第四話 俺、人造神とやらを手に入れました。その6
一見すると人間の女のコのようだけど、ステンノーとエウリュアレー、そしてメデューサ――ゴルゴン三姉妹は異質な存在――バケモノの類なんだろうか? そういえば、ギリシャ神話には同名の怪物が出てきたはずだ。特にメデューサは、その姿を見た者を石に変えてしまう魔物だったような気がする。
さて、彼女らは夢幻花園という異界に住んでいるらしい。沙希曰く、そんな夢幻花園の主に庇護されている存在らしい。スキュラとかラミアといったギリシャ神話絡みのバケモノの住んでいそうだなぁ。
「おい、俺様をここから出しやがれ!」
「お、おう、わかったから騒ぐな!」
「おう、さっさとしやがれ! ふう、やっと外に出られたぜ、サンキュー!」
「むぅ、空を飛べるのかよ! き、奇妙な靴だぜ!」
ゴルゴン三姉妹のことはともかく、ギャーギャーわめく意思を持つ赤いハイヒールこと人造神を俺は鳥籠の中から解放する――うお、コイツ、浮遊できるのか!
「名乗っていなかったな。俺の名はアロンダイト。アーロンとでも呼ぶがいい!」
「アロンダイト? ミケ、円卓の騎士ランスロットが所持する名剣の名前と同じだな。当然、知ってるだろう?」
「え、そうなの? うーん、それじゃアーロンって呼ばせてもらうよ」
「おい、ランスロットって何者なんだよ! つーかよぉ、俺と同じ名前の剣を持っていただと!」
「お、お前、自分の名前の由来を知らないのかよ!」
「知らねぇよ! 俺は生まれて間もないからな! さてと、相棒、お前の右足と合体させてもらうぜ! 俺の生みの親が言ってやがったんだが宿主が見つからないと長く生きられねぇってな!」
「ちょ、相棒ってなんだよ! わあああ、俺の右足が――っ!」
意思を持ち空を飛ぶ赤いハイヒールこと人造神はアロンダイトと名乗る――って、おいィィ! 自分の名前の由来を知らんのか! ついでに俺の右足と強制合体したぞ、コイツ!
「ミ、ミケちゃんの右足が禍々しいモノに変化したよ!」
「脹脛に赤い蝙蝠の羽が生えて、おまけに膝の部分にでっかい目玉が!」
「ワッハッハッ! どうだ、カッコイイだろう!」
「うーん……」
アーロンはカッコイイだろうって言うけど、一対の真っ赤な蝙蝠の羽が脹脛に生え、おまけに膝に目玉がギョロリとした巨大な目玉が――キモいんですけど! 禍々しいんですけど!
「そういえば、タヌキチの親父さんや妖狐の仲間は見受けられないな」
「そいつらなら恐らく財団Nの本部に送られた可能性がある」
「な、なにィィ!?」
クロベエの相棒こと太田辰巳が、そんな話を――と、財団Nの本部に送られたモノたちは一体どうなってしまうんだろう? うむ、悪い予想しかできないぞ。
「ところで、お前はなんで鳥籠の中に閉じ込められていたんだ?」
「おう、言うことを聞かねぇ馬鹿は、そん中にいろやーって感じで閉じ込められたんだ。ぐぬうう、思い出すだけで腹が立つぜ~~!」
「言うことを聞かない悪いコなのね、アンタ?」
「な、なにィィ~~! 俺が悪いコだとぉ!」
「まあ、怒らない、怒らない。んじゃ、早速、脱出するわよ、みんな!」
「え、脱出するだって!? 柳原一味を仕置きしなくていいのかよ、沙希?」
「分が悪い……わからない?」
「む、むぅ、考えてみたら、この部屋に閉じ込めらていた猫ちゃんたちもいたな」
沙希が脱出しようって言い出す。よくよく考えると、確かに分が悪いな。アライグマのヘパイストスを筆頭とした柳原一味に捕まっていたどっちかといえば小動物な獣たちが一緒なわけだし――。
「みんな飛行の術を使えるわね?」
「「「当たりまえさ!」」」
「飛行の術!? あ、ああ、ホッキョクグマの姿で空を飛んでいたけど、アレのことね?」
「そうよ。さてと、メーディア、アンタたちはどうする? 私たちと一緒に来る? それとも――」
「当然、一緒に行くわ! なんだかんだと、ここにはもういられないわ。それにクマゴロウも助けられたしね」
「ふむ、了解したわ。んじゃ、みんなベランダの向かうわよ!」
「待て、嫌な気配が近づいてくる!」
「うん、私も感じる!」
「嫌な気配? ひょっとして!」
うーむ、メーディアも一緒に来るのかよ。まあ、あの女は柳原一味を裏切ったわけだし――ん、狼姫とアフトディーテが、なにかしらの嫌な気配を感じ取る……まさか!?
「き、貴様らァァ~~!! 逃がさん、逃がさんぞォォ~~!」
「うお、人狼が……狼女がやって来たわ!」
「あの草野って女だ!」
むぅ、俺たちが3502号室のベランダに向かった直後、激しい轟音とともにリビングの扉が吹っ飛ぶ! く、狼姫とアフロディーテか感じ取った嫌な気配の正体は、あの草野って女が巨大な狼獣人に変身した状態で現れる! あの鋼鉄の鎖を引き千切ったのか、くそぉ!




