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第一話 俺、魔法少女になります。その5

「なあ、俺なんかをスカウトしても良かったのか? なんの得があるんだよ?」



 なんだかんだと、それが一番、気になるところなんだよなぁ。んで、沙希は、そんな俺にナニをさせる気なんだろう?



「……仲間が欲しかったからよ」



「仲間ねぇ」



「そう、仲間よ! 私と同じ理想の下に集いし、仲間を集めたいの!」



「理想? なんだ、お前の理想って――」



「私は悪を――外道を断つ剣になりたい! 鬼畜外道で、おまけに理不尽な仕打ちに繰り返す外道共に葬る闇の仕置き人のなるのが夢……理想よ!」



 キッと沙希は意を決したように言い放つ。悪を――いやいや、外道を断つ剣になりたいだって!? それが彼女の思い描く理想なのか!?



「私たちは魔法少女よ。普通の人間には絶対に不可能なことで可能にできる存在――つまり、外道を闇に葬り去るのには打ってつけの存在だとは思わない?」



「うーん、言われてみれば、そうかも……」



 と、答えたものの実感がないんだよな。性転換し、おまけに若返った――ということ以外、別段、身体能力等が常人を上回っているのかはわからない。



「その調子だと、まだまだ実感が湧かないって感じね」



「そりゃ、そうだろう? コイツは(さなぎ)から孵化したばかりの昆虫みたいなもんだしな」



「昆虫に例えられると腑に落ちない気分に……」



 俺は昆虫かよ! まあ、実感が湧かないのは確かだなぁ。つーか、魔法少女になった俺の身体に、どんな力が秘められているんだろう?



「ん、それじゃ実践と洒落込もうかしら?」



「じ、実践だと!?」



 じ、実践だぁ? 今度は俺にナニをさせる気なんだよ。まあいい、受けて立ってやる!



「フフフ、やる気満々ってところだな、沙希」



「まあいいわ。そんな実践は森の中で行うわ」



「沙希ちゃん、まさか、ビーストファイトを?」



「わああ、来た来た来たァァ~~!」



 実践は森の中で行うだと!? ん、猫たちが騒ぎ出したぞ。ビーストファイトって、なんだ?



「ま、死なない程度でやってみるかぁ――」



「し、死なない程度に!?」



「よし、この辺でいいかな?」



「うむ、わらわたち以外の気配は感じないぞ、沙希」



「ちょ、ここで一体!?」



「フフフフ……んじゃ、実勢開始!」



「「「ビーストファイト……レディィィゴォォォ!」」」



 俺が今いる浪岡自然公園内の約六割が手つかずのままである。流石は自然公園を冠するだけあって、ちょっと奥に入っただけで鬱蒼とした巨木が密生する樹海が待ち受けている。さて、沙希と狼姫、それに猫たちに案内されるかたちで、俺はそんな浪岡自然公園の奥地にある広場へと案内される、へえ、こんな場所があったんだ――んん、猫たちが騒ぎ始める……ビーストファイト、レディィィゴォォーだと!?



「これが変身の極み! そして魔法少女の力……ウガアアアアアッ!」



「ななな、なんだァァ~~! ホ、ホッキョクグマ! 沙希がホッキョクグマに変身したぁ!」



「さ、どこからでもかかって来なさい!」



 な、なにィィ!! スゥと沙希が右手を頭上にかかげる。その刹那、カッと頭上にかかげた沙希の右手が、思わず瞼を閉じてしまうほどの光量の閃光を放つ! ちょ、ウ○ト○マ○の変身を想像してしまったぜ――うわあああっ! 俺は思わず悲鳴をあげてしまう。さ、沙希が純白の巨獣……ホッキョクグマに変身している! ちょ、かかって来いだって……しゃ、洒落にならんぞ、おい! ぐぬぬぬ、どうする、俺!

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