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第七話 俺、メイドになります。

 光桜学園内には、財団Nが開発した生物兵器こと人造獣人が生徒に化けるかたちで潜んでいる。



 そいつらは生徒会長の蔵内翔真の支配下にあったが、ヒーローを目指したい! 



 と、意気込むラーテルの坂口の必殺技(?)である臭腺から吹き出した悪臭のある分泌液を顔面に食らったことで再起不能(リタイア)となったおかげで、野に放たれてしまったワケだ。



 とまあ、そいつらを見つけ出すため俺は――。



「わあ、メイドさんを連れた転校生だ!」



「しかも外国人だぜ!」



「「…………」」



 ズギュウウウン! と、生徒たち――主に男子生徒たちのグサグサと突き刺さるナイフのような好奇の視線が、俺とみるくに集中する。



「メイドもいいものよ」



「ど、どこがだよ! ふふふ、ふざけんなよ!」



「俺はお前のメイドになんかなりたくねぇ! だけど、仕方がない! 人造獣人を探し出すための手段だしな……」



 腑に落ちないけど、俺とみるくは、サマエルのメイドとして、彼女に仕えることとなる!



 こ、これは人造獣人を見つけるための手段だ! 我慢だ、我慢するんだ、俺――っ!



「はい、手続き終了です。これからサマエルさんは、この私が担任を務める二年B組の生徒です」



「は~い!」



「ん、流暢な日本語ですね。どこで習ったんです? ま、それはさておき、二年B組へ行きますよ。転校生として生徒たちに紹介させてもらいますね」



 さてと、着慣れないメイドの格好をした俺とみるくは、転校生として正式な入学手続きを済ませたサマエルとともに光桜学園の新校舎二階にある職員室の中にいる。



「ん、もしかしてミーア大佐?」



「ああ、ミーア大佐だ!」



「沙希の叔母様でしたっけ? まさか教師だったとは……プーックック♪」



「ちょ、その名前で呼んじゃダメよ! つーか、笑っちゃダメぇー!」



 意外というかなんというか、サマエルが在籍予定の二年B組の担任教師というのは、あのミーア少佐こと朝倉美晴であった!



 あははは、あの若作りのおばはんが、まさか教師だったとは……。



 ちなみに、ミーア少佐の真の姿は、見た目は美人だけど、生徒達からうぜーって言われそうな感じがするガミガミと口煩そうな眼鏡のアラフォー女教師である。



「ミーア少佐? そのコたちは朝倉先生のサバゲー仲間ですか?」



「ま、まあ、そんなところかしら! さ、行くわよ、アナタたち!」



 ん、サバゲー仲間? そう言ってミーア大佐は、他の先生からの質問に対する答えを誤魔化すのだった。



 と、そんな俺たちはミーア大佐に連れられ、彼女が担任を務める二年B組へと向かうのだった。



「んもーっ! 職員室(あそこ)でミーア大佐って言っちゃダメよ!」



「だって本当の名前を知らないしぃ……」



「ちょ、忘れたワケ!? 悠ちゃんが言ってたじゃないのォォ~~!」



「そ、そうだっけ、みるく?」



「さ、さあ……」



「ア、アンタたちィィ~~! と、それはさておき、サマエルさんのご自宅は大豪邸みたいねぇ」



「あら、調べ済みでしたか? 流石は沙希の叔母様です!」



「フフフ~ン、私の情報網を甘く見ないでよね~☆」



 サマエルの自宅は本当に大豪邸だ――が、実際のところは、S市の郊外にある長いこと放置状態にあった〝とある教会〟を改装と修繕を加えた程度である。



 とはいえ、かつては大教会(カテドラル)と呼ばれていた建物だけあって、その敷地と建物は大きく大豪邸に恥じぬモノだ。



「う、うお、ライオンがいる!」



「ムムム、ハイエナが何頭もウロウロしているわね」



「うわ、チーターがこっちを見てる!」



「アレは全部、沙希ちゃんの使い魔ね。まったく、沙英姉さんそっくりな容姿の〝アイツ〟のことを警戒しすぎだわ」



「ア、アイツ? ニャルラトホテプのことか?」



「そういえば、ニャルは黒木夜子って名乗っていたわね。それに、まさか生徒として何食わぬ顔をして潜んでいたなんて……と、灯台下暗しだわ!」



 ニャルラトホテプは黒木夜子という偽名を使い生徒として潜んでいる。



 教師として、光桜学園に勤務するミーア少佐にとっては、確かに灯台下暗しなのかもしれないな。



 それはともかく、そんなニャルラトホテプの容姿は、沙希の亡くなった母親の若い頃の姿を模したモノらしいけど、そこらへんを警戒しているのか、光桜学園の新校舎のあっちこっちには、沙希が猛獣界から紹介した使い魔――ライオン、ハイエナ、チーターといった猛獣を配置している。



 ああ、ちなみに、そんな猛獣たちは穏行の術で姿を見えなくしている――あはは、普通に見えたら大混乱になるよなぁ。



「さ、着いたわよ」



 む、気づけば、ミーア大佐が担任を務める二年B組の教室の前まで、俺たちはやって来ている。



「アンタたちは、そこで待機!」



「あ、ああ、わかった」



 なんだかんだと、俺とみるくは生徒ではなくメイドだ。教室の外で待機するのが妥当なのかも――。

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