日本ギルドと遠足予定
日本人ギルドと、うちで組んでダンジョンクロールへ行くことになった。うちはギルドとしては小さいので、どこにでも行けるわけではない。5人で行ったら全滅間違いなし、というダンジョンもあるから、組むのはアヴァロンが多いが、今回はニコとロックに日本人の集団狩りをちょっと見せるつもりだ。
日本人ギルドのほうは、newbieたちを難しくない所へ練習に出す遠足みたいな狩りをすることがある。指示を聞き、全員が死なないように戦い、厳しくなってきたら統率の取れた状態で下がり、死んだメンバーがいたらどういう風に動くかということを教える、研修だと思えば大体間違っていない。
ちなみにアメリカンのギルドでこういうことをやるところは少ない。トレーニング用のサブギルドのあるところはともかく、希望者全員で元気よく突っ込み、余裕があるやつだけ周りにヒールをかけ、撤退するときは全員バラバラにお互い乗り上げてSTAが減ろうがお構いなしに逃げ、大勢死んだら外で集合してrezして終わり。
荷物はrezが終わったら、再度突っ込んで取れれば取り返すが、だめならゲート出来るやつがゲートアウトして終了。lootはほとんどのギルドが早い者勝ち、finders keepers, losers weepersという言葉があるぐらい。つまりネコババ上等、負けたらそこまで、ということで、大げんかになることもあるし、殺し合いに発展して殺伐とした雰囲気になったり、ギルドメイトに自分が使わない武器を高値で売るちゃっかりした奴も出る。
小さいギルドではもっと統率を取って、合図だの、配置だのを決めているギルドもあるが、大きいギルドで、さあ、何人今日は来たかね、ぐらいのグループだとわらわらと飛び込み、ガンガン死んで、いやあそれでも楽しかった、わっはっはー。みたいなやつらもいるので、これは多分、国民性の違いなのだろう。
日本では、lootはリーダーが采配するか、話し合いで譲ったり譲られたりするのが通例。コインは全員取った分を集めて、頭数で分配するのが普通だ。
これは日本人ギルドでは当たり前で、文章化されるほどのルールでもないのだが、アメリカ人のギルドでは明文化されることが多い。つまりfinders keepersにならないように運営するのが難しい。自分で倒してそのモンスターのlootを自分の懐に入れるのが、どうしてだめなのか、というわけだ。
日本ギルドでは狩りの時に、後衛でHPのゲージを全員分出しておいて、見ながらヒールをかけるのが仕事のプレイヤーを配置することも多い。その人はどのモンスターも倒せないから、倒したもの勝ちにしてしまうとその役をやる人がいなくなるから、という説明をアメリカ人にしたことがある。
全員の生存率を上げるために出来ることは何か。早く、うまく、死なずに間違いなく狩る。そういうことをグループで追及するのが日本人ギルド…という説明は、とても面白かったらしく、アメリカ人だった彼は、何度もルールの確認に来て、彼はアメリカ人向けギルドルールの手引きを作って、本に書いて売り出していた。
そのギルドルールを採用したアメリカ人ギルドのマスターに頼まれて、日本人の狩りの見学の橋渡しをしたり、ノウハウを教えたりしたこともある。意外と文化交流的なのが、うちのギルド。
ギルマスはなんとなく英語がうまくなった気がすると言っていた。
ニコがきてから余計にロールプレイが増えて、今では俺も結構、感情表現用の英語を覚えて、指示も英語で出したり、アヴァロンの会議に英語で参加したりできるようになったから、やっぱり毎日使い続けると違うものだ。
ちなみに、英語としてはブロークンなのは確かだが、どうしても必要な時にはないよりましで、海外出張に行ったときに結構役立てている。ニコとロックは案外べらべらいくな、と言ったら、「俺は何とかついて行っているだけ、ニコと一緒にするのはやめて」とロックから泣きが入った。
ロックはあとでログを見直して、辞書で調べて英語をおぼえているそうだ。ニコは「わからないときは聞けばみんなはおしえてくれるので」と言って、それよりは日本語の言葉の方が、辞書の通りでないことが多くてつらいそうだ。「やばい」「やばいっす」「やばっ」みたいな語尾変換が何を表すのかがなかなかぴんと来ず、語尾で話している人の年代や性別、社会階層がわかるようになっているらしいのだけど物によってはわからない、と外国人みたいなことを言っていた。
さあ、遠足は、楽しく終われるかな?




