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第五話 俺、邪神と遭遇しました。その12

 俺たちが遭遇した〝ニャルラトホテプ〟は、中立を自称してはいるけど、やっていることは悪質極まりないんだよなぁ。流石は邪神、流石は俺たち人間が苦しむ様を見ることを至極の喜びである外道の極地!



「まったく、ニャルラトホテプって輩は何体いるんだよ!」



「アレは千の化身がいるって言われている。さっき遭遇したのは、そのうちの一体にすぎないわ」



「うへ、ああいう面倒くさい輩が千体も……うう、想像しただけで寒気が走るぜ」



「ま、千体いたところで、どいつもこいつも強いとは限らないんじゃないかな?」



 ごもっともな意見である。例え、ニャルラトホテプの化身は千体もいるとはいえ、その全部が全部、強いとは限らないと思う。



「しかし、みんな来るとはなぁ」



 うーむ、旧校舎の外に出た時には、俺とみるく、それにサマエルの三人だけだったのに、いつの間にかアリス、キョウタロウ、テュポンの姿が――む、虎のぬいぐるみの中に封印された状態の幽霊こと仕置きの依頼主、坂口智弘や自称、神様である古い銅鏡が擬人化した存在でもある蛾の妖精さんことサワメの姿も見受けられる……ん、アフロデューテやヘルメスも一緒にいた気がするけど、いつの間にかいなくなっているな。



「ん、どうでもいいけど、ここはどこだ? 馬が三頭いるぞ、おい!」



「あ、あれぇ、玄関はどこなワケ?」



「てか、ここは馬術部の部室兼馬小屋だな」



「へえ、馬術部もあるんだ」



 俺たちは新校舎へやって来たつもりだったんだが、なんの因果か馬術部の部室兼馬小屋へとやって来てしまったようだ。



「そういえば、新校舎の部室がある馬術部は、ひょっとしてエース7ってヤツかしら?」



「エース7?」



「光桜学園の新校舎に部室を持てるのは、数年連続インターハイに出場など、そういった優秀な成績を修める七つの部活のみ! それがエース7ってヤツさ」



「へえ、そうなんだ」



「ああ、その他は旧校舎に部室があったりするぞ。マイナーなジャンルの部活だったり、部員数が五人以下の部活なんかが主にね。あ、俺は死ぬ前はエース7の一角である野球部に所属していたぜ!」



 と、すでに死んでいるとはいえ、光桜学園の生徒である坂口が、そう雄弁に語る。ふーん、坂口は生前は野球少年だったようだな。ちなみに、今年のエース7は部の成績によって入れ替わりがあるらしいけど、野球部、サッカー部、バレー部、柔道部、水泳部、陸上部の六つの部活は、ほぼぶれないらしい。とりあえず、今年は馬術部がエース7に入ってはいるけど、毎年、最後の人枠をめぐって激しい闘争が起きているらしいね。



「さてと、そろそろ、ここを離れるわよ」



「ああ、そうだな。いつまでも、ここにいるワケにもいかないしな」



「あ、君たち、ちょっと待って!」



「わ、馬が話しかけてきた!」



 馬術部の部活兼馬小屋から立ち去ろうする俺たちに話しかけてくるモノがいる――ムムム、馬房の中にいる馬の一頭だ! そこから考えられるのは、タダひとつだ。



「お、お馬さん……ひょっとして、元人間!?」



「まあ、そんなところかな? あ、私はロードシャドウって言います。ところで君たちは魔法少女なんでしょう?」



「ムムム、わかるのか!?」



「はい、馬の姿になる以前は、魔法少女が多数所属する大天使教会という組織に所属する工作員(エージェント)でした」



「大天使教会? ふーん、ミカエルズソサエティは日本では、そう呼ばれているのね」



「ん、サマエル、なにか知っているのか!?」



「当然でしょう? 私はその組織にしばらく所属していたことがあるし……」



「「な、なんだってー!」」



 俺たちに話しかけてきた馬はロードシャドウと名乗る。どうやら元人間ってことはビンゴだったようだ。んで、何故、現在は一頭の馬として生きているのかは定かだけど、人間だった頃は大天使教会という組織に所属していたみたいだな――ん、サマエルはそんな大天使教会に所属していたことがあるようだぞ。



「ミカエルズソサエティはクトゥルフ眷属邪神群などの人類の敵となる異形のモノ共を狩る正義の狩人が所属する組織よ。所謂、邪神討伐機関ってヤツね」



「へ、へえ、そんな組織があるんだ。ん、沙希もお前らの仲間なの?」



「あのコは独立した私と違って、〝なった〟時から、どの組織にも所属した経験がないフリーの魔法少女ね」



「その物言いから他にも邪神討伐機関みたいな組織があるのかよ?」



「当然だろう、ミケ? クトゥルフ眷属邪神群のような異形のモノを狩るのが目的の組織ではないけど、場合によっては狩人側に回ることもある魔術師協会って連中が送って来たスカウトマンと何度、出会い説得されたことか……」



「へ、へえ、お前も大変なんだぁ……」



「うむ、あの連中も魔法少女を集めているらしいからね」



 ふーん、みるくの物言いを聞いている限りじゃ魔術師協会って連中が俺のもとにも、いずれスカウトマンが送って来そうだなぁ。



「さてと、皆さん、私の話を聞いてもらえますか?」



「あ、ああ、いいぜ、お馬さん」



「ありがとうございます。では――山内貴志という生徒が、どこへ行ったのか知っていたら教えていただけますか?」



「山内貴志? ああ、蔵内の野郎と生徒会長の座をめぐって争った俺の友人だ。でも、突然、退学し、現在、S市内の精神病院にいるって話だ……」



 大天使教会や魔術師協会などの話はともかく、喋る馬ことロードシャドウが、あの蔵内翔真と生徒会長の座をめぐって争ったという山内貴志という人物の行方について訊いてくる――ん、坂口が真っ先に反応する。現在、S市内の精神病院に入院しているだって!? なにか裏がありそうな展開だなぁ。

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