第一話 俺、魔法少女になります。その8
「う、うわ、まぶしいっ!」
ドパアアアアンッ! と、使い魔の卵が目を開けていられてないほどの強烈な光を放ちながら爆発する。ちょ、なにが起きたんだァァ~~! つーか、すごい煙だ。目の前がまったく見えない!
「無事に孵化したようだわ。アンタのサポート役であり、分身でもある使い魔が――」
「ふ、ふう、煙がやっと晴れたぜ……うお、裸の女のコがいる!! ん、だけど、手の平サイズの小人……ムムム、巨乳の小妖精だ!」
「キャアアアアッ! ご主人様、見ちゃダメっす!」
「あ、悪い悪い、グフフ♪
吹き抜けていく強めの風に乗って使い魔の卵が爆発した際に発生した煙が、フッと俺の目の前から消失する。そして露わとなった俺のサポート役であり、分身でもある使い魔の姿は、大きさが大体、野球の硬球ほどの大きさの人間型の生物――小妖精ってところかな? ちなみに、ナリは小さいが二十歳かそこらの女のコの姿だろうか? 可愛いし、おまけに巨乳だ……ウホッ!
「うわあああ、ご主人様、見ないでくださいっす!」
「み、見るなって言われてもなぁ、アイターッ! てか、お前、小妖精というよりは……」
てか、威勢がいいなぁ、いきなり、俺の鼻っ柱に飛び蹴りを食らわせてくるなんて……ん、その前に、コイツは本当に小妖精なのかな? なんだか違う気がする特徴が見受けられるんだが――。
「悪魔っ娘だな!」
「違うっす! あたしは小妖精っす!」
「それは自称だろう? 明らかに、お前は悪魔っ娘だ。頭に山羊みたいな角が生えているし、おまけに背中のは蝙蝠のような翼が生えているし、その上、尻尾が生えているぞ」
「あ、ホントだ!? ううう、でも、あたしは小妖精っす!」
小妖精じゃありません。お前は悪魔っ娘です。小妖精じゃない特徴が随所に見受けられるしな。そんなわけで、どう見ても、コイツは――てか、小妖精じゃないって認めろよ!
「ありゃ、どう見ても夢魔の類の魔族だな」
「うん、女性型夢魔ってところね」
「「な、なんだってーっ!」」
沙希と狼姫が言う。俺の使い魔は夢魔の類だって――む、なんか俺と同時に驚いているぞ、使い魔の奴……あ、なんかガックリと肩を竦めたけど、もしかしてショックを受けたのか?
「そ、それでも、あたしは小妖精だと思いたいっす!」
「お前、意地っ張りだな……」
「ハ、ハハハ、それより、そのおチビちゃんの専用の服を用意してきました」
「スノーさん、ありがとう! よし、コイツを着るんだ!」
「言われなくても着るっす。ご主人様が気持ちの悪い視線を感じるっすからね」
「お、おいおい、俺は紳士だ……あ、今は女の姿だから淑女だ! 誰が、そんなやましい目で見るかよ!」
ペルシャ猫のスノーさんが使い魔の衣装を持ってくる。空色のワンピースとフリルがいっぱいついた白いエプロンが一体化した感じのエプロンドレスに黒いリボン、それに白と黒の縞模様のニーソックスと黒いブーツだ。あ、そういえば、なにかが欠けている気がするんだけど?
「わ、可愛い服っすね。気に入ったっす~☆」
「気に入ってくれて光栄です。あ、そうだ。名前がないのでしたら、アリスなんて名前はどうでしょう?」
「あ、それの名前、気に入ったっす! てか、スカートの中がスースーするっす……へへへ、へっくし、へっくしっ!」
「そ、そうかぁ、じゃあ、よろしく頼むぜ……アリス」
スノーさんが持ってきた衣装は、不思議の国のアリスをモチーフにしたゴスロリな衣装ってところだな。そんなわけでアリスって名前がお似合いかも――あ、ああ、なにが欠けているかわかったぞ、うーむ。
「使い魔の次はパートナーかしら?」
「パートナー?」
お次はパートナー? そう沙希が言った直後、シャクシャクという草を踏む何者かの足音が聞こえてくる。誰が、ここにやって来たようだ。ひょっとして、沙希の知り合いとか!?