第三話 俺、ライバル宣言されました。その7
魔法少女になったせいだろうか? ここ数日、奇妙な気配を感じ、それが気になっていたりするんだよなぁ――え、どんな気配かって? そうだなぁ、川底に溜まったヘドロのようなドス黒くて毒々しい気配ってヤツかな? 沙希曰く、そんな気配を邪気というらしい。んで、邪気を感じたということは、俺の近くに〝いた〟ようだ。人間の皮をかぶった闇の住人が……。
「写真の男の名前は柳原譲二だっけ?」
「うん、でも、今回はあくまで、写真の男を偵察に行くだけだよ、ミケちゃん」
「ああ、わかっているよ。つーか、お前もわかっているよな、みるく?」
「は、当然! んなこたぁ、始めっから合点承知の助だぜ!」
太田辰巳は捕らえ拉致し、おまけにクロベエに対しては、その身を蝕む呪詛をかけたモノの名前は柳原譲二。どんな奴かを一言で言わば不良高校生だ。しかし、魔王種の適合者として邪神人と化した人間のひとりのようだから、そこらへんを考えると厄介の極みだったりするんだよなぁ。
「チクショー! 偵察だけっていうのは腑に落ちないぞ!」
「まあそう言うな。柳原がどこにクロベエの相棒を拉致ったのかわかれるまでは不用意に動けないんだ。我慢しろよ」
「フン、その柳原をボコって居場所を吐かせばいいじゃねぇかよ! なに慎重になってんだよ、まったく!」
「テュポンから聞いたぞ。お前も魔法少女になって、そんなに経ってないんだろう? 初心者のうちは慎重に動かないと痛い目を見ると思う」
さてさて、俺とアリス、愛梨とアフロディーテ、そしてみるくとテュポンは、クロベエの相棒を拉致し、クロベエに呪詛をかけた標的――柳原譲二がよく出没するという浪岡自然公園の西口へと向っている最中だ。ここらへんは心霊スポットとしても有名な姫神塚古墳がある区画であると同時に、浪岡ブレイカーズという少年野球団の本拠地となっているグラウンドなんかがあったりする場所だったかなぁ?
「写真を見るかぎり柳原ってヤツはひ弱そうな金髪チビって感じだな。この写真にゃ仲間も写っているけど、どいつもこいつも、すっげぇ弱そうな雰囲気だな、おい」
「だが、油断は禁物だぜ。某漫画じゃ小柄な方が強かったしな」
「ご主人様、あの漫画っすか? あ、そういえば、確かに!」
「それに私たちは魔法少女といっても、成り立ての初心者だってことを忘れちゃダメよ、みるくちゃん!」
「だが、術をひとつやふたつ使えりゃ異形のモノだって一網打尽にできるってもんさ!」
「うーむ、そういう考え方が油断につながるってわからないのが幹久の悪いところだ」
「幹久? もしかしてみるくちゃんの本名かしらね、クククク」
「ああ、みるくの本名さ。男だった頃のな」
「わああ、テュポン! 俺の本名をバラすんじゃねぇー! つーか、笑うな、アヒル!」
「そんなことより到着したわよ、みんな!」
なんだかんだと、そんな雑談を交わしている間に到着したようだ。邪神人と化し、人間からクトゥルフ眷属邪神群という暗黒の住人へと移行した柳原譲二が出没するという浪岡自然公園西口に――。




