第三話 俺、ライバル宣言されました。その5
登場人物紹介
・クロベエ――真っ黒な妖狐。相棒の救出を依頼してくる。
「みるくさん、ひょっとして巨乳コンプレックスになった悲しい過去があったりします?」
「むう、図星だぜ、OKAMI……うわわ、アンタも巨乳なのかよ!」
「はい~☆ 仲居たちを束ねる者としての象徴であったりもします」
「それ違うと思うんだけどなぁ、イライラッ!」
「なに怒っているんだ、綾乃?」
「怒ってなんかいないわよ!」
「ま、そういうことにしておいてやるぜ、クックック……おっと、そんな雑談はともかく、仕置きを依頼してきた依頼主がハイエナの間にすでにいるって本当なのかよ、沙希!」
みるくの奴が巨乳コンプレックスで師匠が巨乳であるってことはともかく、すでに仕置きを依頼してきたモノがハイエナの間に来ているらしいけど、一体、どこに!?
「おい、ミケ! お前の後ろ、後ろだ!」
「な、なにィ! おわ、なにかが俺の背後にいたぞ……うお、そっちに移動したぜ、みるく!」
「にゃ、にゃにィ! わ、なんだ、コイツ! ナニかがミケの影から俺の影に移動しやがった!」
「こ、これは妖狐流呪術のひとつ……影渡り! ――ですよね、師匠?」
「はい、よくわかりました。ズバリその通りです!」
「じゃあ、依頼主っていうのは、師匠と同じ妖狐のお仲間ですか?」
「わあああ、今度は私の影に移動した!」
な、なにかが俺とみるくの影、そして愛梨の影の中を行ったり来たりしている!? 妖狐流呪術のひとつである影渡りの術だ。間違いない――い、依頼主の正体は、まさか!?
「クロさん、いい加減、姿を見せてあげてはどうです?」
「そうよ、ふざけてないで姿を見せないさい、クロベエ!」
「うむ、仕方がないな」
「わお、愛梨の影からナニかが飛び出してきた!」
「ま、真っ黒な狐!?」
ドンッ――と、愛梨の影の中から、真っ黒な狐が飛び出してくる。クロベエというのか、コイツ!? んで、師匠と同じ妖狐なのか?
「紹介します。我らウマノミタマ衆という団体の一員であるクロベエさんです。クロさんとでも呼んであげてくださいね」
「ウカノミタマ衆ねぇ。いつの間に、そんな団体をつくったんだ? まあいい、クロベエだ。よろしく頼むぞ」
「お、おう!」
「さてと、クロベエ。私もまだ詳しい依頼の内容を聞いていなかったわね」
「うむ、それじゃ語るとするか――」
地下旅館の小狐丸の女将こと綾音、それに綾乃たち仲居さんたちは、ウマノミタマ衆という団体に属すモノのようだ。そしてクロベエという名の黒い狐も――と、それはさておき、依頼者である黒狐のクロベエが、沙希にも詳しく語っていなかった依頼とやらの内容を語り始める。
「ありていに言うぞ――俺の相棒を邪神人から助けてほしい! 仕置きをするかは、お前たちに判断をゆだねるがな」
「邪神人!? なんだ、それは?」
「コイツが適合した人間のことよ」
「うお、それは邪神種じゃないか!」
「そうそう、邪神種が適合し、発芽してしまったモノは、クトゥルフ眷属邪神群の一員になってしまう一方で、こんな姿になったりするわよ。あ、この写真に写っているモノは、以前、私が退治したモノよ」
「うお、蠅人間!? 某特撮ヒーローものに出てくる怪人って感じだな!」
「ちなみに、邪神人の姿は個人個人で違うわ。クロベエの相棒を捕まえた邪神人は、どんな姿なのか気になるわ」
クロベエの相棒は邪神人というモノに捕まっているようだ。んで、依頼っていうのは、そんなクロベエの相棒を救出すること――と、沙希が肩からぶらさげているハート型の可愛いらしい鞄の中から一枚の写真を取り出し、それを俺に手渡す。そこには沙希が以前、倒したという人間と蠅の混合生物っぽい異形のモノの死体が写っている! コイツがクトゥルフ眷属邪神群とやらの一員として闇の住人と化した人間……邪神人ってヤツらなのか!?




