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第五話 俺、邪神と遭遇しました。その2

「ん、光桜学園っつうと、あの事件の舞台になった学校だったな」



 俺はふと数年前に起きた嫌な事件のことを思い出す。そう、今いる光桜学園内で起きた凄惨な殺人事件のことを――。



「ん、あの事件? なんだよ、それは? 説明しろよ、ミケ!」



「お前、知らんのか? あの事件――黒魔術殺人事件のことを?」



「知らん! 俺はS市の隣町であるO市で活動していたからな」



「むぅ、あの有名な事件を知らんとはニュースとかまったく見ないのか、お前?」



「見ない!」



 と、みるくは即答する。やれやれ、あの事件を知らないなんて――ん、あの事件こと黒魔術殺人事件の詳細を聞きたいって? よし、説明しよう! 件の黒魔術殺人事件っていうのは、何年か前に俺とみるくが今いる光桜学園で起きた凄惨な殺人事件のことだ。



 どんな事件かって一言で説明するなら、犯人は本当にやっちまったのさ。悪魔を呼び出すための儀式を催し、なんとそこで供物としての殺人を犯したってワケだ。所謂、生贄を捧げてしまった――というヤツだ。



 そうそう、あの事件の後、奇妙なこと立て続けに起きたっていう。特に犯人――黒魔術部の部長ってヤツが逮捕後、忽然と姿を消し、現在も消息不明あつかいになっていることかな? 確か、姿を消したのが少年院に移送される最中だったらしいので、殊更に有名な怪事件となったはずだ。



 犯人は悪魔に連れて行かれたんだ! なんて根も葉もない噂話(ゴシップ)が、一時的に某大型掲示板や某大型画像掲示板を中心に広がったようだけど、半年後には、たま~に話題が持ちあがる程度の微々たるモノと化す――時の流れや旬が過ぎるってことは怖いねぇ。



 さてと、俺とみるくは沙希に誘われるかたちで、件の黒魔術殺人事件の舞台となった光桜学園の校舎――現旧校舎へと足を踏み入れるのだった。



「へえ、旧校舎ってわりにはきれいな建物だな。俺はてっきり木造でおんぼろな建物かと思っていたぜ」



「ここは築二十五年ほどしか経っていないわよ」



「うえ、まだまだ十分に使えるレベルじゃん!」



「うん、学園長と理事長親子が新し物好きだから仕方がないわ」



「ぜ、贅沢だなぁ、おい……」



 沙希に誘われるかたちでやって来た光桜学園の旧校舎だけど、そんな沙希曰く、築二十五年ほどしか経っていない比較的、新しい建物のようだ。うーん、しかし、新し物好きの学園長と理事長親子は古くなったモノを大事にしない困ったところが人物かもしれないな。その証拠とばかりに、まだまだ十分すぎるほど使える校舎があるというのに、それを差し置いて新たな校舎をつくってしまったワケだし――。



「さ、旧図書室へ向かうわ。実は新人魔法少女をスカウトしてあるのよ。そのコとアンタ達を対面させようと思っていたところだったのよ」



「新人だぁ? へえ、気になるねぇ……当然、お前もだろう、ミケ?」



「ああ、なんだかんだとな」



 新人魔法少女をスカウトしただって? むぅ、沙希はそのコと俺とみるくは対面させるために、俺とみるくを旧校舎へと誘ったようだ。



「ん、黒猫?」



「うお、黒猫がいるぞ! 誰だよ、猫なんか連れて来たのは!」



「よし、捕まえようぜ!」



「おう!」



 光桜学園に存在する多種多様の部活の部室が集まった場所として、旧校舎は今も現役の建物として使用されているようだ――と、目の前を黒い猫が横切る。ひょっとして犬猫でも飼育しているペット部なんて部活があったりするワケ?



「おかしいわね。黒猫……猫なんていないはずなのに? ヘパイストスあたりが連れて来たのかしら?」



「ヘパイストスって、あのアライグマ?」



「むぅ、もしかして、ここに住んでいるのかよ、沙希?」



「ええ、彼は旧校舎の住人よ。ま、もっとも隠れ住んでいるって言った方が正しいけどね」



 ムムム、あのアライグマのヘパイストスが、ここに住み着いているのか!? じゃあ、他の――人間の言葉を喋り、おまけに人間並みの知能を有す獣たちが隠れ住んでそうだな。つーか、部活に使用されていない教室に多々あるようだから、そういった部屋に潜んでいるんだろうな、きっと。



「ん、お前たち、もしかして!」



「わ、黒猫が喋った!? 猫妖精(ケットシー)、或いは元人間を自称するモノか!」



 わお、俺たちの目の前を横切った黒猫が引き返してくる。んで、話しかけてくる――むぅ、喋るあたりから、やっぱりタダの黒猫じゃなかったようだ。



「ん、もしかして、そこの貧乳のコが沙希かな? サマエルが首を長くして待っているぜ」



「ひ、貧乳――ッ!!」



「ん、どうしたんだ? なんで怒っているんだ?」



 黒猫は不思議そうの首を横に傾げる。悪気はなさそうだけど、貧乳って言葉は沙希にとっては禁句(タブー)なのかもしれない――わお、ホッキョクグマに変身した! お、怒ってる、絶対に怒っている!



「さ、沙希、落ち着けっ!」



 俺はパカーンとホッキョクグマに変身した沙希の脳天目がけてツッコミを入れるとばかりにハリセンでぶっ叩く――え、どこに隠し持っていたのかって? ああ、一応、胸の谷間にだよ。師匠からもらった伸縮自在の魔法のハリセンを胸の谷間に挟んでおいたってワケだ。



「う、ううう、危ない、危ない、危なく冷静さを……理性を失いかけるところだったわ」



「そ、そうか……ま、まあ、正気を維持できて良かったな」



「なにがなんだか、俺にはよくわからないよ。ま、とにかく、四階にある図書館へ行くぞ!」



 ハリセンで脳天をぶっ叩いたせいかはどうかはわからんけど、ハッと沙希を正気を取り戻し、ホッキョクグマの姿から人間の姿に戻るのだった。ま、それはともかく、黒猫が階段を駆けあがっていく――よし、追いかけてみよう。

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