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第七話 俺、メイドになります。その7

「ここはどこだ! どこだ、どこだ、がああああ!」



「お、おい、なにをす……うぎゃ!」



 あちらこちらに腐敗したような箇所が見受けられる不気味な犬のような頭部、そして首から下は巨躯の人間の胴体という食屍鬼型の人造獣人の姿に完全変態を遂げた高瀬は、早速とばかりに襲いかかってくる――う、うお、なんで俺を狙うワケ!? 



「うう、蹴飛ばされてしまった……が、がああっ!」



 ちょ、おまっ……連続攻撃かよ! 奴の左右の拳、そして回し蹴りが俺の身体に連続で炸裂する!



「ミ、ミケッ! が、があああ!」



 む、今度はみるくが対象だ! 今まで殴る蹴るを繰り返していた俺から、標的の変更とばかりにグルンと方向転換した高瀬の巨躯から繰り出された強烈なタックルを食らったみるくは、地面を激しくバウンドしながら吹っ飛ぶ!



「みるくっ!」



 お、そんなみるくを使い魔の黒豹ことテュポンが巨大な黒い右手に変身し、彼女を受け止める。



「く、パンツ丸出し状態で気絶しちまったぞ、みるくの奴!」



「あうあうあう……ぐえぇ……」



 おおっと、使い魔のテュポンが巨大な右手の変身し、受け止めたが、当のみるく本人は着ているメイド服のスカートがペロンと大きく捲れたパンツ丸出し状態で気絶してしまう。



「豊崎さん、アナタはアイラヴァータの背中の上に!」



「うわ、山崎さん、なんです、このゾウさんは……ん、アイラヴァータ? 日本では帝釈天って呼ばれているインドの神様のインドラの乗り物だっけ?」



「あら、博識ね? ま、とにかく、そのゾウさんの背中の上は安全だから、しばらく、そこにいてもらうわよ」



「よし、俺の背中の上なら安全だぞ、パオー!」



 パオーッ! という咆哮を張りあげながら、ゾウのアイラヴァータは自前の長い鼻を豊崎の身体に巻きつけると、次の瞬間、ヒョイッと彼女を上空に放り投げる――お、上手い具合に豊崎はアイラヴァータの背中に落下し、座ることができたようだ。



「まったく、あのふたりは役立たずね! 私が叩きのめすわ! 頭が弱点だって、ソイツが言ってたし、うりゃああ!」



「ああ、弱点とは言ったけど……お、早速、人造獣人の頭がガシャーンと砕いたか!」



 高瀬は俺とみるくを標的と定めている――と、その隙を突くかたちでサマエルが、必殺の右ストレートこと大蛇拳(ヴァイパーブロー)を高瀬の額に叩き込む!



 そういえば、ニャルラトホテプが人造獣人の弱点は頭だって言っていたな――で、ガラス細工のように脆いと!?



「よし、撃破!」



「あちゃー、あれじゃダメだなぁ。人造獣人の本体を無傷っぽいしねぇ……」



「ほ、本体は無傷!?」



「そう、アレを倒すなら本体をぶっ潰さないとダメだぞ、クククク」



「う、うおお、頭が半分くらい吹っ飛んだ状態なのに人造獣人が立ちあがった!」



 ガシャーン! と、ガラス細工を地面に叩き落としたような破裂音とともに、サマエルが打ち放った必殺の右ストレートこと大蛇拳が直撃した高瀬の頭が半分ほど吹っ飛ぶのだが、奴はまるで何事もなかったかのように動き出す。



「なあ、本体って、もしかして脳みそ?」



「ビンゴだ、子猫ちゃん! ほら、見たまえ。むき出しになったリフレッシュな彼の脳みそを――」



「うわ、先端に目玉がある二本の触覚とトンボのような翅が生えている!」



「お、おまけに口まで……ア、アレが人造獣人の本体っす!」



 うひぃ! 気持ち悪さが爆発だ! 高瀬――人造獣人の本体とは、あの異形の〝脳みそ〟のようだ!



「ぐげげげ、この姿を見た以上、貴様らを殺す……絶対に生かしては返さん!」



「ひ、ひぃぃ! 化け物脳みそが襲いかかってきた!」



 ブーン、ブーンと不気味な音を奏でる人造獣人の本体こと翅と先端に目玉の生えた触覚、そして鋭い牙が並んだ口を見受けられる脳みそが、半分ほど砕けた頭から飛び出し、襲いかかってくる――ちょ、また俺が標的(ターゲット)なワケェェ~~!



「こ、この気持ちが悪いんだよ! く、来るなァァ~~!」



「お前の肉体を寄越せェェ~~! お前の肉体を新たな俺の肉体にするのだァァ~~!」



「うおおお、なんだってぇ! つーか、それだけは勘弁してほしいところだ! お、丁度いいところに長い木の枝が……おりゃああああ!」



 むぅ、俺の身体を乗っ取るのが目的だと!? だから、本体である脳みそが半壊して頭から飛び出してきたってワケか?



 うへぇ、洒落にならん事態だ! と、とりあえず、近くに落っこちていた木の枝を手に取り、俺は応戦する。



「無駄無駄無駄ァァ~~!」



「ヒ、ヒェェ~! 触手のような舌が……わあああ、木の枝が折れた!」



 く、口があるんだ、当然、舌も――って、そんな舌が触手のように襲いかかってくる! なんとか払い除けたが木の枝が折れてしまう……ううう、万事休すか、俺!?



「うっせぇな! 俺は眠たくてたまんねぇんだ! でけぇ声を出すんじゃねェェ~~!」



「うお、アロンダイト! 目を覚ましたのか!」



「ああん? 起きたよ、うっせぇからな!」



 おっと忘れていた! 俺の右足の寄生しているモノ――人造神アロンダイトのことを!?



 そんなアロンダイトが目覚めると同時に、カッと俺の右足の膝に目玉が、そして脹脛(ふくらはぎ)に一対の気味の悪い赤い翼が生える。



「つーか、なんだよ、あのキメェ生き物はよぉ? あああっ……イライラするぜ! 俺を日中に起こすんじゃねぇ、おらあああっ!」



 と、その刹那、眠りを妨げられたアロンダイトがキレる! そういや、夜行性だったな、コイツ。



「キ、キシャアアアッ! なんだ、コイツ……う、この感じは俺様と同じ財団Nの!?」



 グワンッと勝手に俺の右足の自由を奪い襲いかかってきた脳みその化け物に対し、怒りの回し蹴りを叩き込む!

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