- 4 謎 -
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「昨日、遅くまで何してたの?」
「え、なんで知ってるの?」
顔に疲れが出ていたらしくバレてしまった。観念して、昨日遅くまで百貨辞典をいじった事を明かした。
「何か気になる事でもあったの?」
小さく首を傾げ、俺を優しく見つめてくる。
ヤメテ!そういうの弱いの!
こういった朝を迎える俺、垣間 蒼斗は今日初めてのクエストに出るのだった。
◇
訓練所のヒルデさんの厳しく絞られる朝、弱音の一つでも吐きたい。
「じゃあ、クエスト持ってくるからね?大丈夫です、必ず助けます!」
あ、俺もう窮地に陥るの確定なのね。
確かに“ 進行者 ”からのバックアップ、経験の同期がされて、戦闘ド素人の俺が初見のゴーレムを、打ち倒しすぐらいの動きをしたとはいえ、イレギュラーな事態に置かれている事には変わりは無い。
そのクエストとやらでも、何が起こってどうなるのやら…
「やあ、君、元気出そうよ。」
後方から突然の声に、思わず身を震わせてしまう。
「ああ、驚かせてしまったね。うん、詫びよう、済まなかった。」
後ろを向けば長いローブの身に纏い、礼儀正しくこちらに頭を下げる人物がそこにいた。
「あなたは?」
「私の不注意で申し遅れたね。この“ 開拓総合支援所 ”の責任者、コルノ・メルネイだ。」
その男は俺にそう名乗り、
「見ない顔だったから、一応挨拶をしておこうと思って声をかけたんだ。
これからクエストだろう?無理をしなければきっと大丈夫。頑張ってくれ!」
そう言って俺から離れて行った。
なんとも爽やかな青年だった。少し長めの髪が印象的だな、憶えておこう。
*
「じゃあクエストに行こうっ!蒼斗と私のタッグで初めてのクエストだから、慎重に行こう。」
「もちろんだ。」
広い支援所の奥へと向かう彼女の後を、親鳥の後を追う雛の如く、見失わない様に後ろを付いて歩く。
(やっぱ広いなここ、何坪だろうな…)
そうこうしている内にある部屋につく。
「ここの魔方陣の上に立って。」
シルネが指を指す方向に視線を向けると。壁にも、天井にも、恐らくだが床と同様の魔方陣が書かれていた。それも半径5m位のサイズ、言われるままその魔方陣の上に立つ。
その様子を確かめるように、よし!と言ってシルネもその魔方陣の中に入って来た。
魔方陣は光る。
その光は俺たちあっという間に包み込み、部屋中をその輝きで満たした。
*
「うわっまぶしっ!」
目開ければそこは全く違った世界が広がる。
あたり一面に広がる草花は風に揺れ、その広大な大地はこの先も、ずっと広がっているかの様にも思えてくる。目的地にはこの様にワープをする事で到着とする。因みに、魔方陣によってワープする場所は違うらしい。
「さて、無事に着いた事だしポーションとかの素材を集めつつ、試しにモンスターを倒してみよう。」
ね?、といった様子で言われる。非常に愛らしいです。美味しいです。
その後は薬草やら、モンスターの群れに遭遇して結構いけたり、そこそこな活動が出来た。途中なんだか遺跡らしい物を発見した俺はシルネさんにめちゃくちゃ感謝されるなどのイベントが発生。
ぶっちゃけ楽しかった。ここまでは、
*
「つまらないんだ。このまま君が冒険を終えてしまうと…」
だから………死にかけてみてよ…?