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第六話 俺、不死者を退治します。その14

「そういえば、君たちの手の内にある特殊な死者だけど、僕には少しばかり身に覚えがあるんだ――何故、腐敗しないのかってことにね」



「な、なんだと!?」



「あれは三ヶ月ほど前だったかなぁ? 財団Nが運営する病院に運び込まれた瀕死の重傷を負った女子高生が運ばれてきてね。そんな女子高生を内藤さんが――」



 ん、特殊な死者――腐敗しない死者こと中川由梨に見覚えがある!? と、松永がそう言い出す。



 むぅ、中川由梨が腐らないゾンビのような存在となった裏には、あの財団Nが関わっているのかも!?



「さて、そんなことより……そぉぉらぁ! コイツはご挨拶の一撃だぜェェ~~!」



「う、うおー! 踏み潰れたァァ~~!」



 松永の腐らないゾンビのような存在となったきっかけと、その核心に迫るような物言いはともかく、ガシャドクロブラックは、デカブツのクセに中々、素早いじゃないか! 



 とまあ、そんな予想外の素早さに臆し、動けなくなった俺は、疾風のような勢いで突撃してきたヤツの真っ黒で巨大な骨々な左足の下敷きになってしまう!



「フヘヘヘ、まずは一匹……な、なにィィ~~!」



「おい、コラ! 重いだろ! その無駄にでかい足を除けやがれ!」



 ヒュー、俺の身体って、なんて頑丈なんでしょう! 自分でもアッと驚くほどだ!



「フン、運良く踏み潰されずに済んだか! だが、次はないぜ! うおらぁ!」



「また踏んづけたな! チクショー!」



 ぐええ、ガシャドクロブラックの野郎! 俺を標的にしているな! 俺の身体が思いの外、硬いからってイイ気になりやがって!



「いい加減にぶっ潰れろ!」



「そ、そうはいくか、ボケェ! ぐ、ぐわああっ!」



 み、三度、俺はガシャドクロブラックの巨大な左足の下敷きにされる! ぐわああ、今度は連続で足踏みだ! まあ、俺の身はなんともないけど、何度も踏んづけられたせいで地面に深々と埋まってしまい動けなくなってしまったぞ、どうする俺!



「ぬううう、このゴキブリがァァ~~!」



「お、俺はゴキブリなのかよ!」



 ちょ、俺は害虫なのかよ! ゴキブリはハエ叩きでぶっ叩いても死なない場合がある硬い虫だが、アレと一緒くたにされるのは腑に落ちないぞ!



「硬いってのは厄介だな。よし、怨霊の太刀でコイツを突き刺さしてしまおうか、ブラックガシャドクロ」



「OKだ、キリト! アレならカチカチのゴキブリ女の身体にも突き刺さるはずだ!」



「ちょ、ナニをするんですかーっ!」



 お、怨霊の太刀だって!? なんだよ、その禍々しい武器は――おわあ、ガシャドクロブラックの野郎、口の中からグパァと真っ黒で巨大な棒状の物体が飛び出してきたんだが!



「これが怨霊の太刀だ! 斬れぬものがない名刀だぞ、クククク」



「ちょ、名刀だって!? 嘘吐け! そんなオンボロな日本刀のどこが名刀なんだよ!」



 真っ黒で巨大な棒状の物体は、ズギュウウウンと一振りの日本刀に変化する――が、刀身のあっちこっちに刃毀れが見受けられるし、おまけに錆びだらけという朽ち果てたオンボロな物体だ! 



「いんだよ、細かいことはよぉ!」



「ハハハ、見た目で判断するなってことさ!」



 コ、コイツのどこが名刀なんだよって本気で思うよ、まったく! 切っ先も折れてるし、絶対に刺さらないと思う。



「フン~~~! おっとっと、手元が狂っちまったぜぇ!」



「お、おい、遊んでんのか、ゴルァァ~~!」



 ま、まあ、あんなオンボロな物体でも力任せで振り下ろしたり、突き刺せば――って、おい! いきなりオンボロな巨大日本刀を逆手に持ったブラックガシャドクロは、地面に埋まって身動きができない俺、目がけて、そんな巨大日本刀を振り下ろしてくる! 



「そぉら、今度はマジでぶっ刺してやんよ!」



「うおー、このクソ野郎!」



 うぐぐ、紙一重ってところで巨大日本刀の切っ先が命中さず……あ、危ねぇ! く、あのクソ野郎、再び右手で逆手に持つ巨大日本刀を! こ、今度こそ狙いを定めていそうだ!



「おらあああああっ!」



「う、うおおお、なんだ貴様らはァァ~~!」



 ムムム、ブラックガシャドクロの巨体がガシャーンとバラバラになる!? よくは見えなかったけど、四方八方から複数のナニかが飛び出したって感じかなぁ?



「う、うわあ、なんだ、なんだぁ!?」



 当然、ガシャドクロブラックがバラバラになったので、その巨大な頭の天辺にいた松永は地面に勢いよく落下する……チッ! 落下の衝撃で再起不能になっちまえばいいのに、なんだかんだとピンピンしていやがる!



「ミケに気を取られて油断したわね」



「沙希……そ、それに狼姫! うおー、猛獣の大群だぁ!」



 グシャッと地面に埋まって身動きが取れなくなった俺の視線に、真っ白くてモコモコした雄々しき勇者(くま)の姿が映り込む――沙希だ! それに狼姫を筆頭とした猛獣たちの姿も見受けられる。



「そうか、沙希(もうじゅう)たちがブラックガシャドクロをバラバラにしたのか!?」



「そうだよ、ミケちゃん」



「愛梨、助かった……」



 ふ、ふう、地面に埋まった状態だった俺は、愛梨が引っ張り出される。ふう、助かったぜ――と、そんな沙希(もうじゅう)たちのおかげでブラックガシャドクロを撃破できたってところか!? 



「ガシャドクロブラックを倒せたのか?」



「いや、まだよ! ほら、再生が始まったわ!」



 むう、やっぱり、あの程度じゃ――と、ばかりにバラバラになった真っ黒な骨が合体を始める! く、あっと言う間にブラックガシャドクロの復活だ!

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