- 7 基礎を手に勝鬨を -
- 7 基礎を手に勝鬨を -
俺はあれからスキルのお陰で、底辺キャラからSRランクのレアキャラとなり、歴戦の戦士と肩を並べる…
はずだ。
「オラァッ…!!走れぇえ!!ゴーレムの首根っこぐらい落せぇぇええ!」
「はいぃぃいい‼︎ 分っかりましたぁあ‼︎」
ローマの闘技場に似た風貌の訓練場で、走り回る俺は、基礎的な戦闘技術と体力向上を図るため、特訓を積んでいた。
数日前…
*
「気味の悪いスキル発現したな」
「使いにくいしな」
「心中オ察シ、シマス」
「気味悪いなんて言わないで下さいよ…」
さっきから言いたい放題な事を言うのは、訓練場の主、歴戦を戦う勇者を育て上げたヒルデさん。
そのヒルデさんに呼ばれてきた、コーチ担当ジャック。
あと、俺が訓練初日に胸を貫いたゴーレムのボルボ、あの時とは違い、知性があるボッさんだけ、優しい声を掛けてくれる。というか口もないのに、すっごい喋るんですよ。
こんな事になっているのはシルネさん。そう、俺を召喚して契約した人が彼らは信頼できるという理由で、俺の発現したスキルの概要を、あらかた話したのである。
確かに信頼できるけど、朝から笑いの種になり始めているのだが………
「いや、別に気にしなくていいぜ?考えてみれば強力じゃねえか、なぁ!」
コーチに至っては、笑いながらなので励ましているのかおちょくっているのか分からないし、
ボッさんはゴツゴツした重い手を俺の肩に置き、励ましてくれるが痛いし。
「スキルでSRになったのはいい、しかしぶっちゃけ言わせて貰うと、今のお前はスキルだけだ、技術も体力も足りゃしねえから、訓練を積む」
スキルの発現はおめでたい事、だがこれによりヒルデさんのスパルタ訓練が加速したのだ。
現在に戻る。
*
「おぇぇぇえええええええ………」
回想から戻った俺は朝食を戻しかけていたが、ヒルデさんに軽い回復魔法をかけられては再び訓練を続ける日々を繰り返していた。
そして、身に付ける包帯の数が少なくなる頃。
「まぁ、ここ数日で実力はどうにかなったな。そこでだが………」
訓練場の女主人は差し出した。
俺は反射的にその一枚の紙を手に取った。
「これで実力を示さないか…?」
「………」
一枚の紙は、武勇を交わす事を渇望する英傑達、即ち力を持て余す者を呼ぶ。
それは、
『 英傑祭 』
え、なんすか、これ?
なんだか無理を言われてる気がする。