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12:世の中は大きく、王国は小さい

 ギルドに登録されて、頭の上に「New recru(新入り)it,BB」と表示が出るようになりました。ギルドの名前はBlack(黒い) Brigades(旅団)というのだそうです。みんなやさしいから、とIchiさんはおっしゃいました。もし、困ったことがあったり、殺されたりしたら、相手の名前を覚えてギルドメンバーに報告するように、と。


 そういうことが全員のためになるらしいのです。大体全部「今はわからんでも、だんだんわかるようになっていくから心配せんでええ」と言われるのはとても心が休まる気がします。


 ゲーム内でもゲームの外でもわからないことが多すぎる生活です。ひとりで住んでいるマンションで、水道や電気の料金、ガスの料金の支払いをしたり、ゴミを集積所にもっていったり、そして料理して食べて、毎日学校へ行って、帰ってきて掃除をして。


 掃除と料理は学園でもやっていましたから、大体大丈夫でしたけれども(これは修道院のシスターになるならば必須の技能だということになっていましたから、もしもの時のために全員交代でやることになっています。仮誓願までに三年かかるのですが、その間もお役に立てる、いい技能なのです)細かいところがなかなかわからないことが多かったのです。


 切符の買い方は課外学習でみんなで試したことがあるのですが、通学定期券、つまり「ていき」とみんなが呼ぶあれを、知らなかった(ぐらいで済めば、田舎育ちで終わるのですが)り、買い物が難しかったり。つまり「一人分」だけでいいので、自分の消費量がわかるまでは野菜がよくだめになりました。


 それと…これは言ってはいけないのかもしれませんが料理と後片付けが、面倒です。つまり学園にいれば、「お当番」の時だけになるのですが、私の家に住んでいるのは私一人。都合「ずっと自分がお当番」という状態で、毎日毎日、調理して食べて、後片付けをして、それが毎食…。食事の準備というのがここまで面倒なものだとは思いませんでした。


 最初は大量に出来てしまって、腐らせたりしたものです。学園中の調理を引き受ける調理場のお手伝いしかしたことがなかったのでこれは仕方のないことかとは思いますが、冷凍しておけば後で出来立てほどおいしくはないけれど、食べることはできるということがわかってからは、もうたくさん作っておくことにしています。


 朝はパンと牛乳ぐらいですませて、昼は学校の食堂、帰りに買い物して夜は自分で作ることにしました。スーパーにはおかずもありますが、人の話を聞いた感じでは、一人暮らしの人も少しは調理をしたほうがいいようです。


 パンと飲み物だけなんていう朝ごはんを見るとちょっと気分は複雑です。学園ではこういう朝食になるのはつまり…よっぽどのことをして反省室にいるときですから…。でも自分でサラダとか、オムレツとかを朝から作る気になりません。食べずに学校に来る人も多いようですが、どうも体に良くない気がします。


 学校の食堂で同じようなものばかり食べるのも、自分で作る面倒さを考えれば平気になりました。冷凍で味が落ちたおかずを夜に食べるのも、作るのよりずっと簡単なのであきらめがつきます。ご飯は炊飯器が自動で炊いてくれるところがいいですね。パンは学校のそばのベーカリーで買うようにしました。パンは、自宅で焼く人はあまりいないようです。


 学園にいるときに、似たような食事が続いたときに文句を言ったのは、罪深いことだったと思います。今なら人が作ってくれる食事に文句は絶対に言わないようにするでしょう。


 お風呂を済ませて、ちょっと勉強をしてからPCの前に座るとホッとします。王国は外よりずっと小さくて、いつも同じことをして過ごせますし、私の言動がちょっとぐらいおかしくても目立ちません。外国人のふりをしてわからない日本語を他の人に聞いたり、ログを読み直して確認したりすると、すぐ通り過ぎてしまう学校の人とのおしゃべりよりもずっとわかりやすい気がするのです。

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