第六話 俺、不死者を退治します。その2
登場人物紹介
・竜造寺舞夜――不死者狩りを専門とする黒ずくめの魔法少女
・ミクトランテクトリ――竜造寺舞夜の使い魔のカラスその1
・ミクトランシワトル――竜造寺舞夜の使い魔のカラスその2
「ハーデスさん、チィ~ッス! つーか、レアモノの横取りかよ!」
「つーか、あたしらが先に目ェつけてたのになぁ……」
「ま、そんなワケだからさぁ。その携帯型対不死者封印結界ことプルトンキューブを譲ってくれないかな?」
「むぅ、二羽のカラスを連れた魔法少女!?」
バサバサッ――と、髑髏のお面を身につけた二羽のカラスが生徒会室の中に窓から入って来る! コイツら覗いていたのか……と、思ったっていたら数秒後、髑髏が描かれたキャップをかぶった黒ずくめの女のコが窓から生徒会室の中にガサゴソと入り込んでくる……こ、この感じは魔法少女!?
「ん、同じ穴のムジナが三人? もしかして哀香さんの弟子? まあいいわ。とりあえず名乗っておくわ! 私は竜造寺舞夜、不死者狩りが専門の魔法少女よ!」
「俺はミクトランテクトリ! ミックとでも呼ぶがいい!」
「あたしはミクトランシワトルよ……って、舞夜、ヤバくね? 哀香さんの相棒のハーデスさんとタナトスさんがいるし、おまけに舞夜と同じ穴のムジナが三人もいるわよ! おまけにラーテルまでいる!」
「ゲゲゲッ……確かに! 分が悪いわ。ここは一旦、引くわよ! 挨拶に出張ったワケだしね」
「「OK!」」
「んじゃ、アンタたち、それを一時的に預けておくわ! つーか、必ず奪いに行くから、その時は覚悟しなさいよねー!」
二羽のカラス――ミクトランテクトリとミクトランシワトルを引き連れた魔法少女こと竜造寺舞夜は、再び生徒会室の外に……ア、アイツら、ナニをしにここへやって来たんだ?
「なあ、アイツらが言ってたレアモノって由梨のこと?」
「そうよ……てか、ヤバいわね」
「え、ヤバい?」
「ノン気ね。さて、あくまで予想だけど、さっきの竜造寺舞夜のような不死者狩りを専門としている魔法少女かどうかはともかく、この学校の集まって来るかもしれないわ! レアモノを狙う魔法少女が――」
「「な、なにィィ~~!」」
とまあ、サマエルがそんな予想を――って、仮にビンゴだった場合、竜造寺舞夜以外の魔法少女が現れる可能性が高いぞ! んで、身体が腐敗することなく生前と同じ生活を送り続ける奇妙な生ける屍こと中川由梨をレアモノとして狙う魔法少女同士の奪い合いが始まりそうだ!
「まったく、俺以外の冥界の神まで動いているぞ! ま、仕方がない。戦前の姿を保ちつつ生前と同じ生活を送る死者なんぞ、初めて遭遇するしな! 興味を抱いて当然さ!」
「ハーデス様、由梨って娘は吸血鬼化もしていませんね。こんな地上で蠢く生ける屍がいるなんて前代未聞ですよ!」
「きゅ、吸血鬼化!?」
「ああ、仮に吸血鬼と呼ばれる不死者の類になっていたのなら、生前の姿を保つために、お前たち生者の生き血や生命力を求めたりするところだが、その傾向も見受けられないんだ」
「そ、そうなのか! 死体が蘇った系の不死者は生前の姿を保つために必死なんだ……」
「とにかく、俺の相棒――不死者狩り専門の魔法少女のひとりである哀香が来るまで、コイツを死守する野を手伝ってほしい!」
「OK! 蔵内に仕置きをする前のウォーミングアップと洒落込むわよ、アンタたち!」
「「え、えええ~っ!」」
ちょ、サマエル! なにがウォーミングアップだよ! むぅ、余計な仕事を増やしやがって……。
「ところで由梨を狙っている連中は、なにが目的なんだ?」
「そこらへん奴らも個人個人で違うだろう。だけど、少なくとも冥界へ無条件で連れて行ってやろうと考えている慈悲深い俺と違って〝なに〟をするかわからん!」
「ハーデス様ったら優しい~☆ てか、死体に興味津々な変態だったらヤバいですね」
「うむ、人間は時々、異常な性癖を持ち合わせているからな」
「ですね! ああ、想像すると怖い怖い……」
ハーデスの物言いが本当なら、確かに慈悲深いかもしれない――異常な性癖の持ち主!? うへぇ、そんな輩に奪われたらって想像すると、ドッと冷や汗をかく……お、おぞましすぎる!
「とりあえず、先ほど現れた竜造寺舞夜と二匹のカラスは説得してみよう。アイツらはなんだかんだと、哀香とは友人関係にあるしね」
「な、なあ、どうでもいいけど、生徒会室の外が奇妙なことになっているぞ!」
「おい、みるく、それはどういう……うお、草原!? ここは光桜学園の新校舎二階じゃなかったのかよ!」
「チッ……そいつを狙う新手の魔法少女が固有結界を発動させたんだわ! そして私たちは飲み込まれてしまったようだわ!」
「こ、固有結界!? なんだ、そりゃ?」
「ありていに言えば、異界をつくったってヤツよ! ちなみに、この草原は術者――魔法少女の心象風景ってところね」
ムムム、もう新手の魔法少女が!? んで、俺たちはそいつがつくった固有結界とやらに飲み込まれたようだ!
「面倒だけど、術者を倒して固有結界から脱出するわよ!」
「お、おい、マジかよ! ま、待ってくれ、俺も行く!」
ダッと意を決したように生徒会室の外へと飛び出すサマエルを追うかたちで、俺も生徒会室の外へと移動する――まったく、どこのどいつかは知らないけど、ブン殴ってやりたい気分だ!




