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第三話 俺、ライバル宣言されました。その12

 今、俺がいる失われた大陸アトランティスの名を冠した超高層マンションと同規格、同サイズの超高層マンションが、現在、S市内に三棟、建造中である。



 ムー、レムリア、そしてハイパーボリアだったかな? ん、ハイパーボリアってクトゥルフ神話に出てくるかつて北極海にあったという伝説に大陸だったような? 魔術師のエイボン、それに邪神のツァトグアが住んでいた――みたいな?



 ま、それはともかく、他県やS市の隣町のO市やI市あたりのセレブをS市に呼び込もうって魂胆が見え隠れしているような――。



「どうぞ、どうぞ。あ、五月蠅いのがたくさんいるけど気にしないでね~☆」



「うわ、兎がいっぱい!」



「ああ、あの兎たちは、私の使い魔みたいなもんさ」



「使い魔じゃないです、ニンフです!」



「うお、兎が喋った! って、ことは君は魔法少……いや、魔法少年なのか?」



 さて、俺たちは超高層マンションのアトランティス内にある沙希の友人こと女装少年のデュオニュソスの自宅こと2901号室へとやって来る――うお、いかにもセレブな人間が住んでいるって感じの豪奢な部屋の中に洋服を着た兎が何羽もいるぞ!? ついでに、そんな兎の一羽が喋る。デュオニュソスは魔法少年なのか?



「魔法少年? ウフフフ、私の場合、少し違うなぁ、どっちかと言えば――っと、そんなことより、君たちは柳原譲二に捕まった妖精たち+αを救いに来たんだよね?」



「ま、そんなところよ。そういえば、説明しなかったっけ?」



「ああ、そうだったね。ウフフ、すっかり忘れていたよ――と、冗談だよ。そんな怖い顔しないでよ、沙希」



「怖い顔? 私は常に冷静でいるつもりよ」



「そうかい? 今、一瞬だけど、般若の形相に……あ、ああ、柳原譲二だけど、そいつなら三十五階のすべての部屋を占領しているよ」



「ちょ、すっげぇセレブな奴じゃん!」



「うん、でも、妙なんだよなぁ。どこで、ここの三十五階の全室を掌握するだけの資金を得たんだろう? ――ってね。私も含めて、このアトランティスの住人は、みんな怪しんでいるよ」



「ついでに、そんな柳原が、このアトランティスに住み始めたのか? デュオニュソス様も含めて誰も知らなかったりします」



「その問題もあったね。あ、ここの住人たちは定期的にパーティーを開いている。参加者は当然、私のようなセレブな者たちばかりさ! そんなパーティー開催時にあがった話題のひとつが、いつから住み始めたのか? それが誰にもわからない謎の住人――柳原譲二についてね」



 むぅ、柳原はすっげぇセレブな輩のようだ。なにせ、超高層マンションのアトランティスの三十五階の全室を掌握しているようだし――が、デュオニュソスらアトランティスの住人たちは皆、怪しんでいるようだ。おまけに柳原が、いつから住み始めたってことをデュオニュソスを含めて誰も知らなかったこともあり、余計に怪しんでいる模様だ。まあ、しかし、俺には柳原が何故、アトランティスの三十五階全室を掌握できたのかが、なんとなくわかった気がする。



「恐らく、奴の背後には――」



「財団Nが奴に資金を提供しているに違いない!」



「うお、俺が言おうと思ったのに!」



 ムムムッ! 俺が言おうとしたことをみるくに先に言われてしまったぜ。ま、まあ、十中八九、的中だろうな。



「なあ、沙希、柳原の居場所がわかった以上、乗り込むっきゃないよな? ここの三十五階に――」



「ふむ、穏行の術で姿を消せば大丈夫? ――とでも思っている? 残念ながら、熱感知センサーのついた監視カメラでバレる可能性があるわ」



「熱感知センサーがついた監視カメラが大量に仕掛けられているみたいだよ、三十五階には――」



「うへ、面倒くさいな、それは……」



 体温感知センサーの前では、穏行の術も役に立たないと――むぅ、何気に弱点が多いなぁ。じゃあ、どうやって三十五階へ行けばいいんだ。それを考えねば!



「壁をよじ登ればいい」



「うお、クロベエ、いつの間に……って、ロッククライミングかよ!」



「うん、それはいいわね」



「なるほど、その手があったか!」



「お、おいィィ!」



 わ、いつの間にか、俺の足許に黒狐のクロベエの姿が!? それはともかく、壁をよじ登れだって――ちょ、おまっ! ロッククライミングとは違うんだぞ! マンションの壁は真っ平だ。そこをどうやってよじ登れって言うんだ!

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