表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/278

第五話 俺、邪神と遭遇しました。その17

「むぅ、ニャルさんがいなくなってるっすよ」



「ああ、それはわかっているよ」



「いなくなったっつっても、また突然、現れそうだな」



「うん、神出鬼没って言葉がよく似合う輩だしね」



 さて、俺たちは改めて光桜学園の新校舎へと赴く――と、ニャルラトホテプの姿が、フッといつの間にか消え失せているんだが……ま、まあ、アイツの場合、姿を消したといっても油断することができないっつーか、敵なのか? それとも味方なのか? そこらへんがはっきりするまで絶対に信用しちゃいけない輩だ。



「さて、沙希を探すとするか……」



「ああ、ミケちゃんにみるくちゃん、知らない外国人さん! なんでいるのさぁ!」



「うお、愛梨! お、体操着かいいねぇ~☆」



「う、ミケちゃん、気持ち悪い!」



「き、キモいって言うな! お、俺は単に女子生徒の体操着が好きなだけさ! と、ところで、なんで玄関にいるワケ? お、体操着の生徒が多数いるけど、お前の同級生? てか、お前って中等部だろう?」



「ミケちゃん、ここはなにも高等部の生徒たちの校舎じゃないし……」




「あ、ああ、そういうワケね」



 穏行の術を使い姿を消しつつ俺とみるく、そしてサマエルは玄関から中へと――む、愛梨と出会う! んで、同じ体操着という格好の同級生と一緒なワケで体育の授業が行われる体育館へ向かう途中っぽいな。



「愛梨ちゃん、なにやってんの? 体育館へ行くよ」



「あ、今行くよ! それじゃ、またあとでね~!」



「お、おう!」



「ふう、愛梨の同級生の中に穏行術を破れる眼力の持ち主がいなくて良かったわね」



 愛梨は体育の授業があるため級友たちとともに、颯爽と俺たちの目の前から立ち去る。その一方で、いつの間に愛梨のもとへ戻ったのかはともかく、俺たちと同様、穏行の術で姿を見えない状態にしているアフロディーテの姿が見受けられる。



「あ、そういえば、アンタたちに仕置きの依頼をしてきた幽霊君がいないわね」



「坂口の奴、どこへ行ったんだ?」



「僕ならここだよ」



「うおわっ…ビックリしたぁ! お前、虎のぬいぐるみの中にいたんじゃなかったのかよ?」



「それがさぁ、あの体育教師……中川先生にブン投げられた時に虎のぬいぐるみの首はもげて、それが原因で外に出てしまったんだよ」



 ふーん、あの体育教師は中川っていうのか――と、それはどうでもいいことだけど、沙希の魔術によって幽霊の坂口が封印されていた虎のぬいぐるみは、馬術部の部室兼馬小屋で体育教師の中川に投げ捨てられた時に首がもげて損壊してしまったようだ。そのせいで封印されていた坂口は再び自由の身に……うえ、そういえば、坂口の姿を直視できない痛々しい姿なんだよなぁ。なにせ、飛び降り自殺して地面に衝突して死んだ時の姿のままだしねぇ。



「よし、坂口とやら、お前はあの剥製の中に憑依するんだ。わしの御業で動けるようにしてやろう」



「う、うん、わかった!」



「は、剥製? ありゃラーテルの剥製じゃないか!」



「理事長曰く、新校舎の玄関を守る守護神みたいなモノらしい……ひょいっと!」



「な、なにィィ! ラーテルとかいう獣がどんな獣かは知らんが、このわしを差し置いて守護神とは……ま、まあいい、わしの御業を見るがいい!」



 ラーテルは世界一命知らずの動物と言われている。自分より身体の大きなライオン等の動物にも立ち向かうことがあり、おまけに毒蛇の代表格的な生物であるコブラの神経毒に対しても強い耐性を持っているようだ。そんなワケでラーテルは最強の小動物と言っても過言じゃないと思う。



「お、動く……動くぞ!」



「フフフ、これがわしの御業……神の力だ!」



 さて、幽霊の坂口は理事長が新校舎の守護神として玄関に飾ってあるラーテルの剥製に憑依する――と、それと同時に、真の姿である古ぼけた銅鏡の姿に戻るサワメは――轟ッッ!! と、鏡面から稲光のような閃光を放つ……うお、坂口が憑依したラーテルの剥製が、まるで生き返ったかのように動き出したぞ!? これが神の力ってヤツなのかァァ~~!



「あ、あれ、おかしいな? 身体が動かくなってきた……あ、眩暈(めまい)が!」



「やれやれ、こうする他、命を維持できんようだ……よっと!」



「ラーテル――坂口の腹に(サワメ)がくっついた!」



「うむ、わしがこうしてくっつかねばならん理由は、タダひとつ――仮初の命を維持するためだ」



「仮初の命を維持するため?」



「そうだ。今のお前は、このわしが一時的にラーテルという獣の剥製を媒介に蘇らせたのだ。だが、そんな一時的な命を維持するためには、このわし自身が一体化しなくちゃいけない危険(リスク)があったようだ。うむ、ちと計算外だったぞ」



「ヒュー、流石は神様だな! あの邪神のように死んだ生き物を蘇らせることができたワケだし!」



「あの邪神と一緒にされるのは微妙な気分だが、わしも一応、神だ。そして魔法少女のつもりでもある――とまあ、そんなワケだ。死んだモノを蘇らせらという不可能を可能にできると思ってね! おい、彼奴の別に真似をしたってワケではないぞ!」



「ま、魔法少女につもりねぇ……」



 サワメは神様であると同時に、魔法少女のつもりのようだ。さて、俺たち魔法少女は不可能を可能にする存在でもある。



「俺にも死んだ生き物を蘇らせることができるかもしれないな――あ、でも、そんな死の法則を破るような真似をすると、別の神様からの罰を受けそうだなぁ……」



 と、みるくがつぶやく。ごもっともな意見だと思う。死者を蘇らせるってことは死の国的には大罪に値するはずだ。



「イザナミとかハーデスが怒りそうだぞ。仮にも神であるサワメはともかく、俺たち人間が無闇に死者を生き返らせたら、きっと……」



「うお、怖い冗談をやめろよ!」



 と、俺はみるくにそんな忠告を――ギリシャ神話の医神アスクレピオスの話を思い出すと急に怖くなってね。死者蘇生ってヤツが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ