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3秒ルールの金平糖。  作者: 瀬良
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それは突然

 「ねえねえ、この子、すっごく可愛いよね‼︎」

「あ〜、知ってるよ。神崎ナナ」

神崎ナナという名前を聞いて自分の目が反射的に彼女たちの見る雑誌へと動く。

神崎ナナは近年人気の出ているゴスロリファッション雑誌Angeの看板モデルだ。小さい顔にリスのような愛くるしいぱっちりとした目が特徴的なまさに人形のような女の子だ。近頃ではバラエティ番組などにも出るようになり、10代の女の子の憧れの存在になっている。ちょっとおバカだけど可愛いと僕の職場でも女性社員が話していたっけ。

 

そんな彼女をよく知る僕はしがないジャパニーズサラリーマンだ。

上司に小言を言われた時にはこうして最寄りの本屋で本を買っている。新しい文章に触れて新しい刺激を求めて本屋を徘徊する。そうやって綺麗なものに当てられて自分の考えが、生き方が間違ってない。って確信しないとと僕は今にも死んでしまいそうだから。どんなに正しいことをしても真っ当に生きていても報われないこの世の中は本当に分からな

くってついていけない。こうやって自分の精神をだまくらかして明日もまた会社に行く。疲れた足取りで家を目指す。


「ふふふ〜。今日は本屋大賞作品をつまみにして酒でも飲もう〜」


20代前半にして夜道でこのおっさん臭いつぶやきはアウト中のアウトだろう。

 歩いている途中で「ピコン」と可愛らしいメッセージ音が僕のスーツのポケットの中で響く。

誰だ。こんなに人が浮かれて歩いてる道中に水を差すやつは。頭にバケツいっぱいに入った水をかけられたような気持ちになったじゃないか。

でも誰からかというのはまあ見当がつく。

そそくさとスマホを取り出すとやっぱりだった。

送り主は神崎ナナだ。




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