第三話 俺、ライバル宣言されました。その6
邪神種が適合する確率は三割程度――持っているだけで大半が適合せずに死ぬ。んで、形状も千差万別って沙希から聞く。なるほどね。あの狂人と化して現在、精神病院に入院中の外道女の船越が持っていたモノは手のかたちをしていたことを思い出す。
そんな邪神種が適合し、発芽にいたった人間、或いは獣を邪神人とか邪神獣と呼ばれ、不浄なる闇の種族――クトゥルフ眷属邪神群の仲間入りを果たす。
さて、未確認情報ではあるけど、邪神種を配り歩いている謎の存在がいるらしい。まったく、どこのどいつの仕業だ。くそみそに迷惑な話だとは思わないか?
ま、その話はともかく!
「なあ、アンタの相棒って魔法少女なのか?」
「ああ、豊穣の女神デメーテルの加護を受けた魔法少女だ」
「へ、へえ、意外とすごい奴なのかもしれないなぁ……」
「まあ、とにかく、この男を見つけてくれ! 俺の相棒――太田辰巳は、この男とその仲間の捕まっているはずだ!」
クロベエは相棒の名前は太田辰巳というらしい。男みたいな名前だな。ひょっとして俺やみるくと同じ種の魔法少女だったりする? んで、豊穣の女神デメーテルの加護を受けているようだ。つーか、そんなある意味ですごい魔法少女が捕まってしまったようだから、今回はヤバさが半端じゃないかも……。
「ん、写真? じゃあ、この写真に写っている男を探せばいいんだな?」
「ああ、そしてアジトを同時に発見してくれ!」
ポンッ! という軽い爆発音ともにヒラリヒラリと一枚の写真が、俺の頭の天辺に落ちてくる。なんだぁ、この演出は――ま、とにかく、そんな写真に写っている男にクロベエの相棒こと太田辰巳が捕まってしまったようだ。
「てか、アンタが助けに行けば、わざわざ俺たちに依頼することもなかったんじゃね?」
「痛いところを突かれてしまったな。まあ、本来なら、そうしたいところなんだが無理なんだ……」
「む、無理って、おい! アンタは妖狐なんだろう? 師匠と同等、それ以上の妖狐のような気がするんだが?」
「確かに、俺は妖狐だ。綾音と同等、それ以上かは自分でもわからん。だが、無理なのだ……その写真に写っている男にかけられた呪詛の力で、彼奴の半径二メートル以内に近づくことができなくなってしまってね」
なんだかんだとクロベエ自身が助けに行けばいいのに――と、思ったけど、それが無理らしく俺たちに依頼してきたっぽいな。一体、写真に写っている男に、どんな呪いをかけられたんだろう?
「俺の頭の天辺をよ~く見るんだ」
「お、おう……ん、十円ハゲ? てか、黒いマジックなんかでカモフラージュしちゃいないか?」
クロベエが自分の頭の天辺を見ろって言う。ん、そんなクロベエの頭の天辺には黒いマジックを塗ったくってカモフラージュされてはいるが、十円玉ほどの大きさのハゲた部分が――い、一体、このハゲはなんなんだ!?
「ギャハハハ、そんな頭のハゲた部分を黒いマジックを塗ってカモフラージュしてやんの~☆」
「あ、あっちゃん、ダメよ! そこに触れちゃ……」
「い、いいのだ。呪詛を解くことができれば、頭のハゲの部分から再び毛が生えてくるはずだしな」
「ん、そんな十円ハゲをよ~く見ると妙な模様に……ん、光った! 光の幾何学模様が浮きあがってきたぞ!」
「ご主人様、それは呪印っす! 触れたらダメっすよ! もし触れたら、ご主人様も呪いが感染するっす!」
「お、おう、なんだか、すっげぇ禍々しいモノを感じるしな!」
クロベエの頭に天辺に見受けられる十円玉ほどの大きさのハゲた部分が、ほのかに光り出し、奇妙な幾何学模様が浮きあがる。アリス曰く、触れた場合、呪詛が俺の身体に感染るようだ。
「ふむ、タツを救出すると同時に、クロベエの身体を蝕む呪詛も解く必要がありそうね。ちなみに、この私でも解くことができない呪詛だわ、これ……」
「私にも無理ですね。クロさんの身体にかけられた呪詛は、そんな呪詛をかけたモノの身体の一部でもなければ、絶対に解けませんね」
「うむー、仕事がもうひとつ増えたってところだな」
「うん、そうなるよね」
「スマンな、新人魔法少女よ……」
「ま、なんだかんだと、俺たちに任せろ! ついでにだが、勝負といこうぜ、ミケ!」
「あのなぁ、お前……と、この写真に写っている男を探しに行こうぜ」
ここで勝負を持ち込むか、普通? まったく、KYな魔法少女だな、みるくは――ま、とにかく、写真に写っている男を探しに行くとしよう。




