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第六話 俺、不死者を退治します。その20

「んじゃ、冥界送りの儀式を始めるわよ」



「あら、もうですか、哀香先輩?」



「当然よ。そこでノビてるアイツみたいな邪魔者が、また現れた場合、面倒くさしね」



「うん、ですかね」



 沙希が〝とある本〟を媒介に展開する固有結界こと猛獣界に平和が戻る。



 ついさっきまで巨大な人間の骸骨と熊の骸骨が、遥か彼方にまで響きわたる遠雷のような轟音を奏でながら、殴り合っていたっていうのに――。



 さて、平和(?)になったおかげだろうか? ゾウ、ガゼル、ヌー、キリンといった大型草食動物がぞろそろと姿を現す。



「ゾウやサイなんかもいる!」



「あ、坂口と同じラーテルもいる」



「うお、あそこにピー○ーラビッ○みたいな服を着た兎がいるぞ!」



 ここは草食動物も、けっこう生息しているようだけど、ひょっとして全部、沙希の使い魔?



「猛獣界には、世界中の猛獣がいるわよ。ああ、草食動物もたくさんいるわよ」



「は、はあ……」



「さて、草食動物は普段は大人しいけど、時として猛獣に変貌することがあるわよ。このコみたいにね」



「こんにちは、ゾウのアイラヴァータです」



 沙希はホッキョクグマの姿から、小柄で貧乳な人間の女のコの姿に戻っている――んで、そんな沙希がいるのは、アイラヴァータと名乗る喋る巨象の背中の上である。



「おっと、そんなことより冥界送りって、どんな儀式なんだよ?」



「つーか、マジで冥界に送るんすか、哀香先輩? なんだかもったいない気がするっすわ」



「そうだ、そうだ、もったいないです! ま、まあ、わたしくしは冥界へ送る前に腐らない特殊な死者を調べさせてもらえればいいんですけど……」



「ダメよ! アンタたち、いい加減に諦めなさい!」



 冥界送りって儀式が、どんなモノなのか? 俺としてはすっげぇ気になるんだよな!



 が、その一方で舞夜や瑠々奈は諦めきれないようだ。



 なんだかんだと、死霊使いなワケだし、腐らない特殊なゾンビのような存在である中川由梨のことを調べてみたい気もわかるかなぁ?



 無知な俺だって、ゾンビのような存在なのに何故、中川由梨の身は腐敗しないのか!? と、そのメカニズムが知りたいなぁと思し、魔法少女であり、死霊使いでもある舞夜と瑠々奈なら尚更……。



「ううう、腐らないゾンビなんて希少なモノを冥界に送るなんてもったいなすぎ!」



「マ、ママ、もう諦めようよ……ほ、ほら、沙希ちゃんがにらんでるよ!」



 そういえば、見た目は相棒であり、娘でもある悠子と同じ十七歳くらいだが、実際はアラフォーのおばはんであるミーア大佐こと沙希の叔母、美晴も中川由梨を狙っていたんだったな。



「アンタたち、いい加減にしなさい!」



「「ぎゃっ……ぐはっ……ぐええええ!」」



「ああ、悠ちゃん! うう、すごい眼力ね! まるで蛇ににらまれて動けなくなった小動物って感じだわ!」



 さてと、哀香の獲物を狙う鎌首をもたげる大蛇の視線には、対象物を気絶させる魔力があるんだろうか? とにかく、舞夜と瑠々奈、それに悠子が口から泡を吹いてぶっ倒れる。



「ぐ、ぐへっ……」



 むぅ、ミーア大佐はなんとか耐えたようだ。流石は沙希の叔母ってところか……あ、勢いよく仰向けに転倒したぞ!

 


「フフフ、哀香先輩の両目は、まさに魔眼だわ」



「ホメ言葉はいいわ、沙希。さてと、五月蠅い連中は気絶させた……ハーデス、冥界送りを始めるわよ!」



「哀香、もう準備できてるぞ!」



「フフフ、巫女たちは集まっているようね」



「な、なあ、巫女って、あのペンギンたち?」



「そうよ、なにか問題でも?」



「い、いや、なにも……」



 うお、気づけば、ハーデス、そしてタナトスの周りには、同じペンギンの姿が――しかも多数! 



 一羽、二羽、三羽……ハーデスとタナトスを加えると、ペンギンが十二羽、円を描くように集まっている!



「沙希ちゃん、プルトンキューブを人鳥円陣(ペンギンサークル)の中心にある台座の上へ!」



「OK! んじゃ、今、そっちに行きます」



 沙希はアイラヴァータの背中から勢いよく地面に飛び降りると、人鳥円陣の中心へと移動し、いつの間にか配置されていた豪奢な水晶(クリスタル)の台座の上に、中川由梨が封印されている緑色の光を放つ四角い物体――いやいや、プルトンキューブを置くのだった。



「ふう、ハーデスが一緒にいて良かったと本気で思うわ」



「フフフ、だろう? 冥王の俺がいなかった場合、大規模な儀式となっていたからな」



「哀香さん、私のことをお忘れですか? 死神である私もなんだかんだと役立ってますよ!」



「フフフ、忘れてなんかいないわよ、タナトス。んじゃ、早速、冥界送りの儀式を始めるわよ」



「「「はい、哀香さん!」」」



「うお、ペンギンたちが光り出した!」



 冥界送りの儀式ってヤツは、哀香の相棒であるハーデスがいなかった場合、大規模なモノとなってしまうようだ。



 ペンギンの姿をしているとはいえ、流石は冥王――と、そんなハーデスやタナトスを筆頭とした十二羽の円陣を組むペンギンたちの身体が光り出す! な、なにが起きたんだ、一体!?

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