表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/278

第五話 俺、邪神と遭遇しました。その18

登場人物紹介


・ハーデス――テンガロンハットをかぶったワイルドなペンギン。

 さてさて、俺たちは光桜学園の新校舎の二階へと移動する。んで、今はまだ授業中というワケで時間的には昼間ではあるが、生徒たちが帰宅していなくなった放課後のように静まり返っている。



「彼が近くにいるわね」



「え、彼? 誰だよ、アフロディーテ?」



「ん、ハーデスよ」



「な、なんだってー!」



「サワメさんが坂口をラーテルとして蘇らせたからだ!」



「ちょ、わしのせいにするな! てか、ハーデスって誰?」



「ん、冥界の神よ、ほら、あそこにいるじゃない?」



「お、おい、もしかして、あのテンガロンハットをかぶったペンギンのこと?」



 キュピーン! と、アフロデューテが何者かの気配を感じ取る――ハーデスが近くにいるだって!? おいおい、ギリシャ神話に出てくる冥界の神じゃないか!? なんで、そんな神が……え、ペンギン? テンガロンハットをかぶり、おまけに右目を黒い眼帯で覆っているワイルドなペンギンがいるんですけど!



「オイ~ッス! あっちゃん、愛梨お嬢とは一緒じゃないかったのかい?」



「うん、彼女は体育の授業の最中よ。てか、はっちゃんはなんでここに?」



「実はさぁ、相棒と一緒に〝とある死者〟を捕らえに来た。ああ、でも、相棒が授業中なんで、今のうちに件の死者を偵察しておこうと思ったんだ。ま、場合によっては相棒に力を借りずに俺が直接、冥界に連れて行こうと思っているんだ」



 む、なんだか軽いノリのペンギンだな。本当に冥界を支配する神ハーデスなのか? そこらへんが怪しく思えてきたぜ。



「その物言いから予想すると、アンタは魔法少女とコンビを組んでいるっぽいけど、もしかしてビンゴかな?」



「ああ、不死者狩りを得意とする魔法少女が相棒だぜ! 冥王の俺に相応しい相棒だとは思わないか?」



「そ、そうだな、うんうん」



 ふーん、不死者を狩ることを専門とする魔法少女の相棒がいるねぇ。ま、なんだかんだと、俺の予想がビンゴだったワケだ。



「なあ、お前って今は暇なんだろう? 俺の仕事を手伝ってくれないか? とりあえず、標的を見張る程度でかまわないからさぁ!」



「手伝えって!? 私はいいわよ、今の時間、暇だしね」



「ああ、流石は鳥仲間で同郷の友人なだけあるぜ、あっちゃん! あ、そうそう、俺が探している死者なんだが、ちと奇妙なモノらしいんだ」



「奇妙なモノ?」



「うむ、そいつはどんな方法で生命活動が停止した肉体を腐らずに維持しているのか不明なんだ!」



 ここで出会ったのが、なにかの縁ってところだろうか? ハーデスから仕事を手伝ってほしいと言われる――むぅ、沙希を探すっていう理由で断りたいけど、なんだかんだと気になる話なんだよなぁ。



「なあ、件の死者ってどんな奴なのよ?」



「む、先に言われてしまったぜ」



「まあいいじゃん、ミケ。しかし、すげぇ気になるな」



「だろう? 本来なら肉体が腐敗し、魂は冥界へ来るはずなのに、何故か三ヶ月近くも地上に留まり続けているんだ。こんな奇妙な死者に興味を示さないっていうのは野暮な話だしな! あ、ちなみに、件の死者の名前は中川由梨だったかなぁ? 生徒会の副会長を務めていた気がする」



「な、なんだって!? 中川由梨……お、俺の彼女だよ!」



「お、おいおい、坂口! お前が仕置きしてくれって依頼してきた蔵内翔真に寝取られたっていう彼女じゃないのか、そいつ!?」



「う、うん、同姓同名の生徒はいないしな。間違いないと思う……」



 ハーデスと、その相棒の魔法少女が標的とする奇妙な死者(?)とやらは、坂口の彼女のことのようだ。なんだかんだと、俺たちが受けた仕置きの依頼と微妙に重なったぞ。



「う、そういえば、三ヶ月くらい前、由梨が自動車に轢かれたことを思い出したぞ! でも、奇跡的に軽い怪我で済んだんだよなぁ……」



「自動車に轢かれただと!? じゃあ、その時から……」



「なあ、ひょっとして、どこぞの誰かさんにゾンビ化させられたんじゃね?」



「いや、例えゾンビとして蘇ったとしても肉体の腐敗は防ぐことは難しいんじゃない? 例え徹底した防腐処理をしていても死臭は消すことはできないと思う」



 坂口の彼女こと中川由梨は、すでに死んでいる。それなのに肉体を腐らずに維持しているという矛盾――気になるなぁ。旧校舎で見かけた時はゾンビ化して蘇ったという感じがしなかったしな。



「あのニャルラトホテプがショゴスを使って蘇らせたんじゃ?」



「うお、それが一番ありえるな……」



 あのニャルラトホテプの仕業かもしれない――とまあ、そう思っても仕方がないよなぁ。ショゴスとかいう真っ黒な粘液状の怪生物を使って体育教師を蘇らせる様子を見てしまったことだし……。



「あ、そうそう、その由梨ってコだけど、そこの部屋にいるみたいっすよ。さっき、旧校舎で顔を見たし、間違いないっす!」



「な、なにィ! 標的(ターゲット)が近くにいるだと!? ぐおお、何故、気づかなかったんだ!」



「ん、そこは生徒会室かな?」



「まあいい、覗いてみようぜ」



 さて、アリスが坂口の彼女こと由梨の姿を目撃する。俺たちが今いる位置――光桜学園の新校舎二階へあがってすぐの場所にある職員室の真向いの部屋である生徒会室の中にいるっぽいぞ。よし、中を覗いてみるかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ