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第四話 俺、人造神とやらを手に入れました。その8

 外道の巣窟と化した超高層マンションことアトランティスの三十五階から、俺たちは地下旅館の小狐丸へと引き返す――というか、俺は気絶していたので、いつに間にか戻っていたってところだ。



「あれぇ、デュオニュソスは?」



「あのコなら自宅に戻ったわ」



「あ、ああ、そういや、アイツはアトランティスの住人のひとりだったな」



 そういえば、沙希の友人である女装少年のデュオニュソスはアトランティスの住人だったな。んー、なんだか心配だなぁ、あのマンションには柳原一味のアジトでもあるし――。



「うお、なんでお前らがいるんだァァ~~!」



 おいおい、なんでメーディアと子分の杉田、それにペットのクマゴロウまで一緒なんだ!? しかも焼酎の入ったコップをすすりながら、ニヤニヤと俺の方を見つめて笑っているんですけど!



「いいじゃん、細かいことは――っと、ここへ来るには久しぶりだわ。なんだかんだと十代(ティーン)の頃は毎日、来ていたわ」



「お嬢にも重大の頃があったんだな、クマゴロウ?」



「ハハハ、それを言っちゃお仕舞だよ。ずっと年増だったワケじゃないんだし~☆」



「キ、キィィ! アンタたちィィ!」



「やかましい連中ね。さてと、無事にここへ戻って来れたことを神に感謝しなくっちゃね」



「お、おう、そうだなぁ……」



「うむ、追手を差し向けて来なかったのはマジで幸いだな!」



 む、むぅ、やかましい連中だな、まったく! それはともかく、柳原一味が追手を差し向けて来なかったのが幸いだったかも――。



「そのことについてだけど、アナタたちのタツくん救出作戦と並行するかたちで柳原一味の行動を探っていた私の使い魔が殺されたわ」



「えっ!?」



「殺されたのは、アナタたちがここへ戻って来る少し前よ」



「ギョッ……もしかして追手に!?」



「ええ、恐らく……」



「き、気づかなかったわ。追手がいただなんて、むううう……」



 師匠こと地下旅館の女将の綾音は、俺たちと並行するかたちで柳原一味の行動を使い魔を使って探っていたようだ。でも、そんな師匠の使い魔を連中に殺られたって言う。俺たちが、ここへ戻って来る少し前の話だとか――ちょ、やっぱり追手を差し向けていたのかよ! ムムム、沙希も気づかなかったようだ。一体、どんな輩は追手として差し向けたんだァァ~~!



「安心していいわよ。ここや地上のペットショップの出入り口は旧神の印でガードされているからクトゥルフ眷属邪神群は入って来られないわ」



「なるほどね。邪神人である柳原が差し向けてきた追手なら間違いなく蛇人間のようなクトゥルフ眷属邪神群と呼ばれる異形のモノたちに違いないわね」



「うん、アイツらは旧神の印がある場所に近づけないはずだよね、沙希ちゃん?」



「お、おい、その旧神の印ってどんなモノなんだよ!」



「ん、こういう印よ」



 へえ、旧神の印ねぇ……ま、まあ、そいつのおかげで柳原一味が差し向けてきた追手が、ここへ入り込むことができないワケだ。さて、仲居の綾乃が、件の旧神の印とやらが描かれたハンカチをチラつかせる――ん、そんなハンカチの中心に燃えあがる眼が中央に描かれた五芒星が見受けられるぞ。これが旧神の印ってモノなのか!?



「さて、邪神人と戦いに備えた修行でも始めようかしら?」



「お、おい、なに見てるんだよ……ま、まさか、その修行につき合えってか!?」



「物分かりがいいわね。そうよ、アンタには是非とも修行につき合ってもらいたいわね。無駄なくらい頑丈な身体の持ち主だし~☆」



「ちょ、なんだよ、それーっ!」



「あ、みるく、アンタにもつき合ってもらうわよ」



「ちょ、俺もかよ!」



 お、おいおい、修行につき合ってもらうだぁ!? ま、まあ、これから起こるであろう柳原のような邪神人との戦いに備えてのスキルアップは必要不可欠だとは思うが、沙希が言う修行につき合った場合のことを考えると寒気が走るぜ、ううっ!



「ところでミケさん、右足がグロテスクなモノに変化しちゃってるわね。悪いモノにでも取り憑かれたのかした?」



「おいおい、カッコイイの間違いだろう?」



「カッコイイ? うーむ、喋るあたりから考えて、ミケさんの右足は別の生き物と化しちゃったようね。あ、グロすぎるわ。その膝の目玉なんて特に!」



「ぬ、ぬあああっ! このババア、俺を馬鹿にしてんのかーっ!」



「ア、アーロン、それ言っちゃダメだ! ぐはっ……むぎゅうう!」



 人造神アロンダイトことアーロンが融合したおかげで、俺の右足はグロテスクな形状に変化しているんだよなぁ――と、そんなことより、アーロンが師匠に対し、言ってはいけない言葉を……うがっ! その刹那、俺は不可視の打撃を受けて吹っ飛ぶ! お、おいおい、禁句を口にしたのは俺じゃないぞ!



「さ、道場へ行くわよ。早速、修行よ!」



「「えええーっ!」」



「嫌なの?」



「わ、わかった! わかったからホッキョクグマに変身するなーっ!」



「フフフ、それでいいわ」



「あ、君たちにイイモノをあげるよ。これで君たちも沙希みたいに〝変身〟してみるんだね。そいつを媒介に――」



「ほ、骨!? うーん、とにかく、嫌な結果になりそうな予感が……」



「み、右に同じく……」



 むぅ、アーロンのせいで酷い目にあった直後だっていうのに、沙希は俺とみるくを同伴させるかたちで即、修行を行おうと言い出す――と、ヘルメスからなにかしらの動物の骨を受け取る。おいおい、コイツを媒介に変身しろって言うけど、ひょっとして変身系の魔術の修行とか? ま、まあ、小狐丸の道場へ行ってみればわかることかな……。

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