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第七話 俺、メイドになります。その3

「お前たち、そろそろ授業が始まるっつうのに、どこへ行くん……ぎゃっ!」



「ゴメンね、先生。そこで少しオネンネしていてくれ」



「う、お前、ナニをしたんだ!?」



「アハハ、魔眼ってヤツだよ」



「にらみつけた相手に対し、邪気を放出し、気絶させる特技ってところね。私の熊眼みたいなモノね」



「そ、そうなのか、なんだか羨ましい特技だなぁ……」



 にらみつけた相手に対し、両目から邪気を放出し、気絶させることができるニャルラトホテプが少しだけ羨ましくなってしまったんだが!?



 そう思ってしまった俺って、どこか歪んでいる気がするんだが……。



「ん、生徒会室?」



「前にも来たな、ここに」



「そうだ、生徒会室だ。さて、ここに光桜学園に在学中の全生徒のプロフィールが載っているリスト帳がある。んで、人造獣人が化けていると思われる生徒のリストなら、すでにまとめてある」



 さてと、俺とみるく、そして一時間目の授業をサボるかたちとなった沙希は、黒木夜子こと邪神ニャルラトホテプに誘われるかたちで生徒会室へとやって来る。



「人造獣人がどの生徒の化けているのかも知りたいけど、私的にはアンタが何故、忌々しいあの母親(あのおんな)の姿をしているかも知りたいわね」



「ハハハ、涼しい顔をしているけど、実はキレる一歩手前って感じだねぇ、熊ちゃん」



「あら、よくわかったわね。流石は邪神様ってヤツね」



「それは皮肉かな? まあいい、ここは素直に語るとしよう。痛い目に遭いたくはないからね」



「うお、沙希、ホッキョクグマに変身すんな! それに狼姫を筆頭とした猛獣が、これでもかってくらい召喚すんな!」



 光桜学園に在学中の生徒全員のプロフィールが載っているリスト帳の中からチョイスした人造獣人が化けている生徒をリストアップしたモノをニャルラトホテプは、すで用意していたようだ。



 まったく、抜け目がないな――と、それより、沙希がホッキョクグマに変身し、狼姫たち使い魔の猛獣とともに、狂気的な唸り声を張りあげながら、ニャルラトホテプに迫る。



「そういえば、その姿は恩人の姿を模したモノだって言ってたな、ニャル?」



「ああ、その通りだ。この姿は私を赤き王墓から解き放ってくれた恩人のモノだ」



「赤き王墓!? お父さんが落盤事故の被害に遭って亡くなった古代遺跡だわ! そういえば、あの遺跡で母親(あのおんな)も亡くなったことを思い出したわ……」



 赤き王墓? 沙希の父親が事故死したっていう古代エジプトの遺跡の名前か? 



 ニャルラトホテプは、そこにどれくらいの年月の間、封じられていたのかは定かだけど、その封印を解いてしまったってのが沙希の母親ってワケね。



 そんな経緯から、ニャルラトホテプは沙希の母親のことを恩人と呼び、そして、その姿を借りているってところなのかもしれない。



「その赤き王墓って、どんなところなんだ?」



「そうだねぇ、入り口の通路、そして財宝が収められて部屋、被葬者のミイラが安置されている石棺のあある玄室にいたるすべての壁という壁が赤く塗られた――とまあ、そんな場所だ」



「ちなみに、お父さんが落盤事故で亡くなって以降、発掘調査が中止状態らしい――と、それはどうでもいけど、アンタが母親(アイツ)の姿を模している理由がわかったわ」



「フフフ、これでわかっただろう? さて、人造獣人が化けている生徒が、どいつなのかってことがチョイスしたリストを手渡そう」



「あ、ああ!」



 パチンッ! と、ニャルラトホテプが指を鳴らすと、ボフッと俺の目の前にA4サイズのノートが出現する。コイツが光桜学園の生徒の化けている人造獣人について記されたリスト帳っぽいな。



「んじゃ、早速、読ませてもらうぜ」



「ミケ、私が先に読むわ」



「む、むぅ……」



 むぅ、人造獣人のリスト帳を手に取った途端、横からシャッと人間の姿に戻った沙希にかすめ取られてしまう、おいおい……。



「ん、私と同じクラスに在籍する男子の中に人造獣人が紛れ込んでいるわ!」



「な、なんだと!?」



「ちなみに、私が在籍するには二年B組よ」



「おい、ミケ、二年B組っつうと、サマエルが……」



「あ、ああ、何気に危険な状況下にありそうだな」



 へえ、沙希はサマエルが転校生として在籍することとなった高等部の二年B組の生徒のようだ――と、それはともかく、そんな二年B組に在籍する生徒の中に〝いる〟っぽいぞ! 人造獣人が化けた生徒が!



「あ、忘れていた!」



「え、ナニを?」



「コイツだよ、ほら!」



「ん、コイツは松永キリト!」



 ニャルラトホテプが再びパチンと指を鳴らすと、ドシャッと黒な縄で全身を簀巻きにされ、おまけに気絶した状態の松永キリトが、俺の頭上から落下してくるのだった!



「おや、知り合いなのかな、子猫ちゃん? 学校内をうろうろしていたから捕まえておいたんだ、キヒヒヒ」



「ううーん、知り合いというかなんというか……」



 知り合いだぁ? そんなワケがない! むしろ、コイツには迷惑をかけられたしな……どうしてくれる!



「うう……あああっ! おおお、お前たちは!」



「よお、目を覚ましたみたいだな。つーか、ブラックガシャドクロに生命力を吸い尽くされずに済んだようだな」



「あ、ああ、お陰様で……ヒッ!」



「丁度イイわね。コイツにも手伝わせましょう、人造獣人探しを――」



「うむ、いいな!」



 と、沙希が提案する。イイね――この間の罪滅ぼし(?)をさせるにゃ絶好の機会だな。

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