは今日はシンイチがかける。newbie、またはスキルキャップしきっていないようなプレイヤーを連れて行く遠足なので、かなり簡単なところに行くのは確かだが、そういうダンジョンにはnewbie狙いのPKが張っていることがある。


 ミサと俺が行けば問題ないし、セブンも連れて行けば、物理も入るし、ロックとニコを守りながらシンイチに連絡を出し、ふたりを離脱させ、ゲートをもう一つ出させてキープさせて、うっかり顔を出した残りのnewbieたちを戻せる。

 シンイチのINTの高さ、マナの多さと回復の速さは、ゲートキープにはもってこい。



 うちのギルドの強みは人数が少ないこと。人数がぞろぞろいる日本人ギルドだと、全員離脱するのに手間取ることがある。うちのニコとロックはそのあたりはもう仕込んであるから大丈夫。



 最初、変に騎士道精神を発揮したニコが逃げるのを嫌がって残ってしまって、かばいながら戦うことになった。別にかばえないわけではないのだけれど、危険性が上がるし、効率は落ちる。

 シンイチは帰ってから助け舟が入らないようにニコを小さい別部屋へ呼んで、ガツンとやっていた。

 それ以来「離脱」と言われたら素直にタウンに飛んでいる。

 

 ゲートインして、また集まった洞窟の前には、たむろしている青ネーム。

 怪しい感じだな。回復待ちとか、合流待ちならいいけど。


 話す言語から行くと日本人ではなさそうだ。


Siva:すいません、Eluさん、このあたりにたまっているプレイヤー、なんとなく怪しいので、ちょっとこの子たち待たせていいですか。先行して中を見て、戻ってきます。


Ichi:ニコ、ロック、待機。


Ichi:ミサ、セブン警戒


Elu:味方がひとりでも襲われたら、全員すぐタウンへコールアウト、スクロールでかけてね



 日本語のいいところは、英語圏のプレイヤーに全く分からないように指示が出来ること。俺とシンイチのペアで、この洞窟の中の狩場スポットのマーカーへ飛ぶ方がいいだろう。


Siva:ミサ、マーカー拾っといて、回収用だから



 これは、狩場で全滅して、幽霊だらけになった時に外からゲートをかけて呼び戻すとか、またはあとで死体の荷物を回収するときに使うので持ってきたマーカー。入り口のところにモンスターを固まらせて、入って画面が切り替わったとたん即死になるようなMPKを仕掛けるプレイヤーがいるから、まあ、用心のためともいう。


 地面に落としたマーカーで、シンイチと俺が飛ぶ。


狩場のモンスターは、通常沸きだ。溜まっていない。ちょっと倒して、入り口の方へ走る。



 あー。やっぱりな。入り口のそばに、モンスターががっつりたまっていて、死体がいくつかある。

遠くから魔法を撃って、モンスターを減らす。入り口にたむろしていたプレイヤーは、嫌がらせと、死体Lootを目的とするMPKだ。なんとなく嫌な感じのタグだったからな、あれは。



ギルドの略称は2文字から3文字。3文字で「PK何とか」は大抵そういうギルドだし、KILみたいな感じのも大抵ダメ。VWXZあたりも、そういうのが、たとえばLとかBとかより怪しいのが多い。

 あとは自由文字列を入れられるところに、killerとかDie!とかl33tとか入れているのはそういうプレイヤーが多い。意外と、雰囲気で見分けられてしまう。


 モンスターを手早く全滅させる。


Ichi:anybody here, ghosting? talk!

(幽霊になっとる者はおるか!話せ!)


 二人いた。うーん、もう一人はどうしたんだ、死体の名前は3つ。

rezして、回復させ、荷物を拾うのを待つ。


Ichi:town gate?

(タウンへゲートしようか)


Ichi:or you want to hunt?

(それともここで狩りか)

Jilz:town,plz thank you!

(タウンでお願いします、ありがとう!)


プレイヤーはlootされたらしく、町へ帰りたいというので、ゲートを街へ出した。


 外へ出て、シンイチがまた、幽霊がいるなら出てこい!と叫ぶともう一人。

急いで蘇生、ヒール、付き添って荷物とり。街までゲートアウト。死体が消えるまで15分しかないのだから、今回は俺たちが来ただけ、ラッキーだっただろう。まあregだけ抜かれたみたいだけど。



 大体親切にしておいて損はない。いつどんなプレイヤーがかかわっているかわからないのがこの世界。さっきのキャラはものすごく強いギルドのプレイヤーのサブキャラだった…ということだって十分ある。


 いつ、どこで自分だって人に助けてもらうことになるかわからない…回線切れで落ちるとその場に操作できない状態で残ってしまう。10分無操作で落ちるまでそのままだ。


 ダンジョンで回線切れで死んだことだってあるし、腕に覚えがある俺たちだって死ぬときは死ぬからな。


Ichi:入り口ギリギリにたまってたから。


Ichi:もう入れるぞ、全員整列。


Ichi:警戒は多分、入るまでしたほうがいい。殿はBBが取る。ニコとロック、そっちと合流しとけ



 後ろから撃たれると危ないので、今度は先に入ってもらう。

 ニコとロックはひよこ組にいれてもらう。


 引率されて、わらわらと入って行った、ひよこたちを見届けてから、と思ったら、あ、やっぱり。

EVが飛んできた。そんなことだろうと思った。


 よかった、チビたちは全員もう洞窟の中。


 寄ってたかって返り討ち、regとスクロールだけ抜いておいた。BBのタグを覚えろ、お前ら。ニコとロックのためにも、こういうのは瞬殺が一番。初心者相手に粋がってるようなプレイヤーだから、これならロックも戦力になっただろうぐらいのPKだ。5、6人いたけど、まあ、ミサとシンイチが組んだ時点で何人いようと、このスキルレンジでは瞬殺だろう。

俺がPKなら逃げるね。


 幽霊が何か言ってたけど、特殊スキルがないと、文字が伏字になって見えなくなる。

 多分、蘇生してほしいんだろうなあ。街は遠いから。

 PKをrezしてやるわけないだろう、馬鹿か。歩いて帰れ。


俺らは引率の先生だからな。このあたりがちょうどいいnewbieギリギリのプレイヤーとは、違って当然だ。


やれやれ、狩りが始まるまでにずいぶん手がかかる。

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