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ニコ、はじめてのBPK(中編)

 ギルドハウスに飛ぶのがなんとなく気まずいです。ですがPKカウントはもし取ったらギルドに報告するように言われています。つまり…後始末をしてもらわなくてはならないからです。


 もしほかのギルドのメンバーだったらギルマスが謝りに行くとか、罰を受けさせているということを説明して許しをもらい、補償を出すとか、そういうようなことです。セブンやゴンザは何度か「やらかして」いるそうですし、ロックもデュエルグラウンドで文句をつけられて揉めたことがあるのだとか。


 秘密にしておいて、あとから抗議が来たら…いや、それは余計だめですよね。

 しょうがない、覚悟を決めましょう。女は度胸…っていうんですよね。こういうの。

 町まで幽霊マラソンで外出禁止ぐらいで済めばいいんですが。


 コールインして、ドアを開けたらやっぱり!はっきりとは覚えていませんでしたがうっすら覚えのある青ネーム!敵です、あの敵です!あのふたり!


Ichi:Excuse me, gents, wait for a bit

 (失礼、紳士方。少々お待ちいただきたい)


Ichi:おう、チビ。どないしてん。なんかこいつら、殺した覚えは?


Nicole:ギルマス、ごめんなさい、あります。でも事情があって


Ichi:フラグ食らいよったな?

Nicole:どうなんでしょう、ちがうような、あっているような

Ichi:まあええわ、あとで聞く。二階で待っとけ、動くなよ


Nicole:アヴァロンに連絡してください、ギルマス。アヴァロンに人が来るはずですdavidって人

Ichi:こっちに呼んだらええねんな?わかった。


***


 これでもう、出来ることは…待つことだけです。はあ…。気が重い。そうですよね、こんなわかりやすいタグつけて、歩いていたんですもの…。アヴァロンの関係者でBBギルドなんてあっという間にバレますよね。



 なるほど、ギルマスが厳しいわけです。アヴァロンでBBってどこのギルドだと聞けば、みんながうちのギルドだと知っているでしょう。プレイヤータウンはそれほど広さもないし、たいていの人がうちのギルドハウスまで案内できるはずです。


 どうにも落ち着きません。生産部屋に座り込んで、ウールをつむぎ車にかけます。これ多分今週末いっぱいまでいやになるほどやることになるでしょう。こないだ999個のウール山をかけきったんですが、まだ一山半残っています。


 包帯でも切りましょうか、どうせいりますからね。

 チョキチョキ…チョキチョキ…チョキチョキ…


 あ。アヴァロンガードと女王様、それからDavidさんの名前がフロートインしてきます。

 ガードが今日は6人、結構多いです。お忍びじゃなくてある程度用があってくるときはこういう感じで、正式訪問になると、女王様が馬に乗り、ガードが徒歩6人、騎馬6人になります。今日は全員歩いていますから、そこまでは改まった訪問じゃないみたいです。


 個人メッセージがギルマスから届きました。

「おりてこい、英語力が足らん」


言い訳はさせてもらえるんでしょうか…。


Nicole:Excuse me, may I come in?

 (失礼します、入ってもよろしいですか)

Ichi:come over here

 (こっちへ)


 ギルマスが、テーブルと椅子をどけています。リアルと違って、一か所に立ったままで全部箱に放り込めるので簡単です。


 ギルマスが前に立って、椅子がぽん、と前に置かれました。割と部屋の真ん中です。


Ichi:ok, sit down there Nicole

 (ここへ座れ)


 うわあ…なんていうか、怖い位置です。後ろに椅子とベンチが並んでいき、立派な椅子に女王様が。ベンチにガードが、そして残りの椅子にDavidさんとあの青ネームが2人。


Nicole:Yes, sir

 (はい)

Ichi:OK,explain. you may talk slowly, but no lies, no excuses, just truth

 (いいぞ、説明しろ。ゆっくりでもいいが、嘘も言い訳もなしだ。本当のことだけをな)

Nicole:*nods*

 (うなずく)

Ichi:Ladies and gentlemen, please check your log and keep silence. everyone will have his turn later.

 (皆さん、静かにログをご覧ください。あとでご意見はうかがいます)

Ichi:you may talk now, Nicole

 (話せ)

Nicole:I went hunting to earn some skill.

 (スキルを上げようと思って狩りに行きました)

Nicole:I was walking on the road near forest town

 (森の街のそばの道を歩いていて)

Nicole:Lizzards spawned, eight of them

 (リザードマンが8匹でて)

Nicole:I was overwhelmed, my STA bar was a bit off, almost beaten

 (敵が多すぎでSTAバーまで削れて死にそうになって)

Nicole:someone healed me twice, so I could kill off all the monsters

 (誰かが二回ヒールをくれて、モンスターが倒せたのです)

Nicole:I thanked the player who helped me

 (助けたプレイヤーにお礼を言って)

Nicole:and we talked a bit,he was very nice and courteous

 (そして話をしました。親切で丁寧なプレイヤーでした)

Nicole:suddenly, an energy bolt hit him, and two players ran over us

 (突然エナジーボルトが飛んできて、プレイヤーが2人、飛び掛かってきました)

Nicole:they sweared,they used cuss words, or whatever the words I really do not know

 (罵り、ひどい言葉を使い、いくつかは意味がよくわからないようなのを)

Nicole:but those words that sounds scary

 (でも、怖い感じがする言葉で)

Ichi:And?

 (それで?)

Nicole:and they kept attacking the gentleman

 (そこにいらした方を攻撃し続けて)

Nicole:I thought I should help him because his HP gets low

 (彼のHPが下がっていたので、助けなければ、と思って)

Nicole:He helped me when I fight with Lizzards so why not?

 (リザードマンと戦っていた時に助けてくれたのですもの、当然と思って)

Nicole:I thought that is only fair,I can repay him the debt of healing

 (それがフェアというものです、ちゃんとお返しをしなくてはと思って)

Nicole:so I healed him.

 (ヒールをかけたのです)

Ichi:you've got the system warning screen with yes/no button?

 (yes/no選択のシステムの警告スクリーンが出たか?)

Nicole:yes, but I cannot help it, he helped me without asking,that was a good deed

 (出ました。でも私が頼まなくても助けてくれたその親切に応えないわけにはいかなかったのです)

Nicole:He told me I do not have to help him, but

 (彼はそんなことしなくていいといいましたけれども)

Nicole:I helped him anyway

 (それでも、です)

Nicole:I do not mind dying, since I do not have much on me

 (別に大したものを持っていたわけでもないし、死ぬのは平気でした)

Nicole:so I asked him to kill those nasty players off

 (だからもう、その人たちを死なせてしまってくれと頼んだのです)

Nicole:and told him not to mind me

 (彼に、私のことは気にしないでくれと頼んで)

Nicole:I thought I accepted the consequences of my action

 (自己責任で死ぬのだと思っていましたから)

Nicole:I was ready to die.with my kat, I hit them

 (もう死んでもいいと思って、刀を構えて攻撃して)

Nicole:then, he killed them, protecting me.

 (そうしたら、彼が、私を守って…彼らを殺したのです)

Nicole:I healed him again with bandages

 (彼を包帯でヒールしました)

Nicole:He gated me to Brigands'den because I was gray flagged

 (私がグレーフラグだったので彼がブリガンズデンへのゲートを出してくれて)

Nicole:We waited until my name became blue

 (そこでブルーに戻るまで待って)

Nicole:Then I realized what I did

 (ふと我に返って、何をしたかを思い返して)

Nicole:I asked him to come to guild house and speak for me

 (彼にギルドハウスへ来て私の弁護をしてくれと頼みました)

Nicole:he asked me the landmark and I answered it is near Avalon

 (彼に場所の目安を聞かれて、アヴァロンのそばだと答えました)

Nicole:Then I came back to guild house

 (それからギルドハウスに戻ってきました)

Nicole:I knowingly broke the rule

 (自覚の上、ギルドルールを破りました)

Nicole:I am sorry, guild master

 (ギルドマスター、ごめんなさい)

Nicole:but

 (でも)

Ichi:no excuses,Nico

 (言い訳はなしだ)

Nicole:I think I will do the same if the same thing happens

 (もし同じことが起きたら、私はきっとまた同じことをします)


Lady Titania:*cheers*

 (声援)

Ichi:Is that all,Nicole?

 (それで全部か)

Nicole:Yes, sir

 (はい、ギルマス)


ログは長かったです。でも間違いはないはずですし、多分英語圏の人にもわからないところはなかったはずです。時々、あれ?これで通じるかな?ってなるんですよね…。


Ichi:David? Is there anything you want to add?

 (デイビッド、なにかこれに言いたしたいことはないか)

David:not much, but she was worried that she might be kicked out from the guild because she broke the rule of "prohibition of BPK". It was my fault,I apologize, guild master of Black Brigades, please do not blame her.

 (たくさんはない。だが彼女はBPK禁止のルールにより、ギルド追放になるかもと心配していた。落ち度は私にある。謝罪を。黒い旅団のギルドマスター、彼女を責めないでほしい。)


Ichi:how about you, Zaxxx and Xavier?

 (ザックスとザビエル、そちらはどうだ)

Xavier:She pked me, plain and simple. I demand apology and compensation from BB and Avalon

Zaxxx:me too

 (俺達はPKされた。はっきりしていることだ。BBとアヴァロンに謝罪と補償を要求する)

 (俺もだ)

Ichi:Your majesty?

 (陛下?)


Lady Titania:Everybody must act according to his/her conscience, not only citizens of Avalon, but all the people here.I am here, on your side, Nicole. Whose side are you on, Avalon guards?

 (人は皆、自分の良心に従い行動しなくてはならない。アヴァロン市民だけでなく、王国の民、全てが。ニコル、私はあなたと共に立つ。アヴァロンガードたちよ、その立場を明らかにせよ」

Roland:We vowed to be loyal to you, and you know it, your majesty

 (私たちはあなたに忠誠を捧げるものです。それを御存じでしょう、陛下)

*kneels and bows*という文字が飛び交います。

 (ひざまずいて礼を取る)

こういうの、練習しているんでしょうか。


Lady Titania:You scums, you won't get any compensation from Avalon. Begone, before I declare KOS on you!

 (下郎め、アヴァロンからの補償など叶うものか、KOSを宣べる前に立ち去れ)

Ichi:And if you ever get anything from BB, it will be our blades and EV. I declare you as enemies of Black Brigades! Out, before I kill you hundred times or more!

 (お前等がBBから受け取るものがあるとすれば、それはEVと我らの刃のみ。その名を黒い旅団の敵と宣言する。百度、殺される前に出ていけ!)


 ギルマスはいきなりエナジーボルトを連続で打ち、グレーになりました。

 青ネームの二人のHPがガクンと減ります。

 バタバタと飛び出す青ネーム、追いかけるアヴァロンガードたちとギルマス。


 どうしたらいいのかわからなくて、椅子にくぎ付け状態です。

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