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第六話 俺、不死者を退治します。その5

 逃げるのも作戦のひとつである。相手は身長十メートルは確実にあるデカブツも混じっている集団ということもあり、多数に無勢……分が悪すぎる!



「お、おい、お前は冥王なんだろう? そっちは死神だっけ? あの骸骨共を冥界へ強制転移なんてできないのか?」



「「無理っ!」」



「ちょ、即答ですか、冥王さん――っ!」



 ――と、ガシャドクロが率いる骸骨戦士の軍団から逃げながら、そうハーデスとタナトスのペンギンコンビに訊いてみたワケだが、いきなり無理だって即答かい!



「アンタたち、とにかく、逃げるのよ! 私がやめろって言うまで!」



「う、うえ、マジかよ!」



「はあはあ……つ、疲れたぁ!」



「ちょ、みるく、体力なさすぎ!」



「そうだ、そうだ! 体力、無さすぎ!」



「うお、坂口、大丈夫なのか?」



「ああ、大丈夫、大丈夫! 今の僕は最強の小動物にラーテルだからね。あの程度の攻撃じゃ再起不能になんからないさ!」



 今はガシャドクロの巨大な骨々な身体の一部と化している元ボクサーを自称する骸骨兵士の山田に殴り飛ばされた坂口も、いつの間にか俺たちと一緒にガシャドクロが率いる骸骨戦士から逃げている。流石はライオンの牙も通さぬ分厚い皮膚を持つラーテルだぜ! ――と、そんなことより俺たちはいつまで逃げ続ければいいんだ!?



「貴様らァァ~~! 逃げるとは卑怯だぞ、ゴルァ! 骨戦棍(ボーンメイス)で叩き潰してやんよ、オラァァ~~!」



「わ、でっけぇ大腿骨を地面から掘り起こしたぞ!」



「あ、あんなモノでぶん殴られたら一溜りもないな!」



 ズギュウウウンッ! と、ガシャドクロは地面から、自身の巨大な自分の身体に見合った巨大な大腿骨を掘り出す――ひょっとして恐竜の化石!?



「お前らにはゴルフボールになってもらうだぜェェ~~! おりゃああああっ!」



「わ、危ない! くっ……当たってたまるか!」



 ブォンッ! と、ガシャドクロが巨大な大腿骨をゴルフクラブをフルスイングするかのように下段から思い切り振りあげる……うっわぁ、俺たちをゴルフボールかよ! ま、まあ、奴の大きさ的には違うないとは思うが冗談じゃない!



「うぐぅ、すばしっこいネズミのような奴らだな! だったら、コイツを食らえ!」



「わ、わああ、ガシャドクロの旦那、それは俺の頭っすよ!」



「うっせぇ! 食らえ、髑髏投げェェ~~!」



「ぐ、ぐわぁ!」



「「ミケッ!!」」



 むぅ、ガシャドクロの奴、仲間の骸骨兵士の頭蓋骨をボキンともぎ取って、それを投げつけてきたぞ! く、仲間のことを道具あつかいするひっでぇ奴だな……って、それが俺の尻にクリーンヒットしてしまったんですけど!



「だ、大丈夫だ! 逃げるぞ!」



「お、おう!」



「しかし、アンタって頑丈すぎるわね。まるでは○れメ○ルにようだわ!」



 うう、なんだが馬鹿にされている気がするんだが、この身の異常な頑丈さには本気で感謝したい気分だ。



「う、どうでもいいけど、骸骨が俺の尻に噛みついて離れないんだが……」



「まあ、仕方がないだろう? お前の尻は噛み応えがありそうだからね、クククク」



「ヒィッ! テュポン、お前が言うと冗談に聞こえないぞ……」



 みるくの使い魔のテュポンは黒豹だ。仮にアイツが言う通りなら、俺の尻って……うう、とにかく、噛み応えがある尻だなんて、すっげぇ嫌な話だな!



「オラオラァァ~~! もう一丁ォォ~~!」



「あ、当たってたまるかよ!」



 ガシャドクロの奴! 仲間の骸骨戦士たちの身体をバラしながら、それを逃げる俺たちに向けて投げてくる! ん、逃げながら後ろを振り返ると、頭や腕……うお、上半身がない骸骨戦士が多数! おいおい、ガシャドクロさんよぉ、仲間を大事にしなきゃダメじゃないか?



「うぐううううっ! このネズミめェェ~~! いい加減に当たりやがれェェ~~!」



「馬鹿! 誰が当たるかっつーの!」



「つーか、まともに戦える仲間が減ってきてることに気づいていないぞ、アイツ!」



「所詮はBIGなだけのタダの悪霊よ。さて、そろそろかしら?」



「え、そろそろ? どどど、どういうことだァァ~~!?」



「おい、見ろよ! 周りの風景が歪み始めてきたぞ……わ、ヒビ割れ発生!」



 ムムム、北条瑠々奈がつくりあげた異界――広大な草原に似せた固有結界に異常が発生する! 疑似的な草原と疑似的な空のあっちこっちにヒビ割れが! 一体、ナニが起きたというんだ!?



「この固有結界をつくりあげた術者の魔力が底を尽きそうな感じね」



「え、それって、あの北条瑠々奈ってヤツの魔力が尽きようとしているってこと!?」



「そうよ。しかし、莫迦ねぇ、固有結界なんかつくるから、こんなことになるのよ」



「むぅ、どういうことだ?」



「んじゃ、説明しようかしら。魔力貯容量を1ℓのペットボトルに並々に注ぎ込まれた水に例えると、現界――現実世界に己の魔力を媒介に固有結界という異世界を構築する場合、約半分の水を消費する。んで、あの巨大な骸骨を筆頭とした使い魔を多数召喚するのに、そこからさらに約半分の水を消費するかたちになるわね」



「ん、じゃあ、1ℓのペットボトルに並々に注ぎ込まれた水を七十五%消費したってこといいワケか?」



「ま、そんなところね。故に、固有結界を構築していられる時間も短いのよ。フフフ、莫迦ね。使い魔を大量に召喚した報いを受けたってところね」



 うーむ、要するに北条瑠々奈は自爆したってところか!? う、使い魔のガシャドクロらと一緒に俺たちの後を追ってきた北条瑠々奈が仰向けに倒れてハアハアと息苦しそうに悶えている。そんな姿を見ると、もうすぐ固有結界は崩れ去ってしまいそうだ。

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