第三話 俺、ライバル宣言されました。その11
ここ最近、俺、美樹原健司が住む○○県S市内では、超高層マンションの建造が相次いでいる。そのせいかは知らんけど、イザコザも絶えないって聞く。ほら、日照権の問題とか、騒音問題とか――。
そういえば、先祖代々、何百年も住み続けている土地を荒らすな――みたいな抗議デモを市に対し、行っている古老のような連中もいるんだよなぁ。
「わお、間近で見ると、まるでバベルの塔みたいだなぁ」
「言われてみれば、そんな気もするね」
「てか、さっさと中に入ろうぜ!」
「あ、下手に入ろうすると通報されるわよ、みるく。今、知り合いに電話をしたわ」
さてと、俺たちはクロベエの相棒である太田辰巳を捕らえている邪神人――柳原譲二のアジトがある超高層マンションことアトランティスの出入り口へとやって来る。しかし、間近で見ると天の向かってそびえ立つバベルの塔を連想させるでかさだ。
「うわ、監視カメラが四台も見受けられるぞ!」
「ここの警備は殊の外、強固なのよね。出入り口の先にあるロビーにも何台か監視カメラが仕掛けられているらしいわ。あ、知り合いが来たわ」
むぅ、出入り口のところにある四台の監視カメラから不気味な視線を感じる。沙希曰く、出入り口を入った先のロビーにも監視カメラが何台も仕掛けられているって話だ。まったく、どんだけ監視すりゃ気が済むんだ――お、沙希の知り合いがやって来たようだ。それと同時に、ウィンという音とともに出入り口の扉が開く。
「麦わら帽子をかぶった女のコがやって来たぞ? 知り合いって、もしかして、あのコ?」
沙希の知り合いというのは、麦わら帽子をかぶった髪の長い女のコのようだ。容姿端麗で気品に満ちたお嬢様って感じだな
「やあ、沙希、お待たせ~☆」
「突然、強力を要請して悪かったわ。一応、謝っておく」
「ああ~気にしなくてもいいよ。私も外道が許せない性質だからね」
「うへ、誰かと思ったらデュオニュソスじゃん!」
「お、あっちゃんも一緒なのかー……ふ~ん、そのコ新しい相棒ってワケね」
「沙希先輩の知り合いであり、あっちゃんの知り合いでもあるワケ?」
「ま、そうなるわね。あ、紹介しておく。彼はデュオニュソス。この超高層マンションのアトランティスに住んでいる私の友人よ」
「みんな、よろしくね~☆」
「あ、ああ、よろしく……って、おい! 今、彼って呼んだよな、沙希?」
「うん、呼んだわ。ああ、説明しなくちゃいけないわね。デュオニュソスは、ああ見えても男よ」
「「な、なんだってー!」」
ちょ、男だって!? う、嘘だろ? どう見たって女のコじゃないかァァ~~!
「ふーん、疑っているようだねぇ。じゃあ、証拠を見せてあげよう、クククク……」
「お、おい、なにワンピのスカートを捲っているんだよ! う、うわああああっ!」
「ううう、見てはいけないモノを見てしまった気がする……」
「う、うん、すごいモノを見てしまった……」
「どうでもいいけど、パンツくらい穿きなさいよね、デュオニュソス!」
「穿かないのも健康はイイもんだよ~☆」
「そういうものなのかな、ミケちゃん?」
「さ、さあ……」
お、俺はなにかトンでもないモノを見てしまった気がする。アハハハ、やっぱり、あのコは……男子だったようだ!
「んじゃ、私が住んでいる2901号室へ案内するよ」
「うん、そうさせてもらうわ」
「あ、そういえば、ここへ来る途中、妙な女とすれ違ったよ。初めて見る顔だったなぁ」
「妙な女とすれ違った? で、なにか特徴があったのかしら?」
「うん、上着の胸元に英語のNを模したバッチをつけた黒ずくめの女だったよ。まるで某SF映画に出てくる工作員さんみたいな感じかな?」
「沙希ちゃん、そいつは財団Nの!?」
財団Nの関係者も、ここに!? うへ~、とにかく、デュオニュソスが住んでいる2901号室へ行こう。そこで柳原のアジトへと忍び込む作戦を練るとしよう。




