天邪鬼兄と母
今日は特に何もなく命蓮寺の縁側に座って過ごしている天邪鬼兄。その横で一緒に座って過ごす橋姫さんはとても幸せそう。
かくいう天邪鬼兄も幸せそうに和んでいる。
「平和だねぇ〜...」
「そうね...」
「絶対に何か起こると思うの俺だけ?」
「安心...していいかわからないけど私も同じこと考えてる」
橋姫さんと天邪鬼兄が二人っきりでいる時は100%と言っても過言ではない割合で邪魔が入るか、何か厄介ごとに巻き込まれるのだ。
そのことを察した二人は同時にため息をする。
「二人してため息なんてどうしたんですか?」
優しく微笑む聖白蓮は天邪鬼兄の横に座る。
「ああ...聖か」
「お母さん、もしくは母上と呼びなさい」
「嫌だ」
「一回くらい呼んであげたら?」
クスクスと笑うパルスィを睨むとツーンとして目を逸らした。
「はぁぁ...まあいいよ。そんで?何したんだ?」
「いえいえ、あなた達の邪魔が入らない様に見守りに」
「あー...うん...そう...」
なんとなくありがたいと思うがある意味では聖が一番邪魔をしていると思った天邪鬼兄である。
それを悟ったのか彼女は少し悲しそうな顔をする。
「申し訳ありません...私が邪魔でしたね...」
「あ、いやその...」
トボトボと寺の中に入って行った。
その姿に少し申し訳なさそうにする天邪鬼兄は橋姫さんにどうすればいいか聞いた。
「謝れば?」
「でもよ...」
「ふふ...じゃあ呼んであげれば?」
「う....わ、わかった.......」
天邪鬼兄は聖を追いかけて彼女を呼んだ。
「か...母さん」
「え...?」
「べ、別に邪魔とか思ってねえよ....」
恥ずかしそうにする天邪鬼兄を聖は満面の笑みで抱きしめた。少しうっとおしそうにしているが突き放そうとはしなかった。
二人を物陰から笑顔で覗く橋姫さんであった。
橋姫さんは優しい子です。




