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純文学・散文的短篇

「暗闇と夢と私の王国」 あるいは 『光と現実と私のいる世界』

作者: 赤良狐 詠

 目を閉じてみれば、夜空のように広がる暗闇

 私は怖いと理解しながら

 深く息を吸い込み

 何も持たずに

 夢の中を進みだした


 私の思い通りに進む世界

 何もかも

 制限のない

 隔てるものがない私の王国で

 私は玉座に座り

 わがままを口にする


 誰もがそれに従い

 ひれ伏し

 (こうべ)を垂れる


 そして

 彼が来た

 私は彼への想いを口にして

 彼はそれに従い

 口づけをした


 でも

 

 彼女が現れた

 彼を奪い去り

 私の手の届かない場所へと連れ出して

 二度と戻ってくることはなかった


 私は

 私の王国で

 ただ一人になり

 叫んだ


 耳障りな音で目を開けて

 私は陽の光のカーテンが部屋に入り込んでいるのを

 半分開いた目で見た


 今日も

 私は縛られた世界で

 叶いもしない夢を胸に秘め

 目を開ければ、見えている強制的な現実の光に

 私は怖いと理解しながら

 無意識で規則的に呼吸をし

 自分を飾りたてる全てを身に付けて

 部屋を出た

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― 新着の感想 ―
[一言] 短さの中にドラマがぎゅっと込められてますね。 "彼"のくだりから、相反する世界のようです。 たったひとつの出来事で、それまでの世界観が翻ってしまう。 このお話の中にはいろんなものが込めら…
[一言] こんばんは。入江です。 読ませていただきました。とても考えさせられる作品でした。 主人公の気持ちがひしひしと伝わってきます。私も叫びたい気持ちがあるなと思いながら読みました。 それでは。
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