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第六話 俺、不死者を退治します。その11

 沙希の母方の親戚には、叔母のミーア大佐こと朝倉美晴を筆頭に何人か魔法少女がいるとか――ま、でも、現役なのは沙希とミーア大佐と娘の悠子だけのようだ。



 そうそう、魔法少女だったかはわからんけど、沙希の母親はすでに亡くなっているようだ。



 で、そんな母親のせいで、沙希が尊敬して病まない考古学者だった父親が、某国で事故死した――と、沙希は思い込んでいるようだって後日、彼女の叔母であるミーア大佐から聞く。



 故に沙希は、そのこともあり、母親のことを逆恨みしているようだ。



 さてさて、触らぬ神に祟りなし、その話には触れない方が身のためだな!



「さて、今から、このコを冥界送りの儀式を始めるわ。沙希ちゃん、プルトンキューブを――」



「はいはい~、後は先輩のお好きなように――」



「おい、待て! 由梨の彼氏である俺は心の準備ができん! つーか、彼女と別れるなんて嫌だ!」」



 と、沙希の家族絡みのことはさておき、上杉哀香が今からプルトンキューブに封印されている腐らない特殊なゾンビのような存在――中川由梨を、今から冥界へ送る、と言い出す。



「ん、このお腹に鏡が貼りついた獣は沙希ちゃんの使い魔かな?」



「知らないわ。こんなブサイクな生き物なんて――」



「ブ、ブサイク! 今の俺はラーテルだ! ライオンにだって立ち向かっていく最強の小動物だぞ!」



「そうなんだ? ま、とりあえず、神獣のようね。アンタから神気を感じるわ」



「それはわしが腹に貼りついているからだな」



「む、鏡!? 付喪神の類?」



「違う! わしは光桜学園の守護神サワメだ!」



 光桜学園の守護神のような存在であるサワメが腹に貼りついているラーテルの坂口は、ある意味で神獣かもしれないなぁ――。



「冥界送りの儀式かぁ、すっげぇ気にならないか、ミケ?」



「おう、言わずもがな!」



 哀香がこれから行うという冥界送りの儀式が気になるところだ。これからジェットコースターに乗り込むかのようにワクワクするぜ……。



「な、なあ、なにも冥界に送らなくていいと思うんだが……」



「うむ、なんだかんだと、それも一理あるな。不死者っつっても別段、悪い奴って感じじゃないしな」



「悪い奴じゃない? 彼氏の坂口を差し置いて浮気をする女だぞ、ソイツは?」



「ま、どんな理由があるのかは知らないけど、ソイツはいつ危険な存在に変質するかもしれない不安定な不死者だったりするわ」



「いつ危険な危険な存在に変質するかわからない不安定な死者? もしかして吸血鬼になったりするとか?」



「ま、そんなところね。だから、さっさと冥界へ送るべきだなぁと思ってさ。ハーデスが丁度イイ具合にいるし、迷わず行けると思うわ」



 いつ危険な存在に変質してもわからない? 中川由梨は吸血鬼、吸精鬼(ライフスティラー)魂食鬼(ソウルイーター)などの危険な不死者になる可能性があるのかよ!? それなら冥界へ送った方がいいかもしれないな。



「しっかし、もったいなぁ! 冥界へ送る前に色々と調べさせてもらいたかったのに……」



「右に同じくです! もったいなすぎだと思います! 死霊使いとして、是非とも腐らないゾンビをつくるためにも、そのコを少しでいいから調べさせてください!」



「ダメよ、アンタたち! 素直に諦めないと……クククク」



「「ヒ、ヒィィ!」」



 もったいない! と、騒ぐ舞夜や瑠々奈をギランと天空から地上の獲物を狙う鷹のような眼でにらみつけながら、一蹴する。



「ところで、アレを狙うモノは、もういないわよね、叔母様?」



「さ、さあ、それを聞かれても困るわ。ニャルから例の不死者の情報を教えてもらったのは、ここにいる者たちだけとは限らない気がするしねぇ」



 と、沙希が叔母であるミーア大佐に訊く――なんだか曖昧な返事だな。他にもいる可能性がありそうだぞ。



「ん、オババン! 今、ニャルから聞いたって言ったよな?」



「オ、オバハンって言うな! まあ、確かにニャルって言ったわよ



「そのニャルは俺たち母娘も顔は見たことがない人物なんだけど、すごい情報網を持つ凄腕の情報屋さんでね。たまにネットで色々な情報を教えてもらっているんだ」



 ニャル? それに顔を見たことがない凄腕の情報屋? と、語る朝倉母娘は、ソイツから得た情報を頼りに、ここへやって来たようだ。



「お、おい、ミケ! 竜造寺舞夜に北条瑠々奈、それに先の叔母さんとイトコ――魔法少女が、これだけ集まった裏には、やっぱりアイツが一枚絡んでそうだぞ!」



「う、うむ……」



「だったら、ここにいる者以外の魔法少女が、ここの殴り込みをかけてくる可能性があるんじゃないの?」



 あのニャルラトホテプが、やっぱり一枚絡んで板っぽいぞ! まったく迷惑な神様だ。流石は邪神だぜ!



「ふう、サマエル、アンタの予想が的中よ。まあ、殴り込みをかけてくるような無法者(アウトロー)な奴かと思っていたけど、すでに〝ここ〟に入り込んでいるようだわ」



「「「な、なんだってー!」」」



 え、サマエルの予想が当たった!? そう言うと沙希は、キッと背後の鬱蒼とした森の中に視線を向ける――う、狼姫を筆頭とした使い魔たちが、沙希の周りに集まって来たぞ!? なにか〝いる〟のか? ひょっとして新手の魔法少女?

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