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生かされる意味

さて、どう育てようどうしようといった日々がもう4ヵ月も過ぎるとついにハイハイが可能になった

生後5ヵ月程度でハイハイするとはかなりはやい成長だと言えるが、まぁ中身は一応成人だしな...発声の方はまだ難しそうだけど


ギルバードとアルルの教育方針は放し飼いというか、割と放置するタイプだったのでおしめの交換やお乳以外はかなり自由に動けていた

ちなみに便意は我慢しない

遠慮なくドバドバ漏らしている

ケツにつくことを考えなければなかなかいい気分だ


そうして自由になった俺は、金持ちだけあってかなり広い屋敷の1階を散策し、すっかり雪景色になった窓の外の庭を眺めながら

今まで考えないようにしていた事

この世界に借り物の体で生まれ変わったことを考えていた



俺はついこの前、人生を捨てたはずだ

親に不満があったわけじゃない

交友関係に問題があったわけでもない

勉強が致命的にできなかったわけじゃない

働くことは嫌いだったが我慢出来ないほどじゃない


でも死んだのだ

あっけなく、そこにドラマはない

これ以上ないほどお手軽に死んだ

死後の世界を信じたわけじゃないが、親不孝な俺はきっと地獄にいくと思ってみたらこれだ


神様がいるとしたらどうしてこんなことをするのだろう

俺はもう人生を捨てたのだ

よくわからない胸の不安がいつまでも取れなくて、これから親のように立派に生きられるのかわからなくて、俺のような思いを子供にさせるくらいなら結婚はしなくていい、天涯孤独で良いと考えて、そうして死んだのだ


きっと逃げているだけなのだろう

甘えなんだろう

どうにかできなかったはずはないのにどうしようともしなかった


でも不思議とあまり後悔はない

俺は死んだのだ


(この体に本来宿るはずだった子供はどこにいったのだろう)


前の記憶が残ったまま子供として生まれてくるなんて、異常だろう

本来この命には新しい精神が宿るはずだったのだ

借り物の体で生きながらえて、そんな俺の命に価値があるのかわからなくなった


まして俺は一度命を捨てたのだ

コンティニューができるのはゲームの中だけ

だからこそ命は美しい

前の世界ではそういった考えがあったし、俺もそうだと思う

そんな風に考えて景色から部屋に目を戻す

前にはパチパチと音をたてながら暖かな火を灯す暖炉が見えた


俺は、ハイハイで暖炉に突っ込んだ

三話目です。

そろそろ振り落とされる読者さんも多いのではと思います。

すみません、前話とタイトルからテンション違いすぎて驚く方も多かったでしょう。

そもそも読者が少ないので「多いわけないやろっ!」ってツッコミはいれないでくれると嬉しい(笑)

この雰囲気はもうちょっとの間続きます


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