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第三話 俺、ライバル宣言されました。その15

 邪神人柳原譲二のアジトのひとつである超高層マンション――アトランティスの三十五階の3501号室の主が、人間の姿であるにも関わらず禍々しい邪気を放ちながら、妖精さんたちの牢獄と化しているベランダに現れる。



「あの男は柳原じゃない。別の男ね」



「ああ、奴の顔は浪岡自然公園で一度、見たしな」



「初見じゃないから間違いないよ。あれは柳原じゃないね!」



「むぅ、そんなことより、あのあの小さな男から禍々しい気を感じるぜ!」



「あの小さな男は邪神人(クトゥーラ)かもしれないわね」



「ええ、でも、完全な邪神人じゃないわね。故に、穏行の術を行使中の私たちが見破ることができていないワケだし――」



「そ、そうなのかよ!」



「邪神人化したモノの――特に嗅覚は犬の嗅覚を上回る。狼のわらわが言っているんだ、間違いない!」



「え、お前って犬じゃなくて狼だったのか? つーか、俺って臭いかな?」



「幹久、声がでかいよ。穏行の術で姿を見えなくしてはいるけど、声や足音は消せないんだから口にチャックだ」



「お、おう!」



「むぅ、それはともかく、邪神人が他にもいたのかよ!」



 適合した人間をクトゥルフ眷属邪神群という異形のモノへ変化させる魔性の種――魔王種(アザトースシード)によって人外へと変質したとはいえ、完全体ではないので、俺たちが行使する穏行術を見破ることができないようだ。



「あの男を含めると邪神人になりかけている柳原の部下が三人いるよ。んで、妖精さんに八つ当たりをしようとしていた大男のようなタダの人間の部下も三人――とまあ、計六人の配下が三十五階を徘徊しているよ」



「偵察、ご苦労さん、ヘルメス」



「あ、ついでに、ベランダの妖精さんたちが閉じ込めて鳥籠の鍵を開けておいたよ。隙を見て逃げ出すように言っておいたよ」



「ふむ、ここまでは計画通りね」



 え、ここまでは計画通り!? むぅ、抜け目ないなぁ、相棒のヘルメスを使って妖精さんたちが閉じ込められている鳥籠の鍵を開けるなどなど、沙希は水面下で色々と作戦を練っていたりしそうだな。



「な、なあ、兄貴、柳原さんか財団Nの内藤さんに頼んでくれよ。俺にも魔王種をくれってさ!」



「おいおい、内藤さんに言われなかったか? お前は床苗として適合していないって……つーか、死ぬぜ、お前?」



「うえ、死ぬには嫌だなぁ。でも、すげぇ欲しいんだ!」



「ハハハ、馬鹿だな! まあいい、魔王種は内藤さんが持っているし、頼んでみるとするか――」



「ん、今の話は!?」



「気になる内容ね」



 大男こと河谷、そして兄貴と呼ぶ邪神人になりかけている男が、なにやら興味深い話を始める。ち斗聞き耳を立ててみるか――。



「なあ、兄貴、怒らないで聞いてくれ! 兄貴や柳原さんは、あの内藤さんにとっては実験用生物(モルモット)に他ならない気がするんだ」



「ハハハハ、なにを言ってるんだ、お前? 内藤さんは、この素晴らしい力を与えてくれた恩人だろう? つーか、これ以上、言ったら、舎弟のお前でも……な、わかるだろう?」



「お、おう、内藤さんを信用しないといけないな……」



 財団Nの関係者は内藤というらしい。んで、河谷は猜疑心を抱いているようだが、邪神人になりかけている兄貴と呼ばれている男は、その逆で絶対の信頼を寄せているようだ。恩人と呼んでいるワケだし――。



「あ、そういえば、兄貴! 柳原さんは、3502号室に捕らえてある魔法少女を自称してる女をどうする気なんだろう?」



「「――っ!」」



 3502号室に捕らえられている魔法少女がいる!? 今、河谷がそう言ったぞ。間違いなく――もしかしてクロベエの相棒の太田辰巳では?



「ああ、あの生意気なメスガキのことか? 柳原さんと同じ学校に通う同級生らしいぜ。だけど、柳原さんは殺るつもりらしい」



「そういえば、柳原さんは高校生でしたね、兄貴。つーか、もったいねぇことを……グッフッフ」



「ま、でも、内藤さんがそうはさせないと思うぜ。なんだかんだと、あの人にとって――いや、財団Nにとっては貴重な実験用生物らしいからな」



「うええ、柳原さんに殺られた方がちったなぁマシかもしれない展開になりそうだな、兄貴!」



「ああ、そうだな。俺も、そう思っていたところだ」



「…………」



 柳原に殺害された方がちったぁマシだ!? 河谷と兄貴の言う通りな展開になった場合、太田辰巳はどうなってしまうのやら――う、口にすることができないような禍々しい妄想が次々と頭の中で走馬灯のように思い浮かんでくるぜ。



「が、がああっ! 嫌な妄想が頭の中に次々と――っ!!」



「わ、クロベエ、声がでかいって!」



「うお、なんだ、今の声は!?」



 相棒である太田辰巳のことが心配で心配で溜まらないクロベエの頭の中でも、口外することができないような禍々しく、そして最悪の事態へと発展した妄想が走馬灯のように駆けめぐったようだ。まあ、そのせいで迂闊にも大声を――うお、当然とばかりに、河谷と兄貴と呼ばれる男に勘付かれてしまったっぽいぞ!?

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