第一話 俺、魔法少女になります。その7
~登場人物~
・雪野愛琉――通称スノー。沙希が運営する組織(?)に属す白いペルシャ猫の姿をした医務官。元は人間だったようだ。
俺――美樹原健司が住む○○県S市内にある県内最大級の規模を誇る公園こと浪岡自然公園は、流石に人跡未踏というワケではないけど、大部分が手つかずである。
とまあ、そんな場所だからこそ秘密の場所が、あっちこっちに存在しているわけだ。浪岡自然公園の深奥にある広場なんかがいい例だな。
そうそう、ここでは元人間を自称する動物たち+αがビーストファイト――略してBFという決闘が行われているようだ。そんなBFだけど、一対一のタイマン勝負が基本らしいけど、たま~タッグマッチなんかも行われているようだ。沙希は、そんな連中の王者として君臨しているらしい。
ま、それはさておき。
「お、おいおい、この卵みたいな物体は、一体ィィィ!」
正直、気持ちが悪い! ビクンビクンとカラフルな卵のような物体は蠢いているし、おまけに生暖かいぞ。な、中にナニがいるんだ!?
「その中には使い魔がいるわ」
「使い魔? なんだ、そりゃ?」
「ありていに言うと、アンタをサポート役ってところかな? ああ、それと同時に分身でもある」
「俺のサポート役を務めるモノなのか!? だけど、そんな俺の分身っていうのがなぁ……」
使い魔はサポート役だってことはわかった。だけど、それと同時に、この俺の分身って聞いて複雑な気分になる。ハハハ、どうせロクでもない使い魔が、気色の悪いカラフルな卵から孵化するだろうなぁ……。
「さ、孵化させるわよ」
「ふ、孵化させるって!? おいおう、どうやって?」
「ほら、そこにストーンサークルあるでしょう? その中心にある石柱が祭壇よ」
そういえば、BFが行われている浪岡自然公園の深奥にある広場には、小規模だけど、高さ一メートル弱の石柱を環状に配置した古代の遺跡――ストーンサークルが見受けられる。沙希は、その中心にある石柱の上に、カラフルで気色の悪い卵こと使い魔の卵を置けって言う。よし、とりあえず、置いてみるとしよう。
「んじゃ、使い魔誕生の儀式と洒落込むわよ! ふんぐるい、むぐるい、あいあい、ぎむねふ、いあいあ、ぎねふ、ぐるめる、はうめう!」
使い魔誕生の儀式って、どんなことをするんだろう? ん、沙希が奇妙な呪文のような言葉を唱え始めたぞ。
「うお、卵にヒビがっ!」
沙希が奇妙な呪文を唱えてから数秒が経過する――ん、使い魔の卵にヒビ割れが生じ始める。ふ、孵化するのか、俺のサポート役であり、俺の分身が!?